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エリザベート1878

 今日の映画!

 主人公が小説家の江國香織さんになんとなく似ていた。痩せて色白で背が高くて喫煙家で、ふわふわの茶髪ロングで乗馬する皇后、好きすぎる。

 …って日曜に書こうとしてた。気づいたら火曜があと3分で終わる。黒いドレスで乗馬するエリザベートのイラストを描きたいと思っていたけど、しばらく先になりそう。とはいえ描きたいなぁ。 

 癖でつい、観終わった映画を検索して、エリザベートのミュージカルが世界中で上演されている、と初めて知った。
 悲劇的史実に基づくミュージカルを前提としていることを知ると、映画の主人公が選び取る自死や、それを幇助する女官たちが、より一層強く輝いた。
 殺されるのではなく、自由に向かい意志を持って飛び込んでいく彼女は、重力を海底まですり抜けて人魚になったんじゃないか。

 それから、エリザベートの家系には精神を病む者が多かったらしい。彼女の「落ち着きのなさ」や「死にたがり」も、病名をつけようとするとADHDとか希死念慮・躁うつ病なんて無粋な言葉が当てはまるかも知れない。けど、そんなことしても、彼女にあっかんべーされるだけだろう。

 全然エリザベートに懐かない娘があっけなく別れを告げるシーンが印象に残っている。そんなところだけ母親に似ていた。

 沢山の彼女をみた。精神病患者や負傷した兵士の病院を度々訪れ、一緒にベッドに仰向けになって煙草を吸う彼女、馬で疾走したり動画の前で戯けて見せる彼女、髪を切る彼女、船から飛ぶ彼女。
 ドレス姿で微笑むことばかり求められて、美を追求しながら病んでいく美しい姿が、一場面ごとに焼きついて離れない。

 孤独で仕方なかっただろう彼女は最後、エンドロールの中一人で踊っていた。
 ただただ、とても綺麗だった。

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