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やすたにありさ
2020年12月27日 19:56
「書き方とかけっこう忘れるよね」シングルベッドの上で黒のキャミソール一枚の蜜(みつ)27歳(営業事務)が毛布を胸元に手繰り寄せながらぼやいた。左手には結婚式の出欠席を問う往復はがきを持ち、太陽の光をかざして見ている。大晦日の朝10時、日差しは薄いながらもまだ眩しい。彼女は目をしぱしぱさせながら、決して見えやしない他人のこの先の未来を見るようにはがきを日光に透かしてしばらく眺めていた。