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助産師のつぶやき

妊娠中の異常① ~妊娠高血圧症候群~

100smile助産師です。
妊娠中の異常(産科の病気)についてお話しします。

今回は、妊娠高血圧症候群(Hypertensive Disorders of Pregnancy:HDP )です。

【定義は?】
妊娠時に高血圧を認めた場合、妊娠高血圧症候群といいます。
妊娠高血圧症候群の詳しい分類は、
・妊娠高血圧腎症
・妊娠高血圧
・加重型妊娠高血圧腎症
・高血圧合併妊娠
の4つです。

高血圧は、血圧140/90mmHg以上のことで、
160/110mmHg以上の場合は重症となります。
また、妊娠34週未満に発症する早発型、
34週以降に発症する遅発型があります。

【頻度は?】

全妊娠の5%程度(20人に1人)の割合で発生します。

【どんなことが心配なの?】
妊娠高血圧症候群になると、高血圧や蛋白尿のほか、
高血圧による脳出血、子癇(けいれん発作)、HELLP症候群(肝機能低下、血小板減少)、
胎児発育不全、胎児機能不全など母子に危険がおよぶ状態になります。

【どんな人がなりやすいの?】
年齢が35歳以上、肥満の方、妊娠高血圧症候群または高血圧の家族がいる方、妊娠高血圧症候群の既往、初産、妊娠間隔が5年以上あいている方、多胎妊娠、生殖補助医療での妊娠などです。

【治療法】
安静と食事療法のための入院、降圧剤(血圧を下げる薬)や子癇(けいれん)予防の薬の使用が主な治療です。
赤ちゃんとお母さんの状態が悪くなった場合は、妊娠37週の正期産となる前に、緊急で出産となる場合があります。

【妊娠高血圧症候群の予後】
・次の妊娠時に妊娠高血圧症候群を再発するリスクが高くなります。

・妊娠高血圧症候群は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の要因となる可能性も指摘されています。妊娠または出産時の経過にわだかまりがある人、赤ちゃんに申し訳ないな...という気持ちがつづく場合は、助産師などの医療従事者や家族に話してみましょう。

・妊娠高血圧症候群既往の女性は、将来、生活習慣病や脳心血管疾患のリスクが高いことが報告されています。産後は、適切な体重をキープする、バランスの良い食生活、適度な運動を心がけ、生活習慣を見直しましょう。

【母乳とくすり】
 降圧剤(血圧を下げる薬)を使用することになった場合、安易に母乳育児を中止する必要はありません。母乳中への薬の移行量はごくわずかで、授乳中でも安全に使用できる薬が多いのです。

 主治医に相談し、国立成育医療研究センター妊娠と薬医情報センターホームページも参考にしてみてください。

国立成育医療研究センター妊娠と薬医情報センター
https://www.ncchd.go.jp/kusuri/about.html

★参考文献★
1)一般社団法人日本妊娠高血圧症学会ホームページ「妊娠高血圧症候群の新定義・臨床分類について」 https://www.jsshp.jp/journal/ 〈2022年1月4日閲覧〉
2)日本妊娠高血圧学会編集:妊娠高血圧症候群の診療指針2021.第1版.株式会社メジカルビュー社.東京.2021. 

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