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【教員不足問題】「法学部」における教職志望者数の多寡とその要因

 近年、日本全国で問題となっている学校の教員不足。言うまでもなく、大学生の教職志望者数の減少が影響を与えています。しかし、これは大学全体・大学生全般で見た傾向です。では、私が現在所属しております、法学部という学部単位で見てみると何か違いはあるのでしょうか。

 まず結論を申しますと、私の大学における法学部生の教職志望者数は他学部と比較して群を抜いて少なかったです。何しろ、教職課程の履修者は「約1.3%」、さらに、免許状取得者に至っては「約0.9%」でした(※)。

※【算出方法】
履修者の割合=全学年の教職課程履修者数/全学年の法学部生数×100
取得者数の割合=一昨年度辺りの免許状取得者数/1学年辺りの法学部生数×100

 なお、これらはあくまで教職資格を目指している又は取得した法学部生の割合であり、大学卒業後、実際に教職に就いた法学部生の割合ではありません。それゆえ、教職に就いた法学部生の割合は0.9%という数字からさらに低くなります。

 以上の数字から分かる通り、法学部生の中で教職を目指そうとする人は皆無といっても過言ではありません。では、なぜ教職を志望する法学部生は少ないのでしょうか。法学部特有の要因について考えてみます。

 まず、挙げられるのは学部の勉強との両立の難しさです。
 確かに、色々と法学部の授業を上手く切り抜けて単位を取るテクニックはあります。しかしながら、他学部に比べるとやはり法学部は、学習内容及び卒業単位数という質・量両面において大変です。
 そのため、普通の法学部生ならば、既に大変な履修状況に教職課程を加える気力は起きないわけです。

 また、教職志望の理由の一つとして公務員ゆえの収入の安定性を挙げる人も少なくないでしょうが、法学部生の場合、それは国家・地方公務員を就職先に選ぶことで代替できてしまうからです。
 どういうことかと言いますと、法学部での学習内容は国家公務員試験・地方公務員試験の試験科目と重複しています。それゆえ、かかる収入の安定は、同じく公務員である省庁や県庁、市役所を就職先に選ぶことで、わざわざ教職課程を履修するまでもなく、実現できてしまうのです。

 さらに、法学部は経済・商学部と共に文系学部内では就活に強いとされている学部であり、将来の保険として教職課程を履修するにも、そのモチベーションに欠けるという点も挙げられます。実際、同じ大学の文学部の教職課程履修者数は法学部の7倍でした。
 また、法律系の資格は多数存在するため、将来の保険として教職資格を取得するぐらいなら、同じ資格であっても学部の勉強と関連している法律系の資格取得を目指す方が効率が良いわけです。

 このような事情から教職を志望する法学部生は少ないと思われます。
 しかし、法学部には教職を目指さないファクターしかないわけではなく、教職を目指す理由となり得るファクターも存在します。それは、塾バイトをしている学生数の多さです。

 ここで、給料が良いから塾バイトをしているだけではないかという意見も出てきそうですが、少なくとも私の友人で塾バイトをしている人は、人に何かを教える塾講師という仕事自体を気に入っているからという人がほとんどです。
 また、たとえ給与面が良くとも大学生にとっては頭が痛い頭髪制限がある職種ですから、それなりに好きでなければやっていられないはずです。
 それゆえ、決して法学部生全員が教育業界に対して全く関心がないわけではないと思います。

 ただし、結局のところ、法学部生に限らず大学生の多数は、そういった関心を消し去るだけのネガティブなイメージを学校の先生に持ってしまっているのが現実です。
 それゆえ、私のとある友人も、人に教えて分かってもらえるという塾講師の楽しさは気に入っているが、学校の先生にはなりたいと思えないから、今のうちに思う存分塾講師をしていると言っていました。

 そうだとすると、法学部特有の要因も影響しているのでしょうが、それ以上に、仮に学校の先生を含む教育業界に興味があったとしても、他学部生と同様に学校の先生という職業に希望を持てないがゆえに、法学部生は他学部の学生と同様に、教職を志望しないのだろうと思えます。



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