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【OAK】打線を牽引する新たなマネーボールの申し子たち【4月振り返り】

目標は.450と言ったな?あれは嘘だ。

ある意味で記憶と記録に残る開幕1ヶ月でした。

アスレチックスは4月を6勝23敗の戦績で終えました。

驚くべきは、6勝しかできなかったことで驚くのはまだ早いということです。

アスレチックスは体感で、”歴代ワースト”という枕詞の付く記録の全てを更新しました。

中でも先発投手の暴れっぷりは凄まじく、先発ローテのERA8.51は29位のCINに2.5ポイントもの大差を付けての圧倒的最下位。

規模と期間的に山火事に匹敵するレベルで燃え続けた先発ローテに野球の神様は冷淡でした。
開幕から28試合続けて先発投手に勝ち星なしというMLB新記録の樹立でそれに報いました。

半分くらいは先発ローテの自業自得と言ったらそれまでですが、下旬はブルペンに吹き飛ばされた試合も少なくありませんでした。
まるで先発ローテだけが悪いような言い方をしましたが、ブルペンもご多分に漏れずレベルが低かったです。ERA6.83はメジャー29位、fWAR-1.4はメジャーワーストの数字でした。

そしてすごいのが、リードした状態で継投に移ったのが10回しか無いにも関わらず、その内の7回を吹き飛ばしたことです。BSV7回はもちろんメジャーワーストでした。

歴史的投壊の傍ら、打者は比較的頑張ったといえます。
wRC+98はまぁ大目に見て平均レベルで、これはHOUやNYYを上回るレベルです。

しかし、投打が噛み合う試合がほとんどなく、6勝の内の5試合は1点差勝利。勝ち星の数の倍近くの2桁失点での負けを喫し、得失点差は史上ワーストの-117となっています。


窮状に差し込む希望 ~RNRトリオ~

前述の通り、打線はまずまずの働きを見せています。

その源動力となっているのがすっかり1,2,3番に定着した、エステウリ・ルイズ、ライアン・ノダ、ブレント・ルーカーの若手3人です。


週間MVP、ルーカー

A's Twitterより

中でもルーカーの活躍は凄まじく、wRC+238はダントツのメジャートップ(min:80PA)を記録しました。

KCからウェーバー経由で入団したルーカーは、STでの活躍が認められて開幕ロスター入り。
当初はプラトーン要員からのスタートでしたが、4/12のBAL戦からの3試合連続HRをきっかけにクリーンナップに定着しました。

プロスペクトとして評価されていたものの、これまで3球団を渡り歩いてきたルーカーの今回の覚醒はまさしく突然変異。

覚醒の理由として考えられるのは、ボール球の見極めが良くなったことです。

Chase%(ボール球スイング率)は昨年比で10ポイント減の21.2%で、これはMLBでも上位16%に位置する高水準です。

打って結果を残したいSTからセレクティブな姿勢で臨んでいた結果が現れているといえます。

その結果、三振率18.6%/四球率16.3%と非常に優秀なアプローチを発揮しています。


リッキー・ヘンダーソンの再来ことエステウリ・ルイズ

A's Twitterより

エステウリ・ルイズは33年ぶりにA'sの月間盗塁記録に到達しました。この記録の保持者はもちろんかのリッキー・ヘンダーソンです。

2022年にはマイナーで85盗塁を決めた韋駄天ルイズは、低迷期に登場した経緯や期待の大きさからリッキー・ヘンダーソンの再来かと囁く声もありました。

少なくともここまでのルイズは、脚ではレジェンドに匹敵するレベルだと証明しています。
11盗塁して、盗塁死は牽制に引っかかった1回のみ。際どいタイミングでの盗塁もほぼなく、いとも簡単に塁を陥れます。

ただ、リッキー・ヘンダーソンになるためには、まだまだ打力が足りていません。

中旬にかけて好調でトータルのwRC+93は、打力が課題のルーキーとしては悪くありません。(ヘンダーソンもルーキーイヤーはwRC+93)

しかし、ちょっと気になるのはマイナーでは出塁マシーンだったにも関わらず、出塁率.336/四球率3.3%の低水準に留まっていることです。

昨年大きく改善されたと評判の選球眼も奮わず。Chase%は34.7%、Whiff%(空振り/スイング率)27.7%と、いずれも平均以下の数値を記録しています。

このままリードオフを続けていく上では、選球眼の向上が求められていくでしょう。
メジャーで経験を積むに連れて磨かれていってほしいですね。


選球眼に尖ったライアン・ノダ

baseball savantより

選球眼が課題のルイズが見習うべき完璧な先達がいます。

ルール5ドラフトから加入したライアン・ノダは今やチームには欠かせない存在です。

ノダの武器はなんといっても”選球眼”。

ボール球には滅多に手を出さず、Chase%は驚異の17.1%(上位5%に入ります)。
四球率21.2%はメジャー4位に位置しています。(min:80PA)

ストライクを投げられたら空振りが多いという明確な弱点もありますが、今のところは抜群の選球眼と平均以上のパワーで弱点を補って余りあるくらいです。


5月に向けて

4月があまりに悪かったため、むしろこれからは伸びしろしか見えません。

JJ ブレデイの昇格に期待

打線は上記の3人以外でも、シェイ・ランガリアーズがスイーパー絶対しばくマンとして君臨。同球種に対してのRun Value+5は圧倒的な数字です。

さらにベテランのヘスス・アギラーもwRC+128で5HRと堅調。トレードデッドラインで売り物になってくれそうです。

さらに4月はIL入りもあったラモン・ローレアーノが5月は頭から出場できます。
出さえすれば平均以上の打撃貢献を残してくれるローレアーノがいるというのは大きいでしょう。


