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魔女にとっても人にとっても大切な話 【読書】 14

西の魔女の正体は、田舎の長い長い峠の坂道を登った山の中の薄暗い竹藪の先の荒れ果てた人家に住んでいる、まいの大好きなおばあちゃん。

おばあちゃんの家の庭の、レタスもキンレンカも野イチゴも、クヌギや樫やハシバミの木や栗の木が点在する雑木林も、飼っているニワトリの卵も、全部の情景がとにかく綺麗で、読んでるだけで健康になりそう。

おばあちゃんは大切なことをなんでも知ってるし、中学生のまいにわかりやすく教えてくれる。


「・・・魔女になるためにも、いちばん大切なのは、意志の力。自分で決める力、自分で決めたことをやり遂げる力です。・・・」


「ありがたいことに、生まれつき意志の力が弱くても、少しずつ強くなれますよ。少しずつ、長い時間をかけて、だんだん強くしていけばね。生まれつき、体力があまりない人でも、そうやって体力をつけていくようにね。最初は何にも変わらないように思います。そしてだんだんに疑いの心や、怠け心、あきらめ、投げやりな気持ちが出てきます。それに打ち勝って、ただ黙々と続けるのです。そうして、もう永久に何も変わらないんじゃないかと思われるころ、ようやく、以前の自分とは違う自分を発見するような出来事が起こるでしょう。そしてまた、地道な努力を続ける、退屈な日々の連続で、また、ある日突然、今までの自分とは更に違う自分を見ることになる、それの繰り返しです」


「おばあちゃんは、人には魂っていうものがあると思っています。人は身体と魂が合わさってできています。・・・肉体を持っている人間なら、誰でも傷を負ったら痛いと思うし、風邪をうつされて高熱が出たら、意識が朦朧としてくるでしょう。食べ物がなくなってお腹がすいたら、怒りっぽくなる人もいるし…」
・・・「それじゃあ、身体を持っていることって、あんまりいいことないみたい。なんだか苦しむために身体ってあるみたい」
・・・「・・・魂は身体をもつことによってしか物事を体験できないし、体験によってしか、魂は成長できないんですよ。ですから、この世に生を受けるっていうのは魂にとっては願ってもないビッグチャンスというわけです。成長の機会が与えられたわけですから」


本当に本当に大切な話。

本当に。


言わなきゃいけなかったことともう二度と言えないかもしれないことと言いたくない気持ちを上手に切り分けることができなくて心にシコリを残したままになることも、

全部が大切な話だった。

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