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阿部智里「烏に単は似合わない」

 春の姫、あせびの無自覚さが憎たらしく描かれており、ぞっとしつつも、何となく自分に似た部分を探り当ててしまった。
 浜木綿の男勝りな友情、真赭の薄の圧倒的良い女感、白珠の壊れているからこその美しさ(ある意味では箱入りメンヘラ)…と、彼女たちの美しさと醜さがふんだんに描き尽くされている。
 美麗なイラストが脳内に浮かぶ圧倒的な文章美で読みやすいのに、最後に残るモヤモヤした毒は、4人の姫に見た歪みを自分に投影してしまうからだろうか。

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