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君は永遠にそいつらより若い

 タイトルの映画を観た。本当は2週間くらい前に観ていたんだけど、作品への思い入れが強すぎて、逆に言葉にならなかった。

 主題歌と役者さんへの愛があふれる内容だったし、脚本は導入がこけてる、と賛否両論だったけど、良くも悪くも原作へのリスペクトに溢れた映画だった。卒論テーマが「将来の成功ビジョン」に変わっているところに、原作ファンとしては特にリスペクトを感じた。

 私はいままさに大学4年生の就活を終えた10月で、だから、いまこの時期にこの映画を観ることができたのは、すこし運命みたいだった。

 それに、原作小説を高校生の時に、それから大学生になってから、何度も読み返していて、あまりにこの物語自体に対して思い入れが強すぎた。主人公のホリガイさんに自己投影しすぎるけど、出会うのが早すぎて自ら寄せていった部分すらあるのではないかと思う程だ。

 だから、客観的な思いはほとんど抱けず、ただ自分のことを省みて、胸が締め付けられた。「その時そこにいられなかったことが悔しい」「どうして私はいますぐ飛んで行って君の傍にいてあげられないんだろう」と言えるホリガイさんやイノギさんのことを羨ましいと思った。

 ホリガイさんの強さと優しさに憧れながら過ごした大学生活のあの時間は、苦しくて、痛々しくて、どこにも結び付かなくて、けれど私の一部でもある。私の卒論のテーマは児童虐待に関連するものだし、仕事もそちら方面の公務員になる。

 結局のところ、私は「君」でもないし、十分なその言葉をかけられる者でもなくて、やや「そいつら」寄りの大人になってしまうのだろうと思った。ホリガイさんのダメなところばかり掬い上げて、肝心の覚悟がまだ私には伴っていないのだと悟った。

 それでも映画はきれいすぎて、私は無知すぎて、未熟なままであることだけが事実としてそこにあって。ただ、この物語に出会えてよかったということだけは、生涯思うのではないかと感じている。

蛇足。主題歌、歌詞がよすぎる。

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