2019年ポジション別MLB最速選手
今回は、ずいぶん前に投稿した「最速選手」企画の記事をアップデートしてお送りする。
手抜きではなくしっかり書いていくよ!
*選考はStatcastのスプリントスピードを用いる(100機会以上)
また所属チームは19年現在のものとしています。
DH(指名打者)
1位 ハンター・ペンス(TEX) - 28.6 ft/s
昨年シーズンを97G、OPS .590で終え、完全に終わった選手と見られていたペンスだが、拾われたテキサスでまさかの復活。
37歳にして未だに活力に溢れたプレーを見せている。
もともとナショナルリーグで外野手をやっていた時代からそれなりに足は速く、自己ベストは22盗塁。
独特の動きから生み出される脚力を生かして、今季はランニングホームランもキメている。
2位 大谷翔平(LAA) - 28.2 ft/s
二刀流の大谷が俊足も武器にしているというのを世間に知らしめたのは何と言っても、日本人初のサイクルヒット達成だろう。
ただ、シーズン終盤に膝の手術に踏み切ったこともあり、この程度の数値に抑えているとも取れる。
30(ft/s)を超えるベースランニングの回数を示す”ボルト"では、大谷はダントツの8回を記録していて、ここぞという場面ではリミッターを外して走っているのだろう。
3位 レナト・ヌニェス - 27.1 ft/s
31HRを放った打棒が魅力のヌニェスは、まだ25歳ということもあって平均以上の走力も持ち合わせている。
昨年、DHとして低迷に沈むBALで気を吐いたが、今後も打撃一本で生き残るならば更なる進化が必要だろう。
(元OAKのプロスペクトなので、応援してます!頑張れ!)
<寸評>
惜しくも規定に満たなかったが61機会で28.7ft/sを記録したルーキーのニック・ソラック、同じく新人のヨーダン・アルバレスらも上位に食い込み、また4位にはHR王のホルヘ・ソレーアが入っている。
若くしてDH起用されるケースが思ったより多かったのが印象である。
ライト
1位 アビサイル・ガルシア(TB) - 28.8 ft/s
2017年のオールスターシーズンやTBへの移籍を経て、着実にステップアップしている印象のあるガルシアだが、意外にも俊足だ。
今オフは、自分の可能性を信じて敢えて短い契約年数のMILを移籍先に選んだという。
盗塁数は昨年の10個が最多ながらも、その俊足は守備に活かされていて、OAA(statcastの守備指標)は平均以上を記録している。
2位 コディ・ベリンジャー(LAD) - 28.8 ft/s
2019年のMVPを獲得したベリンジャーは、外野起用が増えたこともあって、そのオールラウンダーぶりをさらに発揮した。
あれだけ打てて、守れて、顔も良い上に足も速いなんて...
という感じだが、見た目以上にスプリンターとしての実力は高く、同部門でボルト(30ft/s以上のベースランニングの回数)22回はダントツのトップ、また打席→一塁までの到達タイムも1人だけ3秒台の3.98ともはや異次元。
しかもベリンジャーはスイングの動作が結構大きいのに...
3位 クリスチャン・イエリッチ(MIL) - 28.7 ft/s
ベリンジャーとギリギリのMVP争いを演じたのが、このイェリッチ。
ベリンジャーの2倍の30盗塁を決めて、40HR-30盗塁を決めるなど、この男も中々に異次元だ。
ボルトの数もベリンジャーに次ぐ18回と十分で、これなら何回もサイクルヒットをやってのけるのも肯ける。
あと、オフの間にサイン盗み疑惑をかけられていたが、盗んでいるのは先の塁だけだと信じたい所だ。
<寸評>
全体的にライトは、走攻守に秀でたスター選手が多くランクイン。4位のブライス・ハーパーを初め、ヤシエル・プイグ、アーロン・ジャッジなども名を連ねている。
センター
1位 バイロン・バクストン(MIN) - 30.3 ft/s
怪我さえしなければ最高のアスリートであることに疑いないバクストンだが、19年も故障との戦いだった。
故障しないでフルシーズンを戦えれば、それこそニュースになる活躍を見せてくれるはずだ。
パワー野球を売りにするMINだが、バクストン自身も打球初速やローンチアングルが上がっており、もし健康に過ごせたなら20HR-80盗塁のような人外の成績を記録するかもしれない。
そう、もし健康ならね...
