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ロバのパン屋さん

<古い記憶より> こんな事ありました

ロバのパン屋さんを懐かしく思い出す方もあるかと思いますが、まあ、一定の年齢以上の方に限定されるでしょうか。

ロバのパン屋さんと言っても、ロバが馬車を引いているのは見た事はありません。
小さめの馬が、菓子パンや蒸しパンが入っているガラスケース(?)を乗せた馬車を引いて来ました。
ロバは馬と比べると、力も弱いしデリケートだったとかで、馬の登場となったようです。

『パン売りのロバさん』の軽快で親しみやすい曲が流れて来ると、いつもの小広場に子ども達が駆けつけます。馬を触ったりしていると、お母さん達が
財布を持って、ご近所さんとやって来ます。

住宅街で育った子ども達が初めて馬を見たのは、移動パン屋の馬だったと思うのです。

私は甘い物は小さい頃から苦手で、ロバのパン屋さんの菓子パンが食べたいと思ってはいなかったのです。それでも絶対全部食べるからと母と約束したのに、アンコやチョコの部分は、妹に食べてもらっていました。

そうそう、思い出しました。
馬は生き物なので、落とし物をします。
私が初めて見た馬糞も、この時の物だったはずです。馬は身体が大きいので、落し物もそれなりでした。

座りこんで観察(?)したのを覚えています。
なぜ覚えているかというと、心当たりが。
ワンパク坊主が、棒に馬糞をくっつけ、女の子達を追い回したからです。
女の子達は服に付けられたら大変と逃げ回ります。
まさに「ぎゃ〜」ですものね。

その男の子は、パンのおじさんに大声で怒られ、その拍子に転び、女の子にくっ付けるはずが、自分の服に。という出来事があったのです。
まあ、マンガみたいな話。


昭和30年代(1960年代)は、紙芝居とロバのパン屋さんは子ども達の小さなイベント。あの頃の自分が皆んなと押し合いながら背高立ちで後ろから覗き見している姿が見えるようです。

そんな『ロバのパン屋さん』も、いつしか馬の代わりにライトバンになっていきました。

衛生問題と、車が増えていく中、道路で馬がクラクションの音に驚き、制御できない事で事故につながった事がきっかけらしい。道路に残される落し物も問題だったようです。

私達の世代に、たくさんの驚きを、楽しみを運んで来てくれた『ロバのパン屋さん』。
私の心の中で、今でもちゃんと思い出を運んでくれています。

今でも、京都や幾つかの県に残っているそうです。もちろん、馬はひいてはいないでしょう。
昔の味が、そのまま残っているのなら、食べてみたい。いえいえ、あの味は思い出のままにしておきましょう。