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「できるからするだけ」被災地ボランティア初体験

大分在住の私は2016年4月14日の熊本大分地震、震度6強の揺れの中、車を運転してた。なんかハンドル取られるなーと思いながら前日寝てなくふらふらの状態で帰宅。

この時点で地震に気がついてない。

そして、自宅に戻りあっとう間に寝落ちした。(まだ地震に気が付いてない)深夜、またも震度5強の揺れ。バスルームや洗面台からモノが落ちる音を聞いた。

「地震か。あとで拾えばいい」と未曾有の事態に目を開けることなく寝続ける。

寝てたらLINEがブーブー鳴り続ける。友達から、親から、親戚から、心配してくれる人がいるなんてありがたい。

スマホを一度も見ずに枕の下に隠して寝た。

とにかく、最初の地震の時はこんな感じだった。翌日まで世の中が大変になっていることに気がつかなかった。マンションの住民が全員避難していることも知らずに、ずっと寝てた。

こんなタイプが一番に死ぬんだと思う。地震舐めんな。

言い訳するなら(する必要もないけど)本能に逆らい、前々日は2時間程度、前日は徹夜で仕事、もう眠くて眠くてたまらなかった。

翌日、さすがに地震に気が付いて。これは大ごとじゃないか!って思ったけど普通に過ごした。仕事に行くと足元で地下鉄が通っているかのような地鳴りが続く、小さな揺れは際限なく続く、最終的には、地震で揺れているのか自分が揺れているのか分からなくなった。

地震もおさまり、仕事も一段落したある日、被災地のボランティアが足りないってニュースを見た。

「そっかあ。足りないのか。泥かきくらいできるかな?行ってみよう!」と突然思いついた。

だが、ボランティアなんてしたことない。どこに行けばいいのか、何を持って行けばいいのか全然分からない。被災地の市役所に電話したり、ホームページを見て確認する。

汚れてもいい動きやすい服装、お弁当、飲み物、タオル、帽子、軍手だけ持って行った。何を血迷ったか白いスニーカーを履いていった。

準備万端!と思っていたけど、全然準備できてないのね。行ってみて初めて気がついた。まさに初心者感と適当な性格丸出し。

真夏の大分県日田市を舐めていた。

翌日、朝7時すぎだったかな。日田市まで車でゴー!ゴー!ゴー!

まずは、市役所に行くはずが迷った。どういうこと?!って思いながらなんとか到着。市役所には多くのボランティアの方々がいた。手続きを終えてテントで待機、ここでボランティア保険に加入する。そんな保険があることすら知らなかった。

市役所には軍手、タオル、飲み物、塩飴などいろんなものが用意されていた。私もタオル2枚、ペットボトルのお茶1本しか持ってきてなかったのでいただきに行った。これが後々、本当に助かった!これなかったら死んでたかも。

テントで待機していると、市役所の方が来てグループ分けをしてくれるのだが、これは自己申請スタイルなのね。「〜地区のお宅で土砂かきをしてもらいます。行かれる方は挙手お願いします。」と言うと志願者の方が手を挙げるのです。

そんなシステムとは知らなかったので出遅れた!

とりあえず、空いた前の席に素早く移動して、次こそは手を挙げるぞ!とドキドキしながら興奮してた。無事、土砂かきのお仕事ゲット。グループは7〜8人程度。その中でリーダーと呼ばれる連絡係を決めて、移動はボランティアの車で。

同じグループの方の車に乗せて頂き現地へ行きました。川沿いにあるおじいちゃんおばあちゃんのお宅。私は裏庭の土砂かきを担当することに。

初めての土砂かき、道路工事で見るような本格的なシャベルも初めて扱う。初めてだらけのボランティア活動。役に立てるのか心配でたまらない。

無我夢中で土砂かきをした。その間もみなさん口々に「休憩入れてくださいね」と声かけをする。声をかけるがあまり休憩する人はいない。みんな汗水垂らして一生懸命、土砂かきをしたり、流れてきた大きな石を運んだり、壊れた家屋を修理したり、それぞれができることをやっていた。

家屋を修理する工具は持参してきたという。工具だけでなく電球や電池まで持参していた。

初めての土砂かき、あっという間に腕がぷるぷる震えだす。シャベルひとかきで1キロ以上はあると思う。何回も何十回も、少なくても100回以上はすくったと思う。

真夏の日田。ギラギラの太陽。日陰仕事でなくめっちゃ日に当たりながらの仕事。汗がとめどなく落ちてきた。ちゃっかり化粧してきたけど意味なし。

午前中は無我夢中で終わった。コンビニ弁当持ってきたけど食べる気力もない。ただただ、休みたかった。持参したペットボトルのお茶は既にない。市役所でいただいたお茶やポカリがなかったら私、とっくにぶっ倒れてご迷惑をおかけしてたと思う。

1時間の休憩。昼からも頑張るぞ!思いながらも暑さと緊張と疲労でボーッとしてたら、女子大生がひんやり涼しい冷却スプレーと冷えピタを分けてくれた!

