メンデルのエンドウ

破れかけた心臓を展示するカフェの通路に並ぶ血抜きのマネキン
臨月をうみずきなどと言い換えて膿むつき倦むつき月は朧(おぼろ)に
結ぶことのないネクタイをゴミに出す感染してないレグホンみたいに
外洋に降りだす雪は眼を無くす導入麻酔のあまやかさに似て
世界へと伸びきる護謨に触れてみる両性具有の印度の神の
北側のあなたに触れて南下する空のかるさの鳥は色紙
突然変異の素足のおもみを引き受けてメンデルのエンドウをまた撒く
ペットボトルのみずは光を握りしめ島を探してただ流される
山々が呼応している鉄塔の光のしたに食むビスケット
父に母に 花火のあとの何処そこの煙もろとも火は南下する
#短歌

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