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2018/8/17の備忘録

この一週間ずっと買おうかと悩んでいたパンダのぬいぐるみをついに購入した。

それは職場の一角の目立つ位置に陳列されていた。あまりにも堂々と鎮座しているものだから、毎日見ているうちに情が湧いたらしい。アクリル素材の日本製で大きさは約30cm。腕にすっぽり収まる程よい大きさ。

お客さんの目に触れる場所にあるので、抱き上げられるのを目にする度にどきりとする。あぁ、ついに買われてしまうかもしれないという焦りと、いっそ買われてしまえば諦めがつくのにという気持ちのせめぎあい。

来月から職場を変わるので、もし今後同じぬいぐるみを見かけたとしても優待価格で購入することは出来ないだろう。それに今の職場は結構気に入っている。パンダを見る度にここで働いた事が楽しい思い出として蘇るかもしれないなと考える。

一目惚れしたにも関わらず、直ぐに購入しなかったのは、我が家には既に大きいサイズのふわふわパンダとキーホルダーサイズの小さいサイズのパンダのぬいぐるみが存在しているからだ。そしてベッドの上にはオーストラリア旅行で夫が買ってくれたスーツケースの半分を占領する大きさのカモノハシのぬいぐるみだって横たわっている。

パンダのぬいぐるみを買おうか迷っているという話を夫には既にしてあった。パンダはもう居るじゃないと彼はパンダを私に手渡してきたものの、結局買ってきたら良いよという言葉も、止めておいたらという言葉もはっきりとは出なかった。そんな夫を前にしながら、私だけがこのところ毎日やっぱり買おうか、いや止めようかと一人で呟いている状況だった。

仕事の合間のランチタイムにぬいぐるみが欲しくなる理由について書かれている幾つかのネット記事に適当に目を通す。安心感が欲しいとか、満たされない気持ちがあるとか、愚痴りたいとか、コレクションの為とか色々あるらしいが、ざっと目を通した感じ、結局私の心理に当てはまるものは見つけられなかった。また、所謂衝動買いという訳でもない。衝動買いは、手に入れることが目的になり手に入れると興味を無くしてしまう事が多いという。そういう買い方は極力避ける様にしている。

私の持つぬいぐるみは思い出と共にあるのだ。そのぬいぐるみを見て触れる時、そのぬいぐるみと関連付いた過去の様々な記憶が蘇ってくる。そう、私の中では記憶を手繰り出すための媒体として位置しているのだ。そう結論付けた。

折しも夫が現在読んでいるのは、失われた時を求めてである。語り手がマドレーヌを紅茶に浸して食べた時、そこから過去の懐かしい記憶が蘇るという場面はあまりに有名である。実際には思い出すまでに一筋縄ではいかず3-4ページほど費やしていると夫が面白く語ってくれたのはこの日記を書いている前日のことだ。

周りの同僚がパンダのぬいぐるみを買おうかと迷っている私に、早く買わないと売れちゃうよ、パンダは人気なんだからと囁いた。
それにいよいよ決心して、じゃぁ買うことにするというと、まぁ実はもう一匹いるけどねとまさかの暴露。
えぇ?そうなの?知らなかった…。なんだか複雑な心境なんですけど。

店の奥の目立たない場所にひっそりとカゴに入っていたもう一匹のパンダ。こんな所にあるせいでお客さんにもあまり触られていない模様。顔も悪くない。うーん、一瞬どちらにしようかなと迷ったけれど、やはり毎日お客さんに手に取られる度にハラハラしながら目にしていたパンダを、連れて帰ることにした。少し鼻のプラスチックのところに傷があるが、それもまた愛嬌だ。

帰宅して、パンダのぬいぐるみを夫の目に付きやすい様に、夫に届いていた本と一緒にダイニングテーブルの上に置いておく。
夫は帰宅して直ぐにではなく、一呼吸置いてからパンダに気づいた。

あれ、やっぱり買ったんだ、という夫に、

そう、暫く悩んでいたんだけど欲しいというモチベーションが下がらなかったし、お客さんが手にする毎にはらはらするのが疲れちゃったからねと答える。

夫は笑ってパンダを手に取り、あぁこれは可愛いね、欲しくなったわけが分かったよと言った。背中の曲線が哀愁を帯びている様だと分析していた。

夜ご飯は家でとろろ蕎麦をたべ、夫と一緒に夜の散歩へ。
夜遅くまで開いているスターバックスカフェが併設のTSUTAYAへ行く。週末の散策候補にパラパラと雑誌を捲りながらカフェラテを飲む。

その日、私達が行ったスターバックスの抹茶スモアフラペチーノは発売から10日足らずでSold outのシールが付いていた。

#日記 #失われた時を求めて #パンダ #ぬいぐるみ #思い出 #カフェ

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