私「ご自分で用意したんですか?」

女子大生「マストアイテムです」ドヤッ!

私「プロですね」

この女子大生は、東京からわざわざ飛行機に乗って一人できたと言っていた。びっくりした。素直にすごいと思う。

休憩中、少しみなさんと話をした。「なんでボランティアに参加したんですか?」って。

みなさん「これしかできないけど、これならできるから。」「お金ないからあまり寄付ができないけど、こうやって体を動かすことはできるから」「なんで?う〜ん。なんでだろう?(笑)自分でもできるかなと思って」と。

みんなやさしい。「できるから」確かに。できることはする。できるからする。ボランティア活動に明確な答えはいらないのかもしれない。

ボランティア活動をするひとは「心がきれい」「志が高い」「いいひとに思われたいから」「善人な私が好き」「自己愛が強い」などいろいろあるみたいだけど。ちょっと違う気がする。

もちろん、そういう人もいるんだろうけど。。

単純にできるから。押し付けでもなく、できるからするだけかなー。私だって、土砂かきならできるかな?と思って参加したんだし。

誰かの役に立てること、それはそれで嬉しい。ありがとうって言われると素直に嬉しい。でも、ありがとうと言ってほしいからするわけじゃない。できるからするだけ。

午後からは益々、温度が上がる。ピークは14時。私なんて最終的にシャベルで1かきしたら5秒ほど休憩、また1かきして5秒休憩を繰り返してた。もう頭はガンガンするし、気をぬくとすぐ頭がボーッとなる。熱中症の気配ムンムンだった。

木陰で少し休憩させてもらった。その間、みんなが黙々と作業をする姿を見ていた。人って人に支えられているってあながち嘘じゃない。知らない人の為にこんなに一生懸命になれるって本当に頭下がるわ。

そんなこと考えてたら、被災したお宅からおじいさんが出てきて冷たいお茶をくれた。

「ありがとう」って言ってくれた。熱中症になってたいして役に立てず休憩しているのに。「本当に助かります。わしとばーさん二人じゃ何もできんかった。ありがとう」って。

できるからきてるんだけど、ありがとうって言われたらやっぱり嬉しい。頑張れる!ヨシ!と気合を入れて、午前中からしてた裏庭の土砂かき再開!おじさんが手伝いにきてくれて、無事きれいになったよ。

そのあとは、お墓の救出だ。そこのお宅は裏庭に立派なお墓があったの。でも、土砂で半分以上埋まってた。

女子大生も一緒に頑張ってくれた。ヘロヘロになりながら知らない人だけど、ご先祖様の眠るお墓を救出せねば!と最後の力を振り絞りガシガシ頑張った。

残念なことにタイムアウト。半分くらいしかできなかった。ボランティアは午後3時までだった。

そこから後片付け、明日使う方々がすぐに作業できるように、借りてきたシャベルやハンマーや一輪車をきれいに洗う。

私ときたら、この時点でもう話す気力もなかった。無言。。。

今にも倒れそうなくらい頭がガンガンしてて女子大生が冷却スプレーを振りまくってくれ、残っていた飲料水を飲みまくる。倒れてはダメだと踏ん張る。とにかく、迷惑かけちゃダメって。

初めてのボランティア、一人で参加して不安だったけど行ってよかった。役立たずだったと思うがいい経験ができた。知らない世界を覗くことができた。仲良くなった女子大生も、車に乗せてくれたおばさんも、1週間泊まりできてるおじさん二人組や、私と一緒の初心者のお兄さんも、みんなと話をして仲良くなった。連絡先も交換してないし名前だって誰一人知らないけど。

謎の連帯感が生まれ私たち一致団結してた!

自分自身も嬉しかった。一人でも参加できる勇気が自分の中にあったことが嬉しかった。このあと、また行ったよ。3回土砂かきに行った。

被災者の方も気を使ってくれる。到着したお宅ではおにぎりやパンを用意してくれてた。おやつと行って必ず冷たいお茶やアイスなどを出してくれていた。

床下収納の泥をすくいだすとき、私の横にきて汗を拭きながらありがとうと言ってくれた。

一緒になって土砂を描こうとしてくれるおじいちゃんもいた。

そんなことしなくていいと思う。ボランティアがきたら全部お任せしてくれた方がボランティアの方々もやりやすい。

それに、私たちは一期一会。決まった場所に行き、活動をして時間がぴったりに終わって帰る。一度行って数時間お手伝いをするだけ。その後、その家を片付け暮らし続けるのは被災者の方々だ。

いつ片付くかも分からない。壊れた家屋を修理することもできない人だっている。

せめて、ボランテイアがきた数時間はゆっくりしてほしい。ありがとうと言ってくださるけど行けばわかる。「ありがとう」と言いたいのはこちらだ。

まぁボランテイア帰りは軽い熱中症で頭ガンガンになるんだけどね(笑)





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