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秋の夜長に一杯の紅茶を

11月1日は紅茶の日、である。
わたしが一年でもっとも大切にしているイベント、ハロウィーンの次の日だ。
特別感がある日取りでとてもよい。別に何かするわけでもないけれど。

11月、日本の秋の夜は長い。
そんな宵を心地よく過ごすのに、紅茶は外すことができないとても大切なものだと私は思う。この時期、特によく飲むものが2つあって、今日はそれを紹介したい。
1つはチャイティー。
ミルクで煮出した紅茶にスパイスを散らすそれはとてもまろやかで、かすかな刺激が体を心地好く温めてくれる素晴らしいのみものだ。
私は去年まで生姜紅茶ベースで作っていたが、今年はシナモン(ニッキ)紅茶ベースに変えた。その方が仕上げの黒胡椒も、生姜もぐっと鮮やかに味が出ておいしい。
牛乳を焦がさないよう軽くスプーンでつつきながら、くつくつと音を立てる鍋を見ていると穏やかな気持ちになれる。寒い日の風物詩だ。

もう1つ、秋の夜長に外せない紅茶がある。
普段通りに淹れたブラックティーに、数滴のブランデーやキルシュワッサーを垂らしたものだ。お菓子棚に残っていればチョコレートの欠片やレーズンをソーサーに添えて完成。紅茶の名前はなんというのか忘れてしまったが些末なこと。勝手にブランデーティーと呼んでいる。
ベースは中国茶葉よりインド茶葉が良い、と思う。蒸留酒の香りに負けないしっかりコクのあるもの。
大抵私はそれを安くて美味しいアッサムやキャンディで作る。高い紅茶で作る必要はない。
いつものように家にある紅茶で、家にある香りの良い蒸留酒をほんの数滴。
ふんわり漂う大人の香りを含んで舌を温めて、チョコレートを口の中で溶かして、を交互に繰り返すのが美味しくてたまらない。

ティーマグの中の温かい紅茶を飲みながら、レーズンをつまむ夜長はとても楽しい。紅茶さえあれば私は何処へでも行ける。あしびきの山鳥の尾のしだり尾のごとき夜であったとしても、だ。
今晩は何から飲もうかしら。

#エッセイ
#紅茶
#秋の夜長