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【司法試験のデジタル化】法学部から万年筆が消えゆく足音が聞こえる

 法学部の先生がニュースになる前に話していたため、私自身は1年近く前から知っていましたが、とうとう司法試験が2026年よりデジタル化されることとなりました。(※この記事は半年前に執筆したものです)

 そもそも、司法試験とは各科目2時間(選択科目は3時間)の中で、1500~5000字ほどある問題文を読んで、そこから2000~4000文字からなる「作文」という形で解答を作成するというものでした。そのため、高度な法的能力だけでなく、速記力や読解力が求められます。
 それが、今後は試験会場にてパソコンで答案を入力することになるようです。

 私はこの判断自体は正しいと思います。実務では書面をパソコンで作成しています以上、手書きで素早く答案を書き上げる能力は弁護士業を行う上では不要だからです。

 一方で、司法試験が手書き、すなわち万年筆等で解答されることがなくなることで、その波が学部にも広がり、将来的には法学部でも万年筆はもはや過去の物となり得ることは残念に感じます。

 昔、法学部の試験と言えば、万年筆で書くことが定番でした。それが、近年はボールペン勢が多数派を占めるようになり(万年筆を触ったことがないという友人は結構多いです)、さらには、鉛筆を許容する先生も増えたことで万年筆はさらに肩身が狭くなっています(※)。

※百枚単位にも上る答案用紙を重ねると、鉛筆書きの文字が摩擦により、薄くなったり消えたりする可能性があるため、大学の学部の試験では基本的に鉛筆書きは認められていません。

 そこに、学部でもデジタル化が進むことになれば、万年筆を使う人はもはやいなくなるでしょう。
 もちろん、解答用のパソコンの用意・不正防止対策など様々な問題点はありますから、直ちに法学部の試験方式までデジタル化されることはないと思います。

 しかしながら、現状がずっと続くとは思えませんから、10年ないし20年後には学部の試験レベルでもデジタル化が浸透していることでしょう。

 時代の流れには逆らえませんが、1年生のとき、60を超える憲法の先生から「法学部生なら万年筆だ」と言われ、意気揚々と万年筆を買った私としては手書きの大変さから解放されるうれしさの一方で、なんとなく寂しさを感じます。

参考:司法試験 2026年にもデジタル化 筆記からパソコンの受験方式に | NHK | 法務省(2023/10/19)


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