見出し画像

新卒小学校教員、フィンランドの小学校でib式授業をしたお話。

ご無沙汰しております。気候の方もだいぶん和らいで(とはいえ日中は半袖でも暑いですが)、
緊急事態宣言も解除され、行動規制も和らいできた今日この頃。
私は9月からOnline Finland GTP(Global Teacher Program)に参加しています🇫🇮
実は私はGTPに過去一度参加しています。今から3年前、当時大学2回生。
2週間、フィリピンのセブ島へ行き、現地の小学校で教育実習をするプログラムでした。
いい意味で人生を狂わされた出来事でした笑笑
この話は後日詳しくお話したいと思います🇵🇭

フィンランドGTP、もちろんコロナ禍なのでオンラインです。そのため、実質フィンランドへ行ったのは(繋いでいたのは)50分間。もともとセブに参加する前から、フィンランドに参加することを念頭に入れていたので、念願のフィンランドの学校を覗くことができました。
でもやっぱり現地に乗り込みたい野望が残っているので、コロナが落ち着いたら絶対行きます!!
今回は実際行った授業の理念、作成・実践、振り返り この4観点についてお話したいと思います。

授業の理念・大切にしたいこと (Being)

私はe.lab教育デザイン研修に一緒に参加した友人とチームを組みました。そして、e.labでもお世話になり、今回も主催者である方に「せっかくe.labでib(国際バカロレア)について学んできたんだから、それを実践してほしい」と言われ、私と友人は国際バカロレアの小学校(PYP)で実際に使われている指導案テンプレートを使って作成することにしました。
これがテンプレートと私たちの考え

IBは深くて、むずかしくて、簡単に語ることはできないのですが、カリキュラムに対する柔軟さといくつかの決まり事があり、作成が大変でした。IBについては今回はさらっと行きたいと思います。特に、真ん中にあるセントラルアイデアはどの授業でも通じるもの、言葉では表しにくいですし、私も1年間このセントラルアイデアと向き合っていますが、答えがまだまだ迷走中です。だけど、全ての軸となるため必ず決めなければなりません。(日本の指導案では単元目標の部類に入ってくると思います)
今回、私たちは事前に「SDGsに関係するもの」にしてみたいねって言っていました。そして、日本にいる私たちだから伝えられることは何かと考えた時に、「地震」をテーマにしようということになりました。
そしてこのセントラルアイデアに決まりました
人は、知識と経験を結びつけることで、ジブンゴトとして捉え、行動に移せる
しかし、これを決めるにも紆余曲折ありました。友人と対話しながら、ジャムボードで何度もマッピングしていきました。

1回目


2回目

3回目

4回目(セントラルアイデア決定)

こうやって改めて並べてみると、だんだん思考が抽象的になっていることがわかるかと思います。
最初はSDGsに固執しすぎてなかなかアイデアが出なかったところから、少しその縛りを緩くしてなんかありきたりではない文化を探して求めた結果が4回目のマッピングです。

私たちは共通して「ジブンゴト」というキーワードを持っていました。
地震においては日本では日常茶飯事で起こり続けていますが、
対してのフィンランドはほとんどないに等しい。
そのため、いざその子どもたちが地震に出くわした時に自分の命を守ることができるのか?
災害ということは知っているけど、実際どんなものであるかを実感していないことが現実なのではと考えました。事実日本にいる私たちがハリケーンがどんなものかわからないのと同じ。どこかタニンゴト。この地球的な課題や問題を解決するためには世界が一つの街として、世界市民として自覚を持たないと、何も変わらない。地震によって様々な二次被害が出てくることも予想できない。どのようなものかを体験することで、人はジブンゴトとして行動できるようになると考えました。
私は1年前にこんなことを呟いていました。

まさに今回はこの4つの行動を体現したような感じです。
我ながら、1年前考えていたことが興味深い笑
あ、余談ですが、良かったらTwitterのフォローもお願いします(noteと同じくらいの頻度しか使わんけども)
では、実際何をしたかについて述べていこうと思います。

授業の作成・実践 (Doing)

授業は全て英語で行います。
そして、どうしても伝わりにくいところは現地の先生に翻訳を頼んでいました。
しかし、フィンランドの小学生(今回は高学年)は日本の中学生レベルの英語は大体理解できると言われています。詳しくはこちらをご参考ください。
授業の流れは「探究の流れ」にそって進めていきました。
先ほどから出てきている「探究」
「探究」することはIBのキーワードといっても過言ではないです。
実際に一番最初のプランニングシートでも「授業の流れ」と書かずに
「探究の流れ(Lines of inquiry)」と書かれています。
これが大まかな探究の流れと英語で書いたレッスンプランです。

ここで私たちが意識して流れを作ったところが3つあります。
1. EATモデル
これは、先月参加した探究教育のセミナーで教わりました。
E:Experience(経験)
A:Awareness(気づき)
T:Theory(理論)

一般的には理論から入って、やってみよう!っていう形が多いと思いますが、これは逆で
まず「経験」から気づいたことを考え、「実は…」と理論を学びます。
そして、今回「避難訓練」という疑似体験がとても相性良かったなと後で考えても思います。
地震はいつ来るかわからない突発性のあるもので、起きた時は慌てずに落ち着いて行動することが求められます。その突発性を用いて、アイスブレイク途中から避難訓練を始める。そして終わった後、
どう感じた?
どんな危険がある?
何をした?

