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ふたりの殿方

パートナーがいるというのに、この1週間でふたりの殿方に告白された。
しかも、同じコミュニティ内の人たちだというのだから残酷な話だ。

きっかけはそれぞれ些細なことだった。
Aくんはお酒を飲んで、酔っ払って手を絡ませながら、「なんで彼氏じゃなくて俺を選んでくれないんですか」と涙されて。
Bくんはみんなで誕生日パーティをしているというのに、物陰で「好きな気持ちが止められないんだ。もういっそ体だけの関係でも構わない」と詰め寄られて。

「わたしは酔っ払った勢いで言ったことは忘れてあげるけれど、他の女の子にやるのはやめなさい。特にパートナーがいる子にはね」
「わかったよ、次はちゃんと素面で告白するよ」

夏の魔物の最期の悪足掻きなのだろうか。

#エッセイ
#告白