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あたしを作るものたち7

うちにはとても沢山の絵本があった。
多分、お母さんの意向で集められたものなんだと思う。
名作と言われるようなものからそうでもないものまで、本当に沢山の絵本があった。

小さな頃は寝る前にそれを読んでもらうのが楽しみで、でも、お母さんは弟たちの世話で大変だから、あたしはおじいちゃんに絵本を読んで寝かしつけて貰っていた。
だって、おばあちゃんはあたしが寝るまでに先に絵本の途中で寝てしまうから。

本当に沢山の絵本を読んでもらって、好きな絵本は沢山あったけれども、印象に残っている物のひとつが『りゅうのめのなみだ』という中華風の絵本だった。

大人が子供を叱るときに言って聞かせる「恐ろしい龍」の話。
みんなはそれを怖がるのに、ある男の子だけはそれを怖がらずに自分の誕生会にその龍を呼ぶと言う。
母親の制止も聞かずに男の子は龍を探しに行き、龍に優しく語りかけて誕生会に誘った。
男の子の色眼鏡なしの言葉に心を打たれた龍の目からは止めどなく涙が流れて……。

子供ながらに龍が涙するところで自分も泣いていたのを覚えている。
たぶん当時は色々考えて泣いていたわけではないと思うけど、今もあたしは同じところで泣きそうになる。
やっぱり、自分の目で見て考えて受け止めてくれるということは、泣くほどに嬉しい事だとは思うから。
絵本はそういう根本的な事を思い出させてくれるからすきだ。

たぶん、あたしは子供の頃からあんまり変わってないんだろう。
そう思わせてくれるこの絵本もあたしの一部。

おわり。

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