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店の味が恋しい

フレンチトーストが食べたい。

フワッフワに焼いたフレンチトースト
蜂蜜をたっぷりかけて
バニラアイスとベリーを散らして
最後にミントをアクセントに

そんなお洒落なフレンチトーストを出してくれる店はこの田舎にはない。
唯一あったファミレスは数年前の水害で水に浸かってそのまま閉店した。
以降、「お店のスイーツ」も食べられなくなった。


猛烈にフレンチトーストが食べたくなって作ってみることにした。

テレビでたまにやってる美味しいフレンチトーストの特集を思い出す。
広々とした鉄板の上におしゃれなフランスパンがちょこんと置かれて焼かれてた記憶がなんとなくある。
お皿に盛られる前から上品だった。
食パンですらない。参考にならない。

玉子と牛乳以外に何がいるんだっけ?わからん。
玉子はー…2個くらい使っちゃえ。
牛乳は計らない。めんどくさい。
多すぎても少なすぎても死なないから大丈夫。
卵液はこれでいいや。
最後に蜂蜜かければ甘くなるんだから他はいらん。
食パンを浸す。

あんまり吸わない…
ここで初めてスマホで調べる。
……は!?一晩浸す???
こっちは今すぐ食べたいんじゃ!!
私の口はもうフレンチトーストを食べる準備万端なんやぞ!

急きょ食パンをサルベージして一口大にちぎって再度卵液に投入。
よし吸った吸った。5分で完了。

これをフライパン…で焼くと多分一口大のフレンチトーストがバラバラに出来るだけだ。
玉子焼き用の四角いフライパンを使おう。
そこにぎゅうぎゅうに寄せて詰めて焼けば自ずと四角く再形成されるはず。
あたかも食パンのごとく。

私天才じゃない?

いざ、加熱。
おお、思ってた以上に四角くいい感じに焼ける。
玉子焼き用のフライパンって結構玉子焼き以外にも使える。
1人分の目玉焼きとか、ソーセージ数本だけとか。
これがあるから私はなんだかんだ小さいサイズの丸いフライパンを買う気が起きない。

よし、いい感じ。そろそろひっくり返そう。

今更だけど私はこの「ひっくり返す」のが苦手。
セルフで焼くシステムのお好み焼き屋さんでも大概失敗する。
お好み焼き県の人が見たら激怒間違いなしの無残な姿にしてしまうため、もっぱら夫の仕事だ。
自宅で料理をする際もひっくり返す必要がある料理は作らない。
トングでつまんで返せないものは焼かない。
フライ返しの出番はとても少ない。

今回は久々のフライ返しの出番だ。
フレンチトーストの底にフライ返しを入れる。
よし、いい感じにフライパンから剥がれた。
焦げてもいない。
表面はまだ卵液が固まってないからゆるゆるだけど底の方はしっかり焼けてる。

あとはこれを、
この四角いフライパンに、
ピッタリと、
フィットするように、
ひっくり返すのみ!

女は度胸だ!
せーのっ

よっ




……俺は………俺は馬鹿だ……


ただ、軽い気持ちだったんだ。
フレンチトーストを食べたかっただけなんだ。
賞味期限切れのカサカサの食パンを捨てるのが心苦しくて
そして賞味期限が迫った玉子があって
ちょうどいいじゃーんってなっただけなんだ。

ただ、フレンチトーストを食べたかっただけ。
フレンチトーストを…


コンロの上でバラバラに分解したフレンチトーストを拾い集めて焼いて食べました。
普通に美味しかったよ。うん。

これ以降5回目くらいからちゃんとひっくり返せるようになりました。
5回目までは拾い集めて食べました。
練習って大事。


はぁ。お店のフレンチトーストが食べたい。



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