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人生は短い(多分)

「人生の主役は自分自身である」ということばがある。考え方はいろいろあろうが、人生の捉え方は往々にして自分中心のものになりやすく、利己的で視野狭窄に陥りやすい。
私自身はその傾向が顕著で、20代は「自分が人生をどう作るのか」という視点しか持ち合わせていなかったし、他人との関係性のなかで自分を捉える努力を怠ってきた。結婚願望もなく、子供がほしいと思ったこともなかったというのは、その証左といえるかもしれない。

ただ、不思議な縁で結婚し子供まで生まれた。私にとっては「想定外」の人生の展開を前に、人生の捉え方は当たり前ながら変化したわけである。その変化とは要するに、妻や娘との関係性の中で自分の人生を捉えるようになったということに他ならない。

わかりやすいのは子供のほうで、たとえば「いまはまだ小さいけれど、娘が20歳になったら私は50歳になるのか(単純な足し算でしかないのだが)」と考えてみると、育児が一段落、などとなればいつの間にか自分自身の肉体は老いの中に取り込まれているのだろうと思う。
そしてもう少し生きれば、死というものが想定以上に目の前に思えてきて、そして身近なものに感じるようになった。

と思うと、やはり人生守りに入るといつか「こんなことやれてたらな」と後悔するのだろう。もちろん様々な事情があるので全員が攻めに転じよというわけではないし、それを許されないケースもあるのだが、自分自身の性格も鑑みると「あれをやりたかったなあ」などと後悔したときには身体が思うように動かなくなったりして、そのうち死ぬのだなと直感したのである。

配偶者や子供との関係性のなかで自分自身の人生を捉え直すことで、改めて自分自身の人生にハリが出るものだ。子供がいるからこそ「やってみたいことってなんだっけ?」「小さな頃の夢ってなんだっけ?」と考えてみて、現実だけではない世界に足を踏み込んで生きてみるのも大事な気がする。
子供がいなくなって生きがいを失い、抜け殻のようになってしまう人生は、なんだかもったいない。

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