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3/12(Tue)のBAR HALL LIVE。

3/12のBAR HALL LIVEは、これでもかというような雨でした。

思えば、BAR HALL LIVEの日にこんな雨に降られたのは初めてだったような気がします。
「誰も来てはならぬ」とでも言いたげな、とにかく強い雨でした。

それでも、この日は節目の大切な日でもありました。
3月は出会いと別れの季節。
卒業、入学、進級、就職、転勤、転職。
終わったり、始まったり、変わったり。そんな節目の季節です。

そして、BAR HALL LIVEも最後になるかもしれない日でもありました。
“なるかもしれない”というのは、まだどうなるかわからないのでそう書いています。

というのも、今月いっぱいでホールの管理者が変更となるため、これまでの管理者の方々と運営を行うのは、今回が最後。
来月以降、開催できるかどうかわかりませんが、開催するにしても、新たな形になるでしょう。

関係者にとっては、そんな感慨深い日でありながら、雨で且つとても寒かったこともあり、お客さまはいつもより少なめでした。
それでも、弾きに来てくださった方、聴きに来てくださった方、チラシを見て立ち寄ってくださった方、「30分しかないけど来ちゃった!」と、お忙しい中立ち寄ってくださった方も。

開始から時間が経っても雨脚は一向に弱まる気配がなく、一面ガラス張りの窓の外を歩く人の姿も少なく、外界からシャットアウトされたかのような空間に、いつしかまったりとしたムードが流れ始めました。
いつもなら、街ピアニストの方々が、グランドピアノの横にずらりと並んでいるのに、今回はがらりと空いています。
その分、弾きに来てくださった方々がゆったりと、色々な曲を演奏してくださいました。

冒険的な難しい曲、滑らかに動く指を楽しむかのような曲、
大雨に反してどこか楽し気です。
その演奏に伝えられる感想や拍手、そこから生まれる会話も和やかで、時折笑い声も。
ワインを飲みながら楽しそうにお話しされている方々、
お一人で、ゆっくりとワインを飲み、音楽に耳を傾けている方、
閉ざされているからこそのリラックスムード、外が寒いからこその温もりがありました。

そんな光景を見ながら、私は、5年前にこのBAR HALL LIVEに一人の観覧者として初めて来た日のことを思い出していました。
“こんな場所が、こんな楽しい企画があったなんて、どうして知らなかったのだろう”
そんな気持ちで、ホカホカしながら帰ったことを思い出します。
その日の会場の明るさや光景、演奏された曲、自分が着ていた服やいただいた飲み物まで鮮やかに覚えていました。
こういう状態を“昨日のことのように思い出す”というのかもしれません。

以来、このカウンターに立つ側になって、ワインを注ぎながら、沢山の演奏に耳を傾け、音楽とワインのシーンを見させていただきました。
それは言葉にできないほど豊かな時間でした。

そんな感傷的になっている私をよそに、時間は止まることも無ければ早まることもなく、そ知らぬ顔で刻一刻と過ぎていき、終わりの時間を迎えました。
笑顔で帰って行かれるお客様たちを、私も笑顔で見送りました。

今月の季節のモクテル "Spring Fizz 初桜"

”初桜 折りしも今日は よき日なり”

とは、俳人、松尾芭蕉の一句。
今月の季節のモクテルは、“初桜”と名付けました。
淡いピンク色に桜の塩漬けとミントを浮かべた、ノンアルコールカクテルです。
なんと雨の夜に似合わないのでしょう。笑
でも、今日という日も、忘れられないよき日でした。
お楽しみいただいた皆様、ありがとうございました。

これまで来場いただき、素敵な演奏を披露してくださった皆さま、ワインやノンアルコールカクテルを楽しんでくださった皆さまに、感謝の気持ちでいっぱいです。
また、「いつか行ってみたいです」と嬉しいお言葉をくださった方々も、ありがとうございます。
皆さまに直接お別れが言えず、申し訳ありませんでした。

来月以降は未定ですが、
いつかまた、お会いしましょう。
BAR HALL LIVEで。

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