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Nvidiaが出資を明らかにしたAI関連企業について

今週、半導体業界の巨人Nvidiaは、市場予想を上回る驚異的な四半期決算を発表しました。これは、同社がAI技術の発展を牽引し、AIブームの中心にいることの証拠です。Nvidiaの成功は、ただの偶発的なものではなく、戦略的な投資と技術革新によって築かれたものです。特に、AI関連企業への投資は、Nvidiaの長期的な成長戦略の中核をなしています。このレポートでは、Nvidiaが最近出資を明らかにしたAI関連企業、Arm Holdings,、Nano-X Imaging、Recursion Pharmaceuticals、Soundhound AIといった企業に焦点を当て、それぞれの企業がどのようにNvidiaのAI技術の拡張に貢献しているのかを分析します。これらの企業は、それぞれが特定の分野で革新的な技術を開発し、AIの将来に大きな影響を与える可能性を秘めています。それでは、よろしくお願いします。

Arm Holdings(ARM)


Arm Holdingsは、イギリスに本社を置く半導体企業で、広範囲にわたるデバイスに搭載されるCPUアーキテクチャの設計で世界的に知られています。
そのビジネスモデルは、独自のアーキテクチャを半導体製造業者にライセンスすることに基づいており、スマートフォン、タブレット、自動車など、あらゆる種類の電子機器にその技術が利用されています。
特にスマートフォン向けはArmがほぼ独占しており、スマートフォン革命を牽引することで世界を変えました。
AI市場における強力な存在感と生成AIの追い風により、Armの株価は、2023年9月のIPO以来、倍増しています。売上高に対する株価倍率は47倍に達してます。
同社は、2016年にソフトバンクに買収されました。Nvidiaは2020年に400億ドルでソフトバンクから買収しようとしましたが、独占禁止法の理由から実現しませんでした。
しかし、Nvidiaは現在、約196万株、300万ドル以上の価値があるArm株式を保有しています。
ArmのCPUは、世界のスマートフォンの99%以上で使用されています。ArmのCEOであるRene Haasは、今月初めに行われた2024年度第3四半期のカンファレンスコールで、「AIに関連するすべてのものから強い勢いと追い風を感じている」と述べました。彼は特に、Armの技術がNvidiaのGrace Hopper 200 AIスーパーチップとAlphabetのGoogle Gemini Nano Pixel 6で使用されていることに言及してます。

・Arm Holdingsの特徴


強み:
Armの最大の強みは、その省電力で高効率なプロセッサ設計にあります。これにより、バッテリー駆動時間が長く、性能が高いモバイルデバイスの開発が可能になります。また、Armのアーキテクチャは、広範なエコシステムに支えられており、多くのソフトウェア開発者やエンドユーザーに支持されています。
弱み:
一方、Armは競争が激しい半導体市場において、特にパフォーマンスを要求されるデータセンターや高性能コンピューティング分野で、競合他社と戦わなければなりません。また、技術ライセンスモデルは、市場の変動や顧客の技術選択の変化に敏感であるため、景気の波によって収益が不安定になる可能性があります。

・将来性


AIやIoT(モノのインターネット)の台頭により、エッジコンピューティングの重要性が高まっています。これらの分野では、省電力で効率的なプロセッサが求められるため、Armの技術はこれからも重要な役割を果たすと考えられます。さらに、自動運転車やスマートシティといった新しい技術領域でも、Armのアーキテクチャが中心的な位置を占める可能性があります。

・Nvidiaとのシナジー


NvidiaによるArmの買収計画は、規制上の問題で実現しませんでしたが、両社の技術的なシナジーの可能性は依然として大きいです。NvidiaはGPU技術において業界をリードしており、AIやディープラーニング、グラフィックス処理においてその技術は中心的な役割を果たしています。Armの省電力アーキテクチャとNvidiaのGPU技術を組み合わせることで、エネルギー効率が高く、AI処理能力に優れた新しいデバイスやシステムの開発が加速できます。
このように、Arm Holdingsは半導体業界において重要な位置を占めており、その技術は今後も多くのデバイスやシステムに影響を与え続けると予想されます。Nvidiaとの協業や技術的なシナジーを通じて、Armは新たな成長機会を追求し、半導体技術の未来を形作ることが期待されます。

・株価騰落率 (2月23日時点)


時価総額 1,367億ドル(約20兆円、ちなみに主要株主のソフトバンクGは13兆円)
PER 648倍
1ヶ月 +75%
3ヶ月 +109%
年初来 +77%

IPO時から2倍以上に急騰しており、孫さん、ウハウハですね。
ソフトバンクGはArm株を約9割保有。Arm持分の価値だけでもソフトバンクGの時価総額を大きく上回ります。

Nano-X Imaging(NNOX)


