資金調達における”ステージ”の考え方
こんにちは。
ベンチャーキャピタリストJです。
最近親会社取引先からの相談が多くある中で、
「そもそも資金調達の”ステージ”って、基準は何なのか」
という質問が多くあって、
界隈の投資家と接点が持てない起業家、経営者には
”コレ”と言った正解に出会えないんだなと感じています。
とはいえ、「正解は無い」というか、
「時代によって意味合いが変化する」ので、
”コレ”といった正解が無いんでしょうね。
このnoteでは、
・私なりのステージの考え方
・ステージ別バリュエーションの肌感覚
について書いていきます。
”ステージ”の分類
資金調達の”ステージ”については、
シード :アイデアベースの段階。プロダクトは未完成。
↓
アーリー:ベータ版または正式版をリリースしている段階。
↓
ミドル :正式版をリリースして、課題仮説検証出来た段階。
↓
レイター:上場に向けて”あとひと押し!”の段階。
以上の分類と私は考えています。
この中で捉え方が変わってくるのは、
”アーリー” と ”ミドル” のステージでしょう。
イメージとしては、
”PreシリーズAとシリーズAはアーリー”
”シリーズA以降、ラストファイナンスの1つ前まではミドル”
こんな分類でしょう
続いて、ステージと混合される”シリーズ”についてです
”シリーズ”とは何か
”シリーズ”とは、「何回目の資金調達か」と同義です。
”シリーズとステージは別モノ”と捉えた方がいいでしょう。
現在のスタートアップにおける資金調達回数とその呼称、
(参考までに資金調達額目安は、)
エンジェルラウンド:1回目の資金調達(〜5,000万円)
↓
PreシリーズAラウンド:2回目の資金調達(〜1億くらい)
↓
シリーズAラウンド:3回目の資金調達(〜3億いったら凄い)
↓
シリーズBラウンド以降・・・(目指せ10億over!)
って感じです。
順調なベンチャーは、
資金調達ごとに株価(時価総額)が上がっていますが
たま〜に(往々に?)「前回と株価一緒です」ってパターンがあります。
「前回と同じ株価」って、
前回ラウンドよりも「おトク感」ありますが、
「成長してないの?」という疑問も持ちますし、
投資先がそういう資金調達していたら「えーっ!」ってなります(笑)
あとは、
”株価を上げられない”状況での資金調達は経営陣の希薄化も進みますし、
晴れて次のラウンドに進んでも、
”(希薄化の観点から)株価を大幅に上げなきゃならない!”
という負のスパイラルに足を突っ込みます。
コレまた た〜まに、
「シェアは気にしてない」
なんて漢気溢れる起業家がいますが、
「経営陣のシェア低い(≒安定株主がいない)銘柄は上場しても跳ねない」
と考える投資家もいるでしょう
シリーズA=A種優先株式なのか
ちょっと前まではイコールだったな〜って懐かしんでますが、
最近はシリーズAと言われても「普通株式」である事はよくあります
なので、「シリーズAなのにA種優先株じゃ無いんですか?!」
なんてクソ質問がきたら一蹴してやってください
ステージ別バリュエーションの肌感覚
ステージ別のバリュエーションは、
イコール=投資家の期待値とも考えられますので、
ここでは「低い」「一般的」「凄い」の分類でシリーズAまでを分類します
「低い」 「一般的」 「高い」
エンジェル : 5千万以下 1〜3億 3億超
PreシリーズA : 〜3億未満 3〜8億 9億以上
シリーズA : 9億未満 10〜15億 15億超
こんな分類です。尚、調達後のPOSTバリュエーションです。
コレがハードウェアも絡む(作る)事業の場合は、
各ステージの「高い」分類のバリューションが相場かと思います。
上記は投資家、VCの「EXITイメージ」によっても高い低いの判断は分かれると思います。
とはいえ、
日本のマザーズ上場企業の公募平均が〜60億である事を考えると、
投資後3年は花の咲かない投資で15億は高いのかなという印象です。
まとめ
・シリーズ ≠ ステージ
・シリーズは”プロダクトの状況”、シリーズは”何回目の資金調達か”で分類
・”シリーズAだからA種優先株でなければいけない”訳じゃ無い
・物作り系じゃ無いベンチャーのシリーズAでPOST15億超は「割高」
以上です。
いかがでしたでしょうか?
コレはVCによって感覚が異なる、特にバリュエーション感は異なってくるとので、色々なご意見、感想お待ちしております!!!!