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正しい17歳の生活【小説】

5個で100円のクリームパンの封を開ける。
小腹とセロトニンを満たす高カロリーの20円を30回かけて咀嚼する。マルチビタミンサプリをプロテインドリンクで流し込む。
運動をしない女子高生の今日1日のエネルギーと栄養素の補給完了。
これが私のモーニングルーティン。
今日は正しい食事ができたから、誰に何をされようと安心して苦しい1日を過ごせる。

土曜日の日が昇り始める頃、飲み屋街の自動販売機の下に私は行く。
夜と高揚感に溺れた酔っ払いがおぼつかない手で水を買おうとした名残を拾うためだ。
上流階級の小銭が私の1週間の命をつなぐ生活費になる。
命をつなぐはずの尊いお金を集める正しい仕事なのに私はなぜだか恥ずかしく、髪の毛を隠し、公園で拾った男性用のジャンバーを着て地べたに這いつくばって自販機の隙間に手を差し込む。

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