2022/5/16『仮面』
わたしをゆるやかに通り過ぎる、弾丸
それは明日のわたしが虚数の空間に描いたもの
けだるさはミシガンの航路から、はずれている
アンダンテの弾丸はクリティカルな表情をしている
野菜を洗う女の背中から、発火する、雲
ベースを踏んで悩みを告げる彼は真剣な蝋燭を持つ
西洋絵画の伝統的テーマを覆い隠す、仮面の男たちは
ベニスへ行こうとする、波に揺られて
ニースへ行こうとする、重たい黒いカバンを引きずって
仮面を取って、わたしのために想像の船を飾る
ヨークの乳牛たちの仮面は緑の眼を隠し
ほころびて行く、糸くずとともに、化粧液のこぼれて
農奴たちの語る極寒の年のひもじさのゆえに
わたしを攪拌する金属の筒は放射能の音がする
ガーガーと、ウシガエルたちが鳴く
その満たされた声を録音だと言いながら、聞く
孔子さんは、老子さんの、ダンスを非難する
けだし、役者たちの昼食は遅れている、なおさら
仮面の音楽が、大洋の風に多くの非情を感じるだろう
船をかかげて、明るい甲板をかかげて
涙声でわたしは、航路を言う、航海を語る
そしてその不可思議の海の大いなる遺産を讃えるのは
クラゲの泪だ
海の水は透明の心理的浄水をそそぐはずなのだ
わたしは手に持つ、そのクラゲの言葉の奉仕する
こうして仮面は明らかな未来の星となる
人間は砂浜に眠ろうとする、眠ろうとしている
起き上がり彼は仮面を空へ投げ上げる
肉体の張り付いた、精神の溶け出した
それは仮面だ。