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人の顔を見るといつも――

極めてばかばかしい話で恐れ入るのだが、記者という仕事は様々な人と会うものである。
それだけに、対面で挨拶をしてしばらくアイスブレイクよろしくあれやこれやと話すわけだが、いつもその際に私が人の顔を見て思っていることがある。

それは「人間の顔はだいたい何らかの動物に似ている」ということである。

ともすると人をからかうときなんかに「ウマ面」とか「サル顔」と言われることもあるが、いろんな人の顔を見ると「このひとはゴリラっぽいな」とか「たぬきみたいだなあ」とか「なんかナマズみたいな顔だな」とか(相手方にとっては極めて失礼な話なのだが)ふと思ってしまうのである。
で、そこに意識が取られると話をしている内容は半分くらいしか聞いていなかったりして「今おれはたぬきとナマズとゴリラと喋っているのか―」と集中が途切れ、どこか上の空になってしまうのである。

ネットなんかで調べてみると、自分の顔の特徴を色々入れて「あなたの顔は猫顔です!」とかが出てくるサイトが結構ある。女性が使うのだろうか、「猫顔のあなたは●●顔との相性が抜群!」みたいな感じで恋愛相手のおすすめまでしてくる。大層なおせっかいだ。

試しにこういうサイトで自分の顔の特徴を入れてみると「ウサギ顔」と出てきた。自己認識ではクマあたりかと思っていたので「う……うさ…ぎ…?」と若干の衝撃を受けたのだが、奥さんに「俺はウサギ顔らしい」と言ってみると「わからなくはないよ」とのことだった。この顔にもうさぎの要素はいくばくかあるということなのだろうと思う。

ついでにウサギ顔の男性にとって相性の良い女性の顔なんかを見てみるとヒョウ顔とかトラ顔とか、総じて目がきりっとしていて気が強い女性が相性がよろしいということになっている。
私の奥さんは虎やヒョウなんてものではまったくなく、極めて柔和な顔である。およそ顔だけで恋愛や結婚がどうのこうのと論評することのばかばかしさを教えてくれた。

ちなみに、社内で評価面談をするときにわたしは社長と部長二人と話をするのだが、ある時に「社長の顔はゴリラ、部長の一人もゴリラ、もう一人の部長は犬みたいだ」と気づいてから、毎回それを考えるようになってしまっていた。
すなわち、評価面談は私にとって「ウサギVS.ゴリラ×2+犬」という構図にほかならず、仕事上の立場のみならず顔面の観点からも劣勢に立たされてしまっているのだ。
さらに上司の顔が「ゴリラ×2+犬」であることに私の頭のリソースのほとんどを取られてしまうので、面談では適当にしゃべるという所業を繰り返すこととなってしまう。
その結果、毎度私の評価が芳しくないという笑うに笑えない展開になってしまう。「気づかなければよかった」と悔いても、後の祭りである。

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