見出し画像

フリーデザイナーの道具選び フォント編

前回まではデザイナーに必要な道具と題して、パソコン周辺機器を紹介してきたが、今回はソフトウェアの類に属するフォントである。これも立派なデザイナーの道具だろう。和文と欧文では環境が大分違うが、フリーランスが持つべき最低限のフォントを紹介したい。

和文フォントはモリサワパスポートが基本

グラフィックデザイナーは主に文字を扱う職業だ。フォントなくしては仕事にならない。そしてそのスタンダードがモリサワパスポートである。この環境が整っていないと、個人的な依頼や、小さな仕事はできるかもしれないが、通常の商業印刷の仕事はできない。最低限の投資とあきらめて、毎年投資するしかない。
モリサワパスポートには誰もが目にするオーソドックスな書体からPOP書体まで豊富なラインナップを揃えている。PCとAdobe Creative Cloud、モリサワパスポートがあればとりあえずデザイン稼業は始められるのである。契約は直接モリサワともできるが、アマナなど代理店での契約だと少し安くなることがある。

個性的な書体ときれいな本文書体のLETS

モリサワと並んで有名なのがフォントワークスのLETSだ。とはいってもどちらかと言うことではなく、あくまでモリサワを導入して、それプラスということになる。特にエディトリアルデザインや、キャッチフレーズに使いやすい筑紫シリーズは持っておきたい書体ではある。価格もモリサワパスポートより安い。

フリーフォントにも良い書体はたくさんある

こうしたベースとなる書体を準備した上で、フリー書体も活用しよう。個性的な書体が豊富に揃っている。手描き風やPOP系はフリーでしか手に入らないものが多い。

欧文フォントはフォントストアで

欧文フォントの入手ルートは和文フォントとは大分違う。和文フォントほど厳格なプロテクトをかけていない欧文フォントは、正直自由にやりとりされていた。入稿データと一緒に添付されている場合もある。
また、OSやAdobe製品に他のアプリなどに付属している場合も多く、オーソドックスなフォントはいつの間にかPCの中にあると言うことが多いかもしれない。
話はそれるが、長くデザイナーをやっていると昔から持っている欧文フォントの多くが現在主流のOpenTypeFontではなくType1 Fontということになる。Adobeは将来的にType1 Fontのサポートをやめるらしく、そろそろOpenTypeFontに切り替えていかないといけない。
欧文フォントの入手ルートは基本的にはLinotypeFonts.comなどのフォントストアだ。頻繁にセールをやっているので、今すぐ買わなくてもアカウントを登録していれば、DMをもらえる。
有名なFrutigerやUnivers、Gothamなどはこうしたストアで購入するしか方法はない。またこうした書体はファミリーとして豊富なウェイトが用意されている。すべてを揃えるとかなりの金額になるが、できれば持っておきたい。

欧文フォントもサブスクリプションの時代に

高額な欧文フォントも近年サブスクリプションサービスにより、入手しやすくなった。和文フォントでも紹介したフォントワークスのMonotype LETSだ。Monotype社の欧文書体をすべて使える。欧文を頻繁に使う人は検討するべきサービスだろう。
そもそもAdobe Creative Cloudを契約していればAdobe Fontが使える。正直そんなに欧文書体を使う機会がなければ、これで十分な気もする。FutraやDINなど有名な書体もある。通常の仕事ではこれらを使い、特に気になる書体はフォントストアで買うのがこれからのスタイルなのかもしれない。

和文フォントにも欧文フォントを

英文を扱う仕事がなくても、欧文フォントを揃えたら、IllustratorやIndeignで合成フォントを作ってみよう。例えば視認性の良いUD新ゴの数字や約物にHelvetica Neueなどウェイトが豊富なフォントを組み合わせるだけで、同じフォントが見違えるようになる。特に数字などが多く入るデザインには是非活用して欲しい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?