見出し画像

日本中にあるんだけど知らない仕事

田舎町に住んでいた私はビンボー暮らしに慣れすぎてバイトに時給の高さを求めていなかった。

きっかけは、大学生の時に時給660円で喫茶店で働いてて、普通に生きていけたからで、まかないと残り物をもらっていたからだとはわかっている。もはや、某県の最低賃金以下で働いていたとも気づかないバカな自分が悪いのだが特に困ったこともなかった。

とにかく、あんまり考えずにやりたい仕事をしていたのだけど、平均時給より100円高く、未経験者歓迎!と謳っているバイトがあり、飛びついた。それは刑務所の中で働くこと。(懲役じゃないですよ!)

職場に入る前にしっかり、身元チェックがありまして、3等親までだったかな?犯罪者がいないかとか調べられて、その後、法務大臣様との規約に法って働けるような職場でした。慣れた調理現場と、初めての刑務所にハラハラ。毎回、リアル鬼ごっこのように鍵をかけながらの移動。受刑者との遭遇さえ避けたいところだが、タイミングが悪いと遭遇してしまう。そうなると、相手方が居なくなるまで隠れて待機というシステムでした。

男子受刑者のいる場所では感じなかったことを、女子の受刑者のいる場所では感じることがあった。見ているものが、だんだんリアルなのか解らなくなってくる感覚。美人な人も多いし、優しく話しかけてくる人もいる。だけど、この話しかけられた時が一番危ないと言われた。感情を無にしてかわさなければならないことが多い。普段の生活では聞くことのない言葉「労楽(ろうらく)」。

刑務所で働く人に受刑者が仲良くなり、簡単なことをねだる。いいよ、と言ってしまったら負のループの始まり。いいよ、と言ってくれたりした事につけ込んで、他の職員にバラすよ、という盾を持ちさらにお願い事を頼んでくる。どんどん事が大きくなって収集がつかなくなる危険性があるという。

刑務官の人たちは訓練されているし、そもそも気安く話しかけられないぐらいのオーラがある。そんな人たちと、こんな素人な小娘ではナメられるのも当たり前で常に警戒していたし、仕事のミスは命取りな現場だったので集中力は絶大だった。

そんな職場で、ニュースとかでもよく聞く「懲役」・「執行猶予」・「拘置所」この言葉の意味を初めて理解した。きっと社会科の授業で習うんだと思うけど。

「懲役」・・・犯罪を犯した人が償うために刑務所で働く事。

「執行猶予」・・・裁判の判決出て、刑罰(6種類ぐらいあったはず)の実刑までに猶予期間が施された場合、その期間に何も犯罪や交通違反をしなければチャラになるという特典。だと認識している。

「拘置所」・・・刑務所と違い、刑罰に懲役(労働)がない人が入るところ。判決待ちの人や、死刑者・禁固刑もここなので、ある意味では一番恐ろしいかも。

ここには書けないし口外できない事がいっぱいですが、特殊環境で、人生というか考える事が色々ある場所でした。懲役の方々の仕事内容も興味深いものがあったり、落語心中じゃないけど、更正させるための施設だということとか、病気したときの対応とかも知らないことだらけでした。

何より、同僚がほぼ60歳オーバーだったのでそこが一番の勉強だったのかもしれないです。自分が塀の中の人になる事はないとは思いますが、絶対に入りたくないなぁとだけは思いました。面会にくる親の年齢や遠いところからくる人もいるんだろうな、と察する限り、自分ゴトだけじゃ済まないのです。税金も1人につき年間100万円以上使われているとかいないとか。社会の裏側を知ることもまた面白いと思ったので共有できるところは書いてみました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?