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夜の本


おうち時間の増えるこの頃ですね。
はじめまして。kです。

好きなもの、好きなこと、大切にしていることを口にしているここを、
いつも、なんだかいい場所だなあ、いろんな人のエネルギーがいっぱい!と思っていたので
実那さんに誘ってもらって、るんるんしながら書いています。

私の好きなこと、心踊ること、書きたいこと、伝えたいこと


本のこと
ことばについて
外国のこと


一昨年の半年間、インドのチェンナイというスリランカに近い南の都市に仕事で行っておりました。

その時のことを「南インド滞在記」というフリーペーパーに少しずつまとめてます。(写真はver.2のもの)

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このフリーペーパーの内容紹介も兼ねて、今回はver.1で出した「夜」がキーワードの本についてのお話を。


『幾千の夜、昨日の月』(著:角田光代さん/2011年/KADOKAWA)

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作家・角田光代さんの夜をちりばめたエッセイ集。

高校最後の林間学校で友達と過ごした夜のこと、

終電が終わってから好きな人の元に向かうタクシーの中、

外国の小さな町で過ごす一人の夜について。

角田さんのエッセイの中で、
夜は伸び縮みしながらやって来ては去っていき、
当たり前にあっさりと次の朝が来る。

角田さんがどんな夜を過ごしていたとしても。

楽しかったり、悲しかったり
何でもない時間だったのに、あとからじわじわと影響を受けていたり…

誰もがきっとそれぞれの中で夜の話を持っているのではないでしょうか。

私の夜のお話は、
チェンナイに渡航してすぐのこと。


人のいない浜辺にぽつんと立って、夜を過ごしたことがあります。

牛だけが浜辺にいて草を食み、それをまんまるだった月のあかりでなんとなく捉えていた夜。

何をするでもなく、風と波の音を聞き、
月と牛をぼんやり見ながら、
それら以外の膨大な、飲み込まれそうな闇を感じていたこと。

私は、角田さんのこのエッセイを猛烈に読みたくなり、

ああ、でも今はインドにいるから読めないのだということをちゃんと分かっていて、
この夜の真ん中に立っているということを自分で文字にしたいと思いました。


まあ、文字にしたのは、半年後日本に帰ってきてからなんですけどね。


なんだか楽しい夜だなあ、とか
なんだか寂しい夜だなあと
夜を意識してしまう一人きりの時に、
読んでみてほしい一冊です。


ぜひ。


(2020年4月5日に02:00に掲載された文章を再掲載しています。)

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