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逃げた先にあるものは



私は逃げた。
そう思われても良いことをした。

でも自分の命と心を守ったから。

これで良い。
良かった。





生きる選択を諦めたくなかったから。
これで良い。


でも時々、思う。
『あの場から逃げ出した』と
思われただろうし 
すべてを投げ出してしまった。






無責任。   

なに逃げてんだ。

逃げんなよ。

勝手に決めて、勝手に居なくなって、
あんたの後釜どうすんの?

ちゃんと引き継いでからにしろ。

なに勝手にしてんだ?









心無い言葉も、きっとあっただろう。
たくさん浴びただろう。




あなたに期待していたのに。

あなたが戻ってくると思っていたのに。



今でも、
そんな声が聞こえてくる気がする。





でも私の心は戻りたくなかった。
現に今も戻りたくないと思う。


心を削って削って、削り続けて、
ひたすら、もがいた。


もがいても、もがいても、
良くはならず…。

いつしか、このままじゃ自分を殺す。


そんな恐怖が消えなかった。




だから逃げたのだ。

自分を取り戻すために。





心の声と向き合って、
心の声を聞いてみて、
一度立ち止まってみる。





そうやって、
見えた景色はまた違っていい。

みんな違って、みんな良いのだ。






私が居なくても、
たしかに世界は回るだろう。

それは今思えること。





逃げた先に見えたものを
しっかりと抱きしめている。