自動記述の試みとしての短歌

自動記述の試みとしての短歌

会陰部はまだ塞がらない(手のひらの)言葉を覚える以前の海に
ことばを患い落下した翼だけ捨てられている なぜ愛するの
尿(ゆまり)のあとの砂が縮んで添えられる折口のよごと、ものがたり、うた
予感から余寒を導く よごと、ものがたり、うた またため息を吐く
側勒努趯策掠啄磔の順の字画を経巡る風景となれ
花火のように打ち上げられたその頂きで青いひとみを海は見開く
子音の砂と母音の石を溢すとき私語の屈曲は囁きとなる
栲綱(たくずの)の白き精液が透けてゆく瞳をもたない幼さゆえに
歯を埋める空の舌を動かす夜の風の果て頭蓋の隅に燃えかすがある
記号は幼虫、揺れながらひとつづつ孵化するように詩になってゆく
蜘蛛の巣の経路を破壊してみても鳥の飛翔の語尾は伸びてゆく

#短歌

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?