聖地をつくる/発信の温度 2024.2
2月がもう終わります。個人的には、好きな作家のゆかりの地を巡ったり、久々に映画館に行ったり、『レッド・アロー』(早川書房)という最高の小説を読めたり、展示で絵を買ったりと、楽しい1ヶ月でした。
最近の仕事
さて、ここ最近の青山ブックセンターでの自分の主な仕事を箇条書きで。
・文庫ではちくま文庫新刊の山内マリコさん『結婚とわたし』刊行記念フェアを開催。
・海外文学中心の新しいフェアも始め、来月上旬に始める予定のいくつかのフェアの選書も行ないました。
朝吹真理子さん『TIMELESS』や植本一子さん滝口悠生さん『さみしさについて』、松田青子さん『自分で名付ける』、安部公房『飛ぶ男』、劉慈欣『三体』など注目作品も多数入荷しています。
・ビジネス書では山口揚平さん『三つの世界』(プレジデント社) 刊行記念選書フェアを始めました。イベントもやります。
・3月はあと5つぐらい、ビジネス書のイベントを担当する予定です。
聖地をつくる
ここ最近ずっと考えているのは、ビジネス書も一人で担当し始めて一年が経ち、文庫の仕事と一緒にイベントやフェアなどを回していくのも慣れて、じゃあプラスアルファで自分には何ができるのか?というところ。
昨年、担当の文庫・ビジネスの売上は前年よりも上がりました。全国的には落ちているので嬉しかったですけど、それでもそれは"コロナ禍が明けてお客さんが戻った"という(受動的な)要因も大きかったと思います。より良い棚を作るという当たり前の業務は普通にこなした上で、来てくださるお客さんに受け身で頼るだけでなく、新たなお客さんを呼べるよう(或いはリピート率を上げるように)、プラスアルファで能動的に、今までになかったような企画や機会を創出したい。
ついこの前、毎週通っているレコード屋のバーで飲んでいた時、オーナーさんに「もっと"聖地的なもの"を作ったり企画した方がいいんじゃないの?」とアドバイスを受けて、確かにそうだよな…と。
その点で言えば、今月の山内マリコさんのフェアは恐らく当店限定だったので、凄く反響があって、これを目当てに来られるお客様もたくさんいらっしゃって、こういった企画をもっとやっていかなければと改めて思いました。
自分の担当ではないですけど、今月、店内のギャラリーで開催していた、『龍子 RYUKO』第2巻 (リイド社) 刊行記念のエルド吉水さんの原画展なんかは大盛況で、まさに聖地でしたね…。
では、ビジネス書で、"聖地"的な何かを作るとしたら…。
ビジネス書は、(文庫をやるときと同じように)お店の客層に合わせた感覚でやってきましたが、あくまでそこを基盤にした上で、別の層もターゲットにして、幅広く攻めていこうかなと、一年担当してみて思っています。
そこに今まで見逃していた"聖地"をつくるヒントがあるような気がしています。
今思えば、昨年、「もっとやれたな…」と思うタイトルがちらほら思い浮かびます。アンテナをしっかりと張って、今年中に何かしらデカく実行してみせます。
発信の温度
プラスアルファで何ができるか?
あと思うのは、"発信"です。(主にお店のアカウントで)
なにを今更、と自分でも思いますが、他の書店さんの発信を見てて上手いな…と思うことが日々あります。
上手い、というか、伝わっている発信って人の温かさや熱意を感じます。だから、広がっていく。(熱が必ず高温側から低温側へと向かうように。)
自分は他の書店さんを参考にすることがあり、昨年ありがたいことに大きな反応を頂いた、このフェアも、この発信自体も、実は他の書店のフェアや発信の仕方を参考にしていたところもあります。わかる人にはわかると思いますし、参考にされた側のお店はアイデアを真似されたと思ったでしょう。
例えば、他の書店さんが発信して話題になった本が、うちのお店でも急に売れていたりするのを見ると、やはりSNSの効果を確認させられます。
一方でお店のアカウントで自分のポストのインプレッションが伸びていなかったりすると、発信の仕方を改めて考え直さないとな…と感じます。(あくまでも、自分の担当ジャンルの話です)
テンプレで発信していても、それだとやはり流れていってしまう。(文庫という二次的なものは尚更。)
温度を意識した発信というのは、その分時間がかかるので大変ですけど、そこも心がけていかないと、そもそも発信する意味がないのでは?と最近思っています。
なので、これからお店のアカウントでは、実験的に今の発信よりも温度の高い発信を少しずつ増やしていこうと思っています。
…と、ここまで書いてみて、最近モヤモヤ悩んでいたことが、まとまったような気がします。
ひとまず、「"聖地"をつくる」「温度の高い発信」
これを個人的なキーワードにして動いていきます。
(果たして実行できるのか…。不安しかないですが笑、口だけにならないように色々やっていくしかないです…。)
それでは、今月もありがとうございました。
来月もよろしくお願いします!
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