というような問いを投げました。
この問いかけは子どもたちの思考を深めるために大いに影響を与えてくれました。
そして、その後に「実は、日本ってよく地震が起きていて、1学期に1回は学校で避難訓練をするんだよ」ということを伝えました。
こうすることで、「なんで避難訓練をするのか」を子どもたちに認識してもらえたのかなと思います。

2.問いの多さ
先程の探究の流れや英語のレッスンプランを見てもらってもわかるように、
「?」の数が多いと思います。
振り返りまでいれると、合計9回

•How do you feel when an earthquake suddenly happened?
 (地震が突然起きた時、あなたはどのように感じた?)
•What danger can you imagine by earthquake?
 (地震によってどんな危険が予想されますか?)
•When the earthquake came, what did we do?
 (地震が起きた時、私たちは何をしましたか?) 
•What natural disaster is the most in Finland? Snowing?
 (フィンランドで一番多い自然災害って何?大雪とか?)
•Do you think earthquake doesn’t happen in Finland? Why?
 (フィンランドでは本当に地震起こらないと思う?なぜ?)
•In the future, if you encounter an earthquake, what will you do?
 (将来、もしあなたが地震に遭ったら、あなたはどうする?)
•In the future, if Japan or other countries have a big earthquake, what will you do?
 (将来、もし日本や他の国で大きな地震があった時、あなたはどうする?)
•How are you feeling now?
 (今どんな気持ち?)
•What did you learn today? or What is the most impression thing?
 (今日学んだことは何?もしくは一番印象に残っていることは何?)

50分間でこれだけの質問を全て盛り込みました笑 
子どもにしてはこんだけ考えさせられたら、しんどいと思いますが、当の本人たちは最後まで思考を止めず考えてくれました。実の所本当は45分授業だったんです。しかし、子どもたちののめり込みさを現地の先生が尊重してくれて、伸ばしてくださいました。そして、こういうことは、とても珍しいらしいです。
日本でもよくあることですが、授業の時間が終わっているのに、終わらなかったら「先生、時間すぎてるんやから、はよ終わってよ〜😡」と思うし、口に出す子はいると思います。
フィンランドでもそれは同じそうです。
しかし、フィンランドでは時間割に柔軟性があり、もし子どもたちの好奇心が深められている状態ならば、時間を伸ばすそうです。そして、伸ばした分の休憩時間も確保するそうです。
今回は誰1人、時間に関することを言わなかったらしく、心から私たちの授業を楽しんでくれたのだと思います。

3.「深めること」を優先するため、現地の先生に翻訳を頼りまくる
言語も文化も違う相手に、「地震」という難しいテーマ。
普通に高度すぎて、私たちだけの力ではできません。
そこで、レッスンプランを事細かく記入し、授業で使うスライドも共有をしておきました。
現地の先生は細部まで目を通してくださって、本当に良い連携が取ることができました。
特に問いかけの部分は全て翻訳を行なっていただき、意見が出やすいようにフィンランド語でも答えられる環境設定をしました。現地の先生は余計なことは言わずに私たちの翻訳と子どもたちの発表の翻訳のみを行ってくださいました。
そうすることで、子どもたちは学びを深めることに徹底できていました。本当に現地の先生の協力なしでは成立しなかった授業だなとふつふつと感じています。
もともと英語だけでやり通そうと思っていましたが、他チームの授業を見て、「私たちが本当に伝えたいことはなんなのか?」と考え直しました。そして、英語を教えることではなく、英語をツールとして用いて地震をジブンゴトにしてほしいという事でした(セントラルアイデア参照)

振り返り (Reflection)

私たちが担当したクラスの子達はシャイと言われているフィンランド人の中でも比較的元気なクラスだったため、私たちが思っていたよりも盛り上がりました。
その盛り上がり、現地で感じたかったなと本当に心から思いました!!!!
コロナさえなければ…!!!!!!
でもコロナ禍だからこそ、今回こんな機会ができたんだなと思います。
もし、そうでなければ、「いつでも行けるし、今は教員しているし、まとまった休みが学生の時よりも取りにくくなったからやめとこう。」と思っていたでしょう。
コロナの世の中が収まってきたら、やりたいことがまた増えました。
それは、
フィンランドの小学校でもう一度「深い学び」ができる授業をすること です。

超超超長文をここまで読んでいただきありがとうございました!!
ここまで読んだ人本当にすごいです👏 (4554字)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?