Nano-X Imagingは、革新的なデジタルX線機器を開発し、医療イメージング業界に革命をもたらすことを目指すイスラエルの企業です。Nano-Xは、デジタルX線技術の開発に注力しており、従来の医療イメージングシステムに比べてはるかに低コストで高品質な画像を提供することが可能です。この技術は、特に発展途上国やリモートエリアでの医療アクセス向上に大きな可能性を秘めています。
コロナ中の2020年にIPOし、他の小型ハイテク株同様、金融緩和の追い風により一時急騰し、2021年に米国食品医薬品局FDAから認可を取得したことから、米株村で話題となりました。

・Nano-X Imagingの特徴


強み:

  • 革新的な技術: Nano-XのデジタルX線技術は、ナノテクノロジーに基づき、従来のイメージングシステムに比べて大幅にコストを削減します。

  • 高品質な画像: 高解像度で詳細な画像を提供し、より正確な診断を可能にします。

  • アクセスの向上: 低コストでの提供により、医療イメージングサービスへのアクセスが向上し、未開拓市場での需要を喚起します。

弱み:

  • 市場導入の障壁: 医療業界は規制が厳しく、新技術の導入には時間とコストがかかります。

  • 競争の激化: 医療イメージング市場は競争が激しく、確立された大手企業との競争に直面します。

・将来性


Nano-X Imagingの将来性は、その革新的な技術と医療イメージング市場の需要拡大に大きく依存しています。特に、発展途上国や医療設備が整っていない地域での利用拡大が見込まれます。さらに、同社の技術は、遠隔医療やモバイルヘルスケアの分野での利用が期待され、新たなビジネスモデルの創出に貢献する可能性があります。

・Nvidiaとのシナジー


NvidiaとNano-X Imagingの間には、AIとディープラーニングを活用した医療イメージングの分野でシナジーが生まれる可能性があります。Nvidiaの強力なGPUとAIアルゴリズムは、Nano-Xの提供する高品質な画像から、より正確で詳細な診断情報を抽出することを可能にします。この協力は、医療イメージングの精度をさらに高め、医師がより迅速かつ正確な治療決定を下すのを支援することにつながります。

・株価騰落率(2月23日時点)


時価総額 5億ドル(約700億円)
PER ー(赤字)
1ヶ月 +53%
3ヶ月 +30%
年初来 +35%
1年  +17%
Nano-X Imagingは、その革新的なデジタルX線技術によって、医療イメージング業界に大きな変革をもたらす可能性を秘めています。Nvidiaとの技術的なシナジーを通じて、医療診断の精度とアクセスを向上させることができるでしょう。

Recursion Pharmaceuticals(RXRX)


Recursion Pharmaceuticalsは、バイオテクノロジーの分野で急速に成長している企業の一つです。彼らのアプローチは、人工知能(AI)と高度な画像解析を組み合わせることにより、新薬発見プロセスを革新し、加速させることにあります。
疾患の細胞モデルに対して数千もの化合物を試験し、変化を高解像度画像で記録します。その後、AIを用いてこれらの画像を分析し、疾患の原因となる生物学的プロセスを理解し、治療可能な薬剤候補を見つけます。

・Recursion Pharmaceuticalsの特徴

強み

  • AI駆動の薬剤発見: AIを活用することで、大量の生物学的データから迅速に有望な薬剤候補を特定できる能力があります。

  • 臨床試験中の多様なパイプライン: 神経疾患、感染症、遺伝性疾患など、複数の領域で臨床試験を進行中です。

  • 大手製薬会社とのパートナーシップ: 業界のリーダーとの連携により、開発リソースと市場アクセスを拡大してます。

弱み

  • 高い研究開発コスト: 新薬開発は時間とコストがかかるプロセスであり、収益化までの道のりは不確実です。

  • 市場の競争: AIを活用した薬剤発見は注目の分野であり、多くの競合が存在します。

・将来性


AIとバイオテクノロジーの融合は、医薬品開発の未来において、重要な要素であり、Recursion Pharmaceuticalsはこの革新的なアプローチをリードしています。同社の成功は、有望な薬剤候補の商業化と臨床試験の結果に大きく依存しますが、長期的には医薬品開発のパラダイムを変える可能性があります。

・Nvidiaとのシナジー


Recursion PharmaceuticalsとNvidiaとの間には、大きなシナジーが存在します。Nvidiaの強力なGPUとディープラーニング技術は、Recursionの大規模な画像データの分析と処理を大幅に高速化することができます。また、NvidiaのAIプラットフォームは、Recursionが新薬候補の同定とその後の開発プロセスをより効率的に進めるための基盤を提供します。

・株価騰落率(2月23日時点)


時価総額 29億ドル(約4300億円)
PER ー(赤字)
1ヶ月 +26%
3ヶ月 +95%
年初来 +36%
1年  +70%

Recursion PharmaceuticalsのAI駆動の新薬発見プラットフォームは、医薬品開発の未来に革命をもたらす可能性を秘めています。Nvidiaとの技術的なシナジーにより、その潜在力はさらに拡大され、両社は医薬品開発の新たな時代を共に切り拓くことができる可能性があります。Recursion Pharmaceuticalsの革新的なアプローチは、多くの患者に新たな治療オプションをもたらすことに貢献すると共に、投資家にとっても大きな価値を生み出すことが期待されます。

Soundhound AI(SOUN)


Soundhound AIは、音声認識技術に特化した企業で、音声を介した情報の検索やデバイスの操作を可能にするプラットフォームを開発しています。彼らは、車載システム、スマートフォンアプリ、スマートホームデバイスなど、さまざまなアプリケーションにその技術を提供しています。
また、クリスピー・クリームやホワイト・キャッスルを含むレストラン業界へもサービス提供をしています。

・Soundhound AIの特徴


強み:

  • 高度な音声認識能力: Soundhound AIの技術は、自然言語理解(NLU)と音声合成(TTS)において、業界をリードしています。

  • 幅広い適用性: 彼らの音声AIプラットフォームは、自動車、家電、モバイルデバイスなど、多岐にわたる分野で利用されています。

  • 独自の音声検索技術: 音楽、ニュース、一般的な知識に至るまで、声による質問に対して瞬時に答えることができます。

弱み:

  • 競争の激しさ: Google、Amazon、Appleといった大手企業も音声認識技術の開発に力を入れており、市場競争は非常に激しいです。

  • 収益化の課題: 音声AI技術の収益化は依然として課題であり、ビジネスモデルの確立が求められます。

・将来性


音声認識技術の需要は、スマートデバイスや自動運転車の増加に伴い、今後も拡大していくと予想されます。Soundhound AIの高度な技術は、この成長市場で重要な役割を果たす可能性があり、特に車載システムやスマートホームデバイスへの適用が期待されます。

・Nvidiaとのシナジーの可能性


NvidiaはAIとディープラーニングの分野で先進的な技術を持っており、Soundhound AIの音声認識技術とのシナジーは非常に大きいです。NvidiaのGPU技術とAIプラットフォームは、Soundhound AIの音声処理能力をさらに高め、リアルタイムでの高速な音声認識と応答を実現することができます。また、Nvidiaの自動運転車向けプラットフォームとSoundhound AIの技術の組み合わせは、車載システムの進化を加速させることが期待されます。

・株価騰落率(2月23日時点)


時価総額 10億ドル(約1500億円)
PER ー(赤字)
1ヶ月 +104%
3ヶ月 +81%
年初来 +85%

Soundhound AIの革新的な音声認識技術は、音声によるインタラクションの未来を形作る大きな可能性を秘めています。Nvidiaとの技術的な協力により、その潜在力はさらに拡大され、音声AIの新たな時代を切り開くことが期待されます。Soundhound AIの将来は明るく、その技術がさまざまな産業でのイノベーションを加速させる可能性があります。

Nvidiaの投資戦略への影響


ここまで4社みてきましたが、どれもGAFAMが目をつけそうな企業ですね。
GAFAMは買収により拡大を続けてきましたが、Nvidiaも同じ戦略をとってます。
NvidiaのAI関連企業への積極的な投資は、同社の長期的な成長戦略とAI市場への影響力を高めます。Arm Holdings、Nano-X Imaging、Recursion Pharmaceuticals、Soundhound AIへの投資は、NvidiaがAIの未来を形作る上で中心的な役割を担っていることを示しています。これらの投資は、NvidiaのコアビジネスであるGPU技術と深く結びつき、次世代のAIアプリケーション開発を促進する潜在力を持っています。
Nvidiaの戦略は、AI技術を用いた製品とサービスのイノベーションを加速させ、そのプロセスで新たな市場を開拓し、既存の市場での競争力を高めることに焦点を当てています。
これにより、AIチップ市場での同社の支配的地位がさらに強化され、長期的な収益成長へと繋がる可能性があります。

結論

本日取り上げた4社には、AIブームの中、高い潜在成長性があることをみてきました。
ただし、Nano-X、Recursion Pharmaceuticals、Soundhound AIはいずれも赤字企業で、未だ利益を上げていません。これら3社は長期的には大きなポテンシャルがありますが、財務状況は脆弱です。
赤字でキャッシュの流出が続いていることを考えますと、Arm Holdingsが最も安全な投資先かもしれません。同社のビジネスは引き続き堅実な成長を示しています。AIは間違いなく今後数年間、Armにとって大きな追い風になると思います。
そんなArmの株価も、買われ過ぎで割高です。
AI関連株に投資をするのであれば、Arm、Nano-X、Recursion Pharmaceuticals、Soundhoundというよりも、結局、Nvidiaを選ぶ方がよいかと、、
そんなオチかと怒られそうですが、Nvidiaは強力な売上成長の見通しを持っています。同時に、利益率が非常に高いです。株価急騰により、高値掴みを懸念する声も聞かれますが、Nvidiaの株価はArm他の4社よりも割安です。


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