エフェクターコラム16 「Reverb その3 オールインワン系デジタルペダル」

前回はトラディッショナルなスプリングリバーブ系ペダルについて書きました。今回は「オールインワン系デジタルリバーブペダル」についてです。前々回にリバーブにもいろいろあるよ、ということを書き、それがアナログ機材からデジタル機材に時代とともに進化していったよ、ということも書きました。そうです。デジタルです。デジタルとは無限の可能性。アナログのような「これしかできないけどこれだけだったらおれが最強」も魅力がありますが、「デジタルだからできることはなんでも詰め込んじゃうしできちゃう」にももちろん魅力があります。

ルーム系もプレート系もスプリング系も1つで、さらにデジタルだけのエフェクト効果も

オールインワン、ワンストップ、任せて安心、広告なんかでもそんな謳い文句を目にすることは多いですよね。これひとつあればなんでもできちゃう、という利便性、さらにいくつも買うよりお金もかからない。デジタルなら様々な部屋の音響効果のようなリバーブから、プレート、スプリング、いろいろな効果がツマミを一箇所いじるだけで自由自在!さらにアナログでは絶対に出せなかったデジタル独自の特別な効果までできちゃう。さらに独特な音響効果を生み出すような、いわゆる「アンビエント系」のリバーブもデジタル機材にしか出せません。動画の最初に貼ったChase Bliss AudioのDark Worldなんかもその効果がわかりやすい代表機種だと思います。とにかくいろいろな気持ちのいいリバーブ効果が出ちゃう。

最近のアンビエント系リバーブの名機、StrymonのBig Skyでデジタルならではのアンビエント効果を聞いてみてください。どうですか?すみきった大空を眺めているようなこの壮大なサウンドスケープ。ああ気持ちいい。あれも気持ちいいこれも気持ちいいってそればっかりになります。

シューゲイザーからポストロックまで様々なシーンで

ギターだけでなくデジタルリバーブの発展とともにいろいろな音響効果を多くの人たちが作ろうとしてきたわけですが、ギターにかけるリバーブ、という区切りでまず革新的だったのがシューゲイザー系の人たちではないでしょうか。

轟音がかけぬけた瞬間、うおおおかっこいい!こんな音どうやって作ってんの?って思いますよね。このギターサウンドは様々なエフェクターの合せ技で作られていますが、その中でも外せないのが、Yamaha SPX90のReverse Gateです(ペダルじゃなくてラック式のエフェクターでごめんなさい)。シューゲイザー、アンビエント系もめちゃくちゃディープな世界なので下手なことを書くよりは、マイブラのケヴィン・シールズが特集されてるギター・マガジンをとにかくおすすめします!

もうちょっとわかりやすく心地いいアンビエント系のギターサウンドだとCovetのYvette Young女史。

こちらもリバーブだけではないですが、トラディッショナルなアナログリバーブではない、モダンなデジタルリバーブの美しいギターサウンドです。便利さ、オールインワン系のメリットだけではない、デジタルリバーブ独自のサウンド、良さが伝わったでしょうか。

デジタルオールインワン系の代表機種

BOSS RV-6

定番オールインワン系デジタルリバーブと言えばBOSSのRV-6、一般的なリバーブからアンビエント系まで一通り全部このコンパクトな筐体に入っています。前機種のRV-5も未だに根強い人気がありますが、よりデジタル感の少ない高品質な音がする印象です。

Walrus Audio Fathom

こちらもアンビエント系の人気機種。深海探査艇のイラストの通り、深い海の底のようなクリアでディープなリバーブが特徴です。デジタルリバーブは「アナログらしい再現性」か「デジタルらしいエフェクトの音作りのセンス」で見られることが多いですが、こちらも完全に音作りのセンスの良さを感じる機種です。
より多機能なR1 High-Fidelity Stereo Reverbも試してみてください。

Strymon Blue Sky

もはや定番の名機としての地位を確立した感のあるStrymonのリバーブ。ハイファイな美しいクリアさのある美しいサウンドが持ち味です。より多機能さを求めるなら先程に動画でも出していたBig Sky、小型でコンパクトさを求めるならこちらのBlue Skyがおすすめ。

Universal Audio UAFX Golden Reverberator

レコーディング用のアウトボードから、DTM用の名機の再現プラグインまでとても評価の高いUniversal Audio(以下UA)のリバーブ。他の機種と比較して価格が頭ひとつ出ている高級機種ですが、もはや定番扱いされているほどのデジタル再現の高さがこちらでも遺憾なく発揮されています。UA系のデジタル機材はいろいろな種類がリリースされていますが、ビンテージライクでロックなフィーリングがきちんとデジタル機材の中にあるところ、さらにやはりオリジナル機種の再現性が特筆すべきところだと思います。

デジタルリバーブのデメリット

最近の機種はかなり減ってきましたが、当然多機能バンザイ型のデジタルリバーブにはデメリットもあります。それがよく言われる「デジタル臭い」というやつです。デジタルパーツでなんとかリアルな残響を際限しようとしているので、どうしても音がぬめっとしてしまったり、ニキニキしてしまいます。これはメーカーや機種ごとで様々ですし、その「デジタル臭さ」をうまく使いこなせればもちろんメリットにもなると思います。

おわりに

デジタル系リバーブペダルも日々新しいものがリリースされ、膨大な数になり、もはや全体像を把握することが難しいかもしれません。説明も長くなってしまいましたが、リバーブに関心を持った方がだいたいの流れや代表機種なんかを把握しつつ、好みのものを手に入れる一助になれば、そして今回も楽しんでいただけたらうれしいです。

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