↓頭おかしいのかっていうぐらい速いので、見るとスカッとします。
2位 デライノ・デシールズ Jr.(TEX) - 29.4 ft/s
俊足と守備力だけで生き残りをかけるデシールズ Jr.は、2020年シーズンは新天地クリーブランドで定着を目指す。
CLEとて、エースのコリー・クルーバーの対価であるデシールズ Jr.には多大な期待をかけているだろう。
CLEにはフランシスコ・リンドーアやホセ・ラミレスなど小柄な好打者が多くいるため、彼らも意識するような引っ張る打撃を体得して一気にブレイクする可能性もあるのではないかと思う。
3位 ビリー・ハミルトン(ATL) - 29.5 ft/s
言わずと知れた一芸選手だが、ついぞ盗塁王を獲得することなくキャリアを終えそうだ。
昨年は俊足選手好きなKCから、守備固め/代走要員としてATLに途中移籍し、少ない機会ながら22盗塁を記録した。
今後もプレーオフや短期決戦での代走屋としての寿命はありそうで、生き残りをかけていく。
<寸評>
センターは最激戦区!その足にキャリアをかける選手も多い中、ロナルド・アクーニャは6位、マイク・トラウトは12位にランクインし、格の違いを出していた。
レフト
1位 ティム・ロカストロ(ARI) - 30.8 ft/s
MLB最速選手がここに見参。
右打者でありながら一塁到達タイム3秒台、ボルト63回などどの部門で見てもトップなのは間違いない。
ここまで見ると、ありふれた俊足の控え選手のように見えるロカストロだが、実はある部門でもブッチギリのメジャートップだったりする。
その部門というのは、なんと死球稼ぎ。
狂気の当たり屋と称されることもある絶対に避けないアプローチで、22死球を稼ぎ、出塁率を傘増ししている。
2位 グレッグ・アレン(CLE) - 29.0 ft/s
グレッグ・アレンは小柄ながら身体能力に溢れた好選手。
身体能力の高さは守備で発揮されていて、フェンス際のランニングキャッチや、100マイルの送球で走者を刺すなど随所で美技を見せている。
3位 ハロルド・ラミレス(MIA) - 28.9 ft/s
25歳の新鋭がランクイン。スマートな体型とは言えないが、ハッスルプレーが持ち味の人気者で、サヨナラ打も二回記録している。
今後の成長次第ではMIAの先輩のマーセル・オズーナのようになる可能性もあるので、低迷中のMIAの中でも注目したい選手である。
<寸票>
レフト部門ではセンターも兼任する選手が多くランクイン。
全体的に走力の高い選手が多かったが、ゴールドグラブを獲得したのは最下位のアレックス・ゴードンという意外な結果に。
サード
1位 トミー・エドマン(STL) - 29.4 ft/s
ルーキーながらエドマンが大差で優勝。セカンドや外野もこなすユーティリティだけに、流石の運動能力の持ち主である。
昨年は勝負強くシュアな打撃と汎用性の高さでSTLの地区優勝に貢献したエドマン。今年も好成績を維持できるか注目だ。
2位 ハンター・ドージャー(KC) - 28.2 ft/s
昨年は26HR OPS.870と一皮剥けたシーズンを送ったドージャーが2位にランクイン。
今年はライトがメインポジションとなる予定だが、ご覧の通り足も速いので適応することができそうだ。
ポテンシャル的に言えばもっとホームランを打てる選手なので、更なる飛躍に期待大。
3位 クリス・ブライアント(CHC) - 28.2 ft/s
去就問題ばかりが取り沙汰されるが、MLB屈指のスター選手であるブライアント。足も速かった。
ブライアントは、ジョー・マッドン前監督時代から、身体能力の高さを見込まれて外野の両翼や、時にはセンターやショートなどでも起用されてきた。
その起用に応えるだけのセンスはあり、状況判断なども問われる走塁指標BsRでは三塁手2位の数値を記録している。
<寸評>
盗塁の上手いイメージがあるホセ・ラミレスは意外にも7位で、やはり走塁は技術なんだなとしみじみ。マット・チャップマンとヨアン・モンカダもそれぞれ5,6位にランクイン。
ショート
1位 トレイ・ターナー(WSH) - 30.4 ft/s
ロカストロには惜しくも敗れたが、ボルト数は1人だけ3桁の122回と異次元。
それにターナーは脚力だけが飛び抜けているだけでなく、他のツールもバランス良く備えているところが素晴らしい。
是非ともA'sのトッププロスペクトのホルヘ・マテオさんにも彼の背中を追って欲しい。
余談だが、顔も良い。
2位 アダルベルト・モンデシー(KC) - 29.9 ft/s
43盗塁を決めた韋駄天で、守備も優秀。
非力で粗い打撃だけが弱みだが、そこを直せばスターになること間違いなし。
バレル割合などには光るものがあり、そう遠くない将来に本格開花の予感もある。
3位 ジョン・バーティ(MIA) - 29.8 ft/s
隠れた実力派の選手。
俊足を活かしたベースランニングとショート・センター守備が持ち味で、守備範囲はかなり広い。
打撃の成長次第ではKCのメリフィールドのようになるかも??
