S24 『翻訳家ゼウス』

■前回までのあらすじ
男女の別れ話。セフレ解消したい女と、その女に本気になって本命と別れようとする男のしょうもない現場。
ヒトの目には見えない女側の心の声を解放させてみようと、天に住む髭おじさんの声で状況は変わっていくのか!?

天ナレ
「なんか不毛なやりとりだが、一方はチャンス、ある一方にはピンチなこの状況。世界の形はまるっきり変えないだろうしょうもないことだが、どれ、少しヒトがもつ本当の窓を開けて、いろいろ見えやすくしてやろう。そ~れ」

  ぱっと見、何も変わってなさそうな感じ。
  まだ二人は黙っている。
  男が電話口にしゃべり出す。


男 「アヤカ?俺と別れてほしいんだ。。好きな人ができたんだ。うん、突然のことでごめん。でも、もう俺自分に嘘つけない」


女<字> 「やったわ、コイツ。マジか。ドン引きだわ。キモいんだけど。一緒になる気もなければ、もはや嫌いになってきたんだけど~、いやなんかジンマシン、マシンガンで出てきて生理的にきっしょいわ~~」


  女の方を見た男。スマホを耳から外し、
  呆然として立ち尽くしている


男 「え、、え?好きじゃないの・・?ってか、嫌われてんの、俺?」

女<字> 「は?コイツ、急にどした、こっち見て、嫌われてんの?って。いや、嫌いでしょ、ここまでくるとどう考えたって。ただのセフレが、しかもセフレ序列TOP3圏外が、一緒になりたいとか言われても、、ねぇ??」


アヤカ 「好きだよ!嫌ってなんかなかったよ!!でも、今回のは勝手すぎるよ、、わたしなにか悪いとこあったら直すよ?」


男 「俺、セフレのNo.1じゃないんだ、君の。相性良くて、カラダのつながりから本気の関係になれると思ってた。。そんな、、キモいんだ、、、あ、」

  スマホを耳にあてる男。

男 「アヤカ??・・・ドッキリだよ!嘘だよ!好きな人なんてう・そ!ほら、この前一緒に見た少女漫画でこういうシーンあって、アヤカ、いいな~とか言ってただろ?だからだよ!!ごめんな、ビッkr」

アヤカ 「サイッテイ!!!セフレいるのも最低だし、その人に本気になってんのも、有り得ない!!!あんたなんか、こっちから願い下げよ!!!サ!ヨ!ウ!ナ!ラ!!!!!!!」

男 「アヤカ!?アヤカ!?? アヤカーーーー!!??」

  男、膝から崩れ落ち、恥ずかしげもなく
  泣きじゃくる。


女 「だい、じょ、う、ぶ?」

男 「君のせいだぞ・・、君が思わせぶりな態度をとったから、俺は、俺は。。そんなにキモいのか!!??」

女 「え!?何言ってるの?」
女<字> 「コイツ、今、自分がキモいってこと自認した?ってか、私が言ったみたいに言ってきたけど」


男 「君が、そう言ったんじゃないか!!!」


女<字> 「え~~!?なんで喋ってないのに、全部筒抜けなのー??コワイコワイコワイ」


男 「喋ってないけど、顔に書いてあるんだよ!!!全部!文字で!!!ぜんぶ!!!!」

女 「・・・あっそ。それは残念ね。キモ男さん」

天ナレ
「いや~、本音って怖いですな。でも面白いですな。これからもたま〜にこういうこと、やっちゃおうかな!」

  神様の悪戯はいちばんタチが悪くて、
  恐い。



(了)


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