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判断能力の基礎を養う。サーカディアンリズムと基準の内在化

私たちは普段の生活の中で時間を1つの物差しにして生活を送っています。朝7時に起きて9時から仕事して、12時にお昼を食べて・・・。
休日であっても何時になったら起きようとか15時に友達と待ち合わせ・・・といった具合ですね。

これはこうゆう舎のスタッフも実践しているフォイヤーシュタインメソッドでも言及されていますが、私たちは基準を持つことで生活を送っています。

この基準の持ち方は文化によって習慣化されることも多いので、日本人が時間に厳しい、というのは今日の社会が作り出した文化です。
同様に「海外には時間にルーズな国もある。」という話をよく聞きますが、もしかしたら時間にルーズなのではなくそれ以上に遵守すべき基準、すなわち文化を持っているから、と考えることもできます。

さて、こうした基準を持つことができるかどうかはサーカディアンリズムの形成と無関係ではありませんので、少しサーカディアンリズムについても振り返ってみます。

サーカディアンリズムは生後3カ月ごろから徐々にまとまった睡眠をとることができるようになり、生後6カ月ごろから次第に夜の10時間から12時間のまとまった睡眠を取るようになります。
昼・夜の生活リズムが出来上がりますね。

サーカディアンリズムは視交叉上核という脳の部位が担っていて、人間に限らずどの生物にも存在しています。
しかし人間と動物の大きな違いは、人間の場合は「そのリズムがさらに細かく分割される」点にあります。この分割された基準はサーカディアンリズムを基礎とし、習慣、社会文化、というように段階的に分割されていきます。

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細かく分割されたリズムは意図的に習慣化しなけなければなりません。意図的というのは注意を向け、自ら気づき、実行に移り完了するまでの流れを習慣化することですので、このとき注意力が十分に形成されていなかったり本来無意識になるであろう習慣形成が不十分だったりすると、習慣のための基準を内在化することが難しくなるのです。作業記憶と呼ばれるワーキングメモリの働きが弱い場合でも同じことが考えられるでしょう。

基準を持つことが困難でかつそのままだと、やがて適切な判断が難しくなります。判断にはなんらかの基準が伴うからです。そしてこの判断能力が低下するか十分に形成されていないと、生活習慣全体が崩れていくことになります。

私は様々な相談を受けますが、こうした事情によって基準を内在化することが難しい生徒も多くいます。その場合まず1つの基準を設けることから提案します。それは入浴時間や食事時間、娯楽の時間など取り組みやすい基準から習慣化を行うと良いでしょう。

次回は基準と学習の関係について、まとめていきたいと思います。

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