【ホッピー問題】ウマイ?マズイ?楽しみ方を「中」を重ねて考える
ホッピーって、おいしいのか?
ホッピーを飲んでいると、ときおりそんな疑問が頭をもたげます。
注文して、中追加して、ふと「なぜこれを飲んでいるのか」という風に。
ホッピーとは、焼酎の割材です。
販売元は「ホッピービバレッジ」https://www.hoppy-happy.com/
HPを見ると、ホッピーは「麦酒用清涼飲料水」「ビアテイスト発泡飲料」とあります。つまり「ビールの代わり」という立ち位置。
発売開始は1948年。高価だったビールのかわりに、焼酎を割って飲むことでビールらしき満足感を得られるお酒として広まったそうです。
東京の大衆酒場、焼きトン屋さんに必ずといっていいほどある、「安く飲める酒」の代表選手です。これは関東圏の文化(製造メーカーの工場は調布)らしく、僕は東京にくるまで存在すら知りませんでした。
冒頭に戻ります。僕はこれを注文するその何度かに一回、思うのです。
「これ、おいしいのか?」と。
ホッピーの「味」とは、なんだ
(西荻窪「豪」のホッピーセット。これが僕の中のスタンダードホッピー)
「ホッピーください!」というと、大抵このようなセットがでてきます。
栓を抜いたホッピーの1瓶と、ジョッキ半分弱の焼酎。
「焼酎」を「中」、「ホッピー(割材)」を「外」といいます。
ジョッキにホッピーをそそいでマドラーで混ぜて(マドラーはホッピーの瓶に差しちゃだめ。瓶はリユースしているそう)
完成。あとは喉を鳴らすだけです。
肝心の味はというと…なんか薄い。
甲類焼酎(安い焼酎)がベースのため、アルコール感はがっちり。
喉越しはいいけれど、高いアルコール感で「かー!」となる。
後味もビールほどの旨味はなく、むしろえぐみがある。
決して「ビールに近いおいしさ」とは言えません。ビール風なのに。
実は以前、「生ホッピー」という希少なホッピーを飲ませていただいたことがあります。サーバーから注ぐ生ホッピーは、それはそれはクリーミーで、本末転倒かもしれませんが「ホッピーらしくない!」飲み物でした。
しかし、その帰り道、最初に出た言葉は「…ビールが飲みたい」でした。
ビール風だけどビールとは似ても似つかない。ビールに近づくほど、本家のすごさが目立つ。
では、ホッピーの魅力とはいったい、なんなんだ。これを考えてみました。
ホッピーの魅力① 「中(焼酎)何杯のむ?」
(「中」をおかわり。するとジョッキの60%くらい焼酎が…)
ホッピーの醍醐味は「自分で割る」ことにあると思います。
「正しい(理想の)割り方」というがあり、「焼酎●●mlに対して、ホッピー1瓶で割ると、ちょうどジョッキがいっぱいになる」という黄金比が存在します。
(恵比寿 たつやのホッピー。これは1杯でちょうどホッピー1本を使います。ちなみにジョッキも「ホッピー専用」。☆印がホッピーを注ぐ目安です)
しかし、多くのお店では「最初にホッピーセットを頼んで、中(焼酎)をどんどんおかわりする」という飲み方がされています。
だいたい、ホッピー1瓶で焼酎2〜3杯くらいでしょうか。
場末のいい具合の店だと、「中」を頼むとジョッキに半分くらい焼酎をいれてくれます。そりゃあ、悪酔いします。そしてそんなアル中を仕留めにかかっているような酒場が、わりと好きです。
ホッピーの魅力②(三冷? シャリキン?)
お酒は嗜好品であり、飲む人の数だけ「流儀」があります。
自分で好きに割ることができるホッピーはその最たる存在といえます。
・三冷…ジョッキ、ホッピー、焼酎のすべてがキンキンに冷えているのがよしとする哲学。氷はなしです。先ほどの「たつや」はこのスタイル。
※ちなみに浦賀あたりではこの「氷なしスタイル」が一般的だそうです。(と、浦賀の飲み屋のおっちゃんがうれしそうに話していました)
・シャリキン…焼酎を凍らせた(!!)ものを使うといったもの。当然すごい冷たいです。三冷どころではないです。
(亀戸「したぢや」のシャリキンホッピー)
これがシャリキン。あらかじめジョッキに焼酎を注ぎ、そのまま冷凍しています。ジョッキを持つと手がくっつくいてしまうほどの冷たさです。
ホッピーを注いだ完成系がこちら。マドラーで混ぜるというより「崩し」ながら飲みます。
これはには「冷たい」「薄まらない」というメリットがあります。
ちなみに焼酎は「金宮」がもっともホッピーに合うとされています。
書いていて、「うるせぇなー」と思いました。安酒飲んでおいて、何こだわりのたまっているんだと。でも、金宮だとちょっとうれしくもなるのです。
そう、「安酒だからこそ【これこれ!】というニュアンス」が大事なのです。
では、いつ、どうしてホッピーを飲むか
僕は焼きトン屋さんにいくと、よくホッピーを頼みます。
着席と同時に「ホッピーセット」と、ろくに考えずに。
(再び西荻窪「豪」のホッピー)
そして焼きトンを何本か。
また、モツ系のクセ強めのつまみたちを。
(ジューシーでがつんとパンチのある焼きトンです)
肉をかじり、油の旨みが広がる最高潮のときに、ホッピーをあおる。
…………あーいい。
実際には「あ」ではなく濁点入りの「あ゛」と言っています。
焼きたて肉を、アルコール臭ぷんぷんの濃いホッピーでながす。後味がえぐくてまたいい。次の肉をくらい、ホッピーさらにあおる。
…ゆるやかにキマってる感じがある。幸せです。
(おじさんの至福です)
たまらず、「中おかわり」。焼酎がジョッキで届き、ホッピーをそそいでカラカラ混ぜる。飲むと、1杯目以上に焼酎感が強くて、もう悪酔いの予感しかしない。
世の中にある大衆酒場でホッピーを飲んでいるおっさんたち、あれはみんなもう、ホッピーの沼にはまってます。悪酔いするとわかってて、それでも「中」をおかわりしています。
10代のころは、スポーツドリンクで乾きをいやしていました。それが20〜30代になると、肉の塊を流すために喉を鳴らすようになります。それにはこれくらいの「ダメっぽい味」が必要なのです。
ホッピーは食べ物にあうとか、好みの味になるとか、プリン体0とか、そんな微妙なメリットをいうつもりはありません。味はかわらない。酒ががつんとくる。
でも、中を足す。もはや、東京の大衆酒場とセットになっているのです。
「ホッピーって苦手」「どこが美味しいの」という人に、僕はなにも言えません。
でも、今日もホッピーをおかわりします。
おまけのお店紹介
ホッピー写真を撮ったお店のなかで「豪」さんは10年くらい通っています。新鮮な串(とくにとろとろレバー)と名物の「焼き刺し」、そしてモツを使ったオリジナルの創作つまみ(はらみポン酢とか、生レバー炒めとか)が最高です。
下手するとホッピー外を追加するはめになるので、気になる方はぜひ。
豪(西荻窪)食べログですがhttps://tabelog.com/tokyo/A1319/A131907/13186048/dtlmenu/photo/
全然よさが伝わりませんが、焼いた「カシラ」の上に大量の「山芋(ざくぎり)」と薬味が乗ったやつです。
もちろん、お酒を飲みます。