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S26 『占い師は占えない 2』

商売道具の水晶から思わず視線を外し、 顔を上げた。
そこには不敵な笑みを浮かべている怜子がいた。

優子(以下、優) 「なんで本名知って・・・」

怜子(以下、怜) 「なんで?って、そりゃあなたを知ってるからでしょ」

優  「質問の答えになってない!!そういうことじゃなくて」

怜  「え、そういうことじゃないってどういうこと?あなたを知ってる。それ以上に答えようがないと思うんだけど。家族でも親族でも、ましてや友達なんかじゃないんだから」

優  「じゃあなんで知ってるんですか!?どこで会ってたんですか?どんな関係なんですか、早坂さんとわたしは」

怜  「あ〜あれか。気にもとめてないくらいどうでもいい存在でしたか。まあだからあんなことできたんですよね」

優  「・・・、ごめんなさい。本当にわからなくて。わたし実は、、」

怜  「こっちはハッキリ記憶にこべりついてるのよ。覚えてないとは言わせませんけど!?」

優  「本当にごめんなさい。わたし実は、3年前に交通事故に遭ったみたいで、ある期間の、たしか、高校2年〜3年の間の1年半くらいの記憶とか思い出がなくなってしまって、未だに戻らないの。だからその時に知り合って、関わってる人なのかもしれないなって。それなら話を聞いていけば、その時の記憶思い出せるかもって思ったんですが・・」

怜  「何を言ってるの?記憶喪失的な?じゃあもういいわ、ってならないよ。なるわけないじゃない!」

優  「何があったんでしょうか?そんなに怒らせるようなこと、傷つけるようなことをしてしまったのでしょうか。。ごめんなさい」

怜  「ごめんなさい?何に?何に謝ってるんですか?」

優  「・・・」

怜  「そうですよね、だって記憶ないんですもんね?なんでそんなんで謝れるんですか?何に悪いと思ってるとか、何を償おうと思ってるのか、普通そういう対象があって謝るんじゃないんですか??」

優  「・・はい、・・」

怜  「その『はい』は何のはいですか?意味のない、はいとかうんとか、何も乗せてない言葉で適当にしないで!」


優  「ごめんなさい。。でも、この『ごめんなさい』っていう気持ちは本当ですよ。何をしてしまったのか、どんな内容なのか、それは分からないけれど、早坂さん、あなたがそんなに怒って悲しくて辛そうな顔をして怒鳴っているという事実は、ほんとうのごめんなさいを言うだけの理由になると思ったので」

怜  「あ、そう。じゃあ思い出させてあげる。まだ時間大丈夫よね?」


優子、カルテみたいな資料をみながら、

優  「次の方が13時からなので、あと20分ほどなら」


怜子が写真や古いノート、診断書などを机に出し、優子の前に見せる。


優  「・・・、これ早坂さん、なんですか、、?」


怜子、目に涙を溜めながら、強い眼差しでまっすぐ優子を睨んでいる。


(つづく)

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