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抗うつ薬の初期症状について。

薬を飲みだした直後かその後のすぐに現れる(ことがある)何かしらの違和感や不調のことで、副作用の1つとされている。
多くの場合、体が順応すると落ちついていくが時に相当きつい状態となることがある。
-個人的な定義

最近同じ病気の知人が追加処方された薬でこれに(2連続で…)なってしまい、相談に答えているうちに苦い経験を思い出した。

当然だが本来の症状の方が大きいし、誰しもに出るわけではないから埋もれがちなことではある。
知っていて対処できている方もいるかもしれないが、当時の自分は副作用は知っていても初期症状なんて聞いたことなかった。
過度に心配してほしくはないが、結構あることなのにあまり知られてないようだし、メンタル的な病気ではそれすらがかなりなダメージになり得るから尚のことばかにならないので知っておいたほうがいいはずと思っている。

もちろんただの当事者だから専門的なことは言えないし、誤解を招きたくないから薬の名前も書かない。
また、同じタイミングで注意が必要な賦活症候群だった可能性もゼロではないが体感的に違っていると思うので初期症状として体験したことを書く。
できるだけ本来の病状などを含めあっさりと書くつもりだが、どうしても主観的な表現になってしまうのはご了承を。

《経験した初期症状》
本来の症状や状況にまぎれて気づかなかったものもあるかもしれないが2度あった。
1度目
どうやら病気になってしまったようだと認めざるを得なくなりつつも仕事していた頃。
不眠や頭と体の重さなどが続き時々仕事を休みながらもその頃抱えていて思い入れもあった仕事を終えれば楽になるだろう、なるはずと思っていた(どこかのタイミングでは思い込んでいた?)から、通院しだしてからも医師に「仕事しながら治療する方向で」などと今思えば…な注文をしていた。
最初の薬では何ともならず症状と状況はひどくなるばかりで、しばらくして別の薬に変更された。
これも今となってはな話だが、そんな思いでいたし、病気→治療=薬的な感覚があったから期待しつつ飲んだ。
だがその頃にはデフォルトのように感じだしていた不眠を経て迎えた朝、それまでとは違う吐き気やしびれ、体のだるさと重さで動けなくなってしまいまた会社を休むしかなかった。
どうにも耐えられず、これはどう考えてもおかしいと不安を感じ病院に電話したら医師から「薬が合ってないせいだから飲むのをやめて」と言われた。
やめて2日ほどでこの感覚はなくなった。

だがもちろん状態は変わらずどころか良くない方向へいくばかりで、次の診察で別の薬が処方された。
この薬には妙な反応はなく、その後この薬がベースになっていった。
後から知ったことだが、この新しい薬は少し前の世代のものだった。
2度目
これは休職してしばらくしてからのこと。
眠剤にも相性があるせいか休む前からの不眠が続いていて、それにも効果があるからと先の薬に追加で別の抗うつ薬が処方となった。
この頃はとにかく何かにすがるような思いでいて、薬局でもらった以下同文的な説明書きや帰り道にネットで調べた情報にも少なからず期待を感じて飲んだが症状が改善するどころか余計に眠れなくなった…
今回のものには吐き気やしびれなどはなかったが、不眠の感覚が頭の中全部が休まらず動いているような感覚で少しのまどろみすらなく、それまでとは明らかに違った。

おかしいとは感じつつも症状のせいかもしれないし、この頃には薬の効果が出るのに時間がかかると知っていたからしばらく飲み続けた。
だが結局どちらも改善せず、自分から言い出してこの薬をやめることになった。
当時はそれを言い出すことにすらもエネルギーがいった。
これもやめてしばらくしたら妙な感覚は消え、とりあえずは少しほっとできた。

後から思えば少し逆で、症状の改善よりも不眠を解消して身心を休めることを優先すべきだったのだろうと思う。
当時はそんなことも考えられなかった。

《また同じ薬を飲むことに》
トンネルの中にいるような時間をこの薬とこれをベースに追加した薬と過ごした。
余談だが、通院からの帰りの電車で何度薬の情報を調べただろう…。
もちろんカウンセリングや自分なりにできることもあれこれもがくようにしていた。

ずいぶんしてからになるが、自分から言い出してベースとしていた薬を替えてもらうことにした。
症状のつらさや焦燥感などは相変わらずでいても別の眠剤でようやく少しは眠れるようになってきていたこと、感じられてはいなかったがどこか身心が休まってきていたなどのタイミングによったのかもしれない。
例の薬での副作用が続いていたせいもあった。
とにかく何か状況を打開したくてのことだった。

医師に伝えたのは別の、できれば新しい世代のものにということ。
その結果処方されたのは1度目に苦い思いをした薬だった。
自分で言い出したとはいえ、いくつか種類ある中でこれを?と思ったが、それについて何の説明もなかった。
それにあの頃のことは諸々のことが混然としたトラウマになっていてその象徴的なものでもあったから期待よりも不安を感じたが、当時はそれを質すエネルギーもなく少なくとも薬を替えられたことに少し納得しながら飲んだ。