5月以降の打線は、4月に打線を牽引したRNRトリオが調子を保てるか(彼らは本物なのか)に大きく左右されるはずです。

この選手の活躍には期待できる、というようなXファクターはこれといっていませんが、強いてあげるならそれはJJ ブレデイです。

オフにAJ パクとのトレードでやってきたブレデイは開幕ロスターから漏れ、AAAスタート。

ブレデイは打者天国のPCLとはいえ目を見張る成績を残しており、wRC+150を記録。

特に驚きなのは、これまで課題とされていた三振の多さが劇的に改善していることです。
ここまで四球率16.8%に対して、三振率は12.6%に過ぎず、これまでとは違う姿を見せています。

現在、メジャーではコナー・ケイペルが出塁率.356とまずまずの貢献を見せていますが、いかんせんインパクト不足で、守備貢献が低いせいでWARはマイナスに割り込んでいます。

セス・ブラウンの復帰が5月下旬以降と予想されるため、ブラウンの復帰前にブレデイをフルタイムで起用してほしいところです。


メイソン・ミラーの先発がたくさん見られる

4月を通して散々な出来に終わった先発ローテ。

チームはサービスタイムが1年分後ろ倒しになる開幕2週間を待ち、プロスペクトのメイソン・ミラーを昇格させました。
今季はAAとAAAでそれぞれ1先発しかしていませんでしたが、異例のスピード昇格となりました。

昇格してからは平均99mphの4シームをはじめ、卓越したポテンシャルを発揮。

3先発目となった5/1のSEA戦では7回をノーヒットに抑えるセンセーショナルなパフォーマンスを披露。

ミラーに感心させられるのは、そのスペックはもちろんのことながら、試合中に修正する能力の高さです。

2戦目のLAA戦では立ち上がりに痛打されたものの立て直し、今回のSEA戦でも制球を崩す場面があったものの、変化球の割合を増やして打たせて取りました。

故障もあってマイナーでは11登板しかしていないとは思えない、熟練のマウンド捌きを見せています。


また、ミラー以外にも前向きな要素はあります。

開幕当初は苦しんでいたケン・ウォルディチャックとJP シアーズは明らかに試合を作れるようになってきました。

特にウォルディチャックはチェンジアップを活用できるようになってから、見違えるように良くなっています。

そして、開幕はILに入っていたドリュー・ルチンスキが復帰。エース格ポール・ブラックバーンの復帰もそう遠くないはずで、完全体ローテの結成に期待がかかります。


藤浪の奮起に期待

ブルペン事情はあまりにも厳しい4月でした。

オフ唯一の補強だったトレバー・メイが不調の上、メンタルヘルスの問題でIL入り。さらにクローザーのダニー・ヒメネスも60日ILに入るなど、とにかく人手不足に悩まされました。

いたメンバーもいたメンバーで、メジャーリーガーと呼べるレベルの投手はザック・ジャクソンとサム・モールぐらいのもの。

ブルペン改善の一手として期待したいのが藤浪です。

先発ローテの一角として期待された藤浪でしたが、開幕から爆発炎上続き。
あえなくブルペン転向となってしまいました。

リリーバーとしてなら藤浪の100mphの速球とスプリットの組み合わせが通用すると見る向きは多くあります。
実家、これまでのリリーフ登板も可能性を感じさせる場面が多いです。

藤浪がハイレバレッジリリーバーに定着すれば台所事情は一気に楽になります。

また、AAAで好投しているリコ・ガルシア、ギャレット・アクトン、ミゲル・ロメロらのセレクトも見てみたいですね。


4月のどうでもいいニュース集

まるでスターリン?抗議のバナーが消される

チームがラスベガス移転に大きくシフトしていくというニュース以来、コロシアムでは抗議活動が活発化しています。

選手個人のバナーが掲げられるライトスタンドのブリーチャーには、今やジョン・フィッシャーオーナーを糾弾したり、チーム売却を求めたりするバナーが陣取っています。

そこで、MLBがハイライトからその抗議のバナーが見えないようにトリミングした、というのが話題になっています。

これ以外にも、A's公式Twitterに載る動画の切り抜きから、ライト方向へのホームランがすっかり抜け落ちていることなど、疑問は深まるばかり。

スターリンばりの"検閲"には思わず苦笑い。

止まらない映画「メジャーリーグ」化。トレバー・メイがオカルトにハマってしまう

映画「メジャーリーグ」は、移転を目論むオーナーがわざと弱いチームを作って、観客動員を減らそうとするというお話です。

今のアスレチックスとの類似点が度々取り沙汰されてきましたが、ここにきて「メジャーリーグ」化が進行しています。

開幕から奮わず、メンタルの不安でIL入りしていたトレバー・メイが先日からチームに帯同し始めました。

そのメイ、どうやらオカルトにハマってしまったらしく、ブルペンとダグアウトでハーブを燃やしていたようです。
その目的は悪い呪いと負のエネルギーを取り払うため。

これが「メジャーリーグ2」のペドロ・セラノのようだと話題を集めました。

あとは藤浪がリッキー・ボーンになるだけか。



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