<寸評>
ショートもセンターに次ぐ激戦区で、身体能力の高い選手が多い。フェルナンド・タティス Jr.やトレバー・ストーリーといったスター選手も29.0ft/s以上のスプリントスピードを記録している(!)
セカンド
1位 ギャレット・ハンプソン(COL) - 30.1 ft/s
実は推しているコロラドの快足プロスペクトが、シーズン中から首位を奪取。
少ない機会の中でもボルト数58回は二塁手トップを記録する脚力は本物で、それを活かしてセカンドだけでなくショートやセンターも守る。
あとはマイナー時代に発揮していた出塁能力を発揮して、盗塁数を伸ばすだけ。
2位 シーザー・ヘルナンデス(PHI) - 28.7 ft/s
ハンプソンには及ばないが、ボルト数やスプリントスピード共に二塁手トップクラス。
19年シーズンは持ち前の選球眼が鳴りを潜め、盗塁企図数も増えなかった。
PHIをノンテンダーになってしまい、CLEと一年契約で復活を狙う。
3位 ホセ・アルトゥーべ(HOU) - 28.6 ft/s
かつての盗塁王も今はめっきり盗塁数を減らしたものの、いまだに快足は健在。
右打者でありながら一塁到達タイムは4.05、ボルト数48回は超一流の成績と言って良い。
2014年には7HR,56盗塁だった選手が今や、31HR,6盗塁の選手になってしまうのだから、人生は分からないものである。
HOUのサイン盗み疑惑では、サイン盗みしていない選手と庇う声もあったが、疑惑を晴らすには今季に実力を発揮するしかない。
サインではなく塁を盗むアルトゥーべの姿を、我々は見られるのだろうか。
<寸評>
アルトゥーべの下には盗塁王経験のあるウィット・メリフィールド、オジー・アルビーズら実力のある選手が揃う。最下位のロビンソン・カノーは全力疾走しない悪癖のせいで一塁到達タイムは左打者ながら4.62という数値に。
ファースト
1位 ブランドン・ディクソン(DET) - 28.5 ft/s
長打力が売りの選手で、昨年はDETのチーム本塁打王(15HR)
ゴリゴリの打撃スタイルでハードヒットは多いが、三振も多く出塁率は低い。
マイナー時代は26盗塁決めたシーズンもあるので、自らの価値を高めるためにも積極的に盗塁してみてはどうだろうか。
2位 アレドミーズ・ディアス(HOU) - 28.1 ft/s
内外野をこなすユーティリティ。
STLでショートのレギュラーを張っていた経験もある実力者で、昨年もOPS.823と中々の成績を残した。
HOUに来てからアプローチが劇的に改善しており、来年以降はどうなるのかにも注目だ。
3位 マイケル・チェイビス(BOS) - 28.0 ft/s
昨年デビューを飾ったBOS期待の大砲候補。
一発は魅力だが、昨年は三振が多いという弱点も露呈してしまった。
2B,1B,3Bをこなす守備も優秀で、攻守に秀でた選手として今後も期待したい。
<寸評>
この部門では流石に鈍足選手が多く、ユーティリティ選手が目立った。ただ、本職の中ではユリ・グリエルが27.6ft/sと健闘。
キャッチャー
1位 ホルヘ・アルファロ(MIA) - 28.8 ft/s
捕手部門はStatcastの計測が始まって以来、リアルミュートの天下だったが、今年はリアルミュートの交換要員だった男が下克上。紙一重の接戦を制した。
上位10%に入る脚力と共に、強肩とパンチ力も武器で、荒削りながら昨年は及第点の活躍を見せた。
26歳と伸び代もあるはずなので、捕手として磨きをかけつつ、脚力も発揮して欲しい。
2位 J.T.リアルミュート(PHI) - 28.7 ft/s
プロに入ってから捕手に転向し、No.1捕手まで登り詰めたアスリート。
課題とされていたフレーミングも改善させ、ますます非の打ちどころがない選手になった。FAも近いが、PHIと契約延長するのが既定路線と見られている。
今年はアルファロにトップの座を譲ったが、ボルトの数ではアルファロを上回る3回。
3位 イサイア・カイナー・ファレファ(TEX) - 28.0 ft/s
捕手もこなすユーティリティという珍しい選手。
プロ入り後に始めた捕手の守備には適応できず、今年から内野のユーティリティに戻る。
<寸評>
捕手にも運動能力が求められる時代になり、ファレファのように内野と兼任する選手や、リアルミュートのようなコンバートされた捕手もこれから増えていくだろう。有望株ドールトン・バーショ(ARI)はこのランキングに食い込めそうな逸材。
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