ありがたいことに何の初期症状も出なかった。
ほっとしながらも今回はあの時のようなことにならなかったことに疑問も感じたが、やはり状態などにもよるようだ。
それでもすがるように願っていたような症状の改善は感じられなかったが、その後の副作用もなく済んだ。
病気自体はそれからもかかったが。

《その後》
この薬にしてからも良かったのは副作用がなかった位のことでしばらくしてこれをベースに追加の処方を受けた。
これには何の変な反応はなかった。

それからも長かったし、主治医を替えてもらったりあれこれあった。
それでもずいぶんしてからにはなるが徐々に、本当に徐々に快方へ向かうことができ、かなりしてからだが仕事できるようにもなれた。
もちろんこれは薬だけのおかげではなく、周囲のおかげとカウンセリングや他に自分なりにしてきたこともあってのことだと思っている。

数年経った今、断薬に向け減薬を進めているとはいえいろいろ思うようにはできていないことも多いが、何とか生活し仕事できている。
今も時々体調を崩したりしてはいるが。

《まとめ》
初期症状と副作用
古い世代の薬をよくないということではない。
とにかくは少しでも症状が緩和し改善に向かえればいいのだから。
他の病気にもあると思うが、この病気の薬には合う合わないが大きいようだし、治療者側に立ってみれば治験が多く安心感や臨床上のセオリーなどから仕方ないことでもあったかもしれない。

ただ体験や見聞きしたこととして、一番の違いは薬への反応の体感的な違いだと思う。
初期症状は飲みだしてすぐ、数日の間に現れる。
これは多くの場合、薬とは言え体内に異物が入ったことによる反応の1つ。
抗うつ薬の場合は異物というより体内、特に脳内で分泌量に変化が生じてしまっている神経伝達物質の量を補完等することによる反作用的なもの。
時にはそれ自体がきついこともあるが、体が順応できてくれば治まってくることも多い。
副作用は、これも耐え難いような場合もあるが、とりあえず耐えられるレベルであっても多くは本来の効果が出てからも長く続く。

少し前の世代の薬は確かに初期症状はなかったが、副作用では長く苦しんだ(その後の追加薬の影響や状態など他の要因もあったかもしれないが)。
後になって考えれば初めの頃は何をしてもどうにもならない状況だったのだろうとも思う。
それでもあの時、こんなこともあるかもしれないがそれは初期的な反応なのでそれを過ぎれば効果が出てくると知っていたらとかあの連絡をした時に医師にそう聞かされ、きつくても落ちついて対処できていたらといまだに感じることがある。

客観的な判断も難しいだろうし、余計な心配を避けるためだったかもしれないが医師からこうしたことを聞いたことはなかった。
薬局でもらう簡単な説明にはこんなことは書いてなくどれも似たり寄ったりのことが書いてあるし、後になってから試みに少し踏み込んだ質問をしたら、それは医師にと言われた。
確かに薬を飲むなら自分でもその効能とあり得る影響について知っておくべきだろう。
当時はそんな気力もなかった。
自分で調べるとしても手近なところではネットにしかないし、確かに副作用のことも書いてはあるがどの薬にも同じようなことが書いてある。
難しいことも多いだろうとは思うがもう少し患者側の状況に沿った説明や伝え方がされたり、当事者側に正しくて必要な情報が得やすい環境となればと願っている。

ネーミング
“初期症状”というネーミングは病気の症状や副作用の1つ的な印象があって違和感がある。
確かにこれも副作用の1つと括られてはいるし、服薬の中で現れる現象だからまとめれば副作用の1つとされるのは当然だとは思う。
だが、その時に現れるものとその後も継続する副作用とは明らかに違った。
個人的には“薬の初期反応”などのほうがまだいいのではないかと思う。

《おわりに》
お読みいただきありがとうございます。
体験したことだけで何の対処法も書いていないですし、当事者でしかない素人の話ですのでそれを汲んでいただいた上で参考になることがあれば幸いです。

もし今きつい状況にいる方、特にメンタル的な病気の方に嫌な思いをさせてしまったなら本当に申し訳なく思います。

薬の効果と影響の出方(特に影響のほうが大きいかもしれません)は人によって違うようだし、誰しもに出るものではないので余計な心配をしてほしくないのですが、可能性として知っておいてほしいと思っています。

ご存知の方も多いと思いますが、抗うつ薬の効果(いいほうの)が出るまでには2週間ほどかかります。
当事者にとってこの2週間は何とも言えない時間ですが、その間にそれまでとは違う感覚があったらそれは大なり小なり初期症状や賦活症候群の可能性があるかもしれません。
ただ、大抵の場合は少しすると体が順応して治まってくることも多いようです。
その薬をやめるやめないの判断は難しいですが、少なくともこれを知っていればきつくても少しだけでも慌てず落ちついて対処できると思います。

今も当事している者として、どうか少しでもこんな思いをしなくて済みますようにと願っています。

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