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実在の2社で具体的なサービスを考えるワークショップ「もし全てが投資なら、どんなサービスがありうる?」

20代の“投資思考”を育む「104(トーシ)コンソーシアム」。「20代104会議」の第7回のテーマは、「もし全てが投資なら、どんなサービスがありうる?」。

人材会社(以下 P社)と住宅メーカー(以下 S社)の2社を題材に、事業の説明を聞き、もし2社の全てが投資なら、どんなサービスがありうるかをグループワークで考えました。

まずは、P社とS社の20代メンバーから、それぞれの会社の事業説明を行いました。

■私の会社はこんな会社です<P社>

「人」と「組織」を多様なかたちでつなぐ総合人材サービスを提供。国内外に拠点を持ち、業界トップクラスのサービスを展開しています。人材派遣や正社員領域の転職支援にとどまらず、IT・業務コンサルティングや設計開発支援、人とテクノロジーによる新領域の開発、海外での人材サービスなどに取り組んでいます。

1973年の創業以来、すべての人が生き生きと働ける社会を目指し、「雇用の創造・人々の成長・社会貢献」の3つの理念を掲げて事業を展開。働く一人ひとりの思いと時代の要請に合わせて業容を拡大してきました。

「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンに、より良い働く機会を創出する「“はたらくWell-being”創造カンパニー」を目指して複数の事業を展開。日本だけでなく、アジア、世界に広げていきたいという展望もあります。

■私の会社はこんな会社です<S社>

住宅メーカーのイメージが強いと思いますが、森林経営や再生可能エネルギーの「資源環境事業」、木材の流通・製造を行う「木材建材事業」、住宅・建築の「住宅事業」「海外住宅・建築・不動産事業」、地域活性・福祉の「生活サービス事業」といった事業を行っており、現在の稼ぎ頭は「海外住宅・不動産事業」となっています。

当社の事業で、「木材」から他社の脱炭素貢献、「建築」から他者・他社の脱炭素貢献、「再生エネルギー」から他社の脱炭素貢献、「森林」から社会の脱炭素貢献といった“WOOD CYCLE”を回せるよう、それぞれの事業を展開しています。

これら2社の説明を踏まえて、どんなサービスがありうるか、チームに分かれてアイデアを出し合いました。「誰が、何を、何に投資して、何が解決できて、どんなリターンが得られるか?」を念頭に、ワークが行われました。


2回のワークで出てきた各社の事業への新規アイデアを紹介します。

<人材会社P社>

■人材定着支援

離職率が高い企業が、お金と従業員のスキル情報をP社に投資。どんな人が活躍しているのかが分析できて求めるスキル・求められるスキルが見える化できます。リスキングによって従業員のモチベーションアップにつながり、企業は離職率を下げることができます。社内の人材が画一化する可能性があるのと、転職しなくなるのでP社内の転職サービスと競合してしまうリスクも。

■人材育成投資

人の育成・教育に投資することで、スキルや資格のない社会人に対して、その人に合った教育プログラムを提供し、派遣・正社員・フリーなど個人が望む働き方を紹介。働く意欲はあるけれど能力不足で働き先がない人を育てることで、企業に紹介できる人材が増え、P社のリピーターとなる顧客が増える。

■パーソナリティのつみたて投資

転職しようと思ったときに面倒なプロフィールシートを、日々のアンケートなどに答えていくことで作成できちゃうサービスを提供。転職したい人の自己分析をサポートし、転職登録のハードルを下げることができます。プロフィールの完成度、情報の精度が高まることで、人材採用したい企業は、質の高い情報から人材を選ぶことができるようになります。。転職者は、プロフィールシートが作成できることで自然とP社を選ぶため、収益につながります。アンケートの回答が長期にわたるのでユーザーが継続してくれるのかがリスク。P社への登録を「転職したいから登録するもの」から、「自分のキャリアの確認のために登録するもの」へのサービス改革を目指す。

■ビジネスコンテスト投資

P社がお金と場所を大学生・フリーランスのビジネスコンテストに投資(=主催する)。大学生やフリーランスからの認知度を上げられることと、新卒予備軍の学生の情報を得ることができます。ビジネスコンテストのテーマを決める権利を企業に売ることで、その企業はほしいアイデアとそれを発想した優秀な学生の両方を得ることができます。表彰された学生はテーマ選定企業の最終面接まで行けるなどのリターンが得られるため主催企業、参加学生ともにwin-winなコンテストが開催できます。大手企業とのコラボで新卒市場でのP社の知名度も大幅アップが期待できます。

<住宅メーカーS社>

■化粧品投資

S社の資材・ノウハウ・お金を化粧品会社に投資。建築時の端材を資源として活用しつつ、新規ビジネスに進出することで、ステークホルダーとのwin-winの関係を築ける。住宅メーカーからの脱却や売り上げの分散ができる上、自然素材化粧品メーカーというブランド認知向上も見込めます。

■災害対策住宅投資

S社のリソースを災害対策住宅事業に投資。日本企業ならではのノウハウで安定的かつ長期的な収益が得られ、景気循環に左右されがちな収益構造を解決できます。災害の多い海外でも展開が見込めるため地震大国のノウハウが強みとして活かせます。災害でも壊れないことというブランド認知と、経年劣化による定期的な補修での収益も見込めます。

■家具新規事業

お金と人材を、家具を作る新規事業に投資。S社の主力事業の一極集中を解決し、ブランド力の向上、販売ターゲットの拡大、収益向上を図ります。家具のメーカー機能を一から準備するため収益化まで時間がかかるのがリスク。

■地方都市投資

S社は高級住宅メーカーであるため市場が小さく、規模の大きい中低価格市場への参入はブランドイメージを下げるという課題がある。既存の住宅事業部がブランド・事業ノウハウを地方都市に投資し、街づくりを担うことでブランドイメージの維持・向上を図りつつ新たな市場への参入ができる。地方都市は、過疎化、空き家問題を抱えているためブランド力の高い当社が街づくりをすることで、町おこしにつながり問題を解決することができる。当社としてもブランドイメージの向上と新規ビジネスによる収益力アップを見込める。収益がプロジェクト単位となるため継続的な収益化には、相応の規模の経済的・人的投資が必要になることがリスク。

運営メンバーからは、より良い提案にするためのアドバイスも。

  • 企業が抱えている課題を起点にアイデアを考えるのも一つの方法。

  • アイデアに対するストーリーがあると、実現確度が上がり、より良い投資・良い効果につながる。

  • お金の投資以外にも、データ、モノ、教育などの投資があってよかった。お金以外のリターンも想定できるのは、アイデアを考える時のいいヒントになる。

まとめ&感想

  • 斬新な内容が多く、あらためて投資とは何かを考えさせられた。より良い投資とは、いろんな人から投資してもらえること。よその人も投資できるという発想も可能性を広げてくれる。さらに、多くの人がリターンを享受できるのも良い投資なので、その視点も持ってみるとより良いものになると思います。

  • 投資思考をしっかりと押さえた発表でした。社会課題も入れていくとより良いものになると思います。どの企業も社会課題を解決してお金を稼がないといけない時代になっており、お金を稼ぐだけでは投資家は認めてくれない。次のステップでその点もぜひ考えてみてください。多くの人に「投資=“共感”」してもらうことが大切。ビジョンに共感する人が投資をする。そういう観点を入れていくとより良いと思います。

次回、オープンイベントを挟んで、いよいよ集大成の最終プレゼンです。ここまでの講義を踏まえてどんなアイデアが飛び出すのか、お楽しみに!


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