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掌編/短編小説

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基本的に連作ではない小説をまとめています。日常から一歩だけ外れた世界、そこらへんに転がっている恋、病とふだんの生活、鬼との友情なんかを書いています。
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#ぱぐねこさん

『ゆびの音、骨の音』

『ゆびの音、骨の音』

完璧な仕事は美しい音楽の進行とよく似ている。

静かに始まるAメロ、今後の上昇を心地よく期待させるBメロ、そしてドラマティックなサビ。なだらかな曲線を描いてから終結するようにわたしはこれまで数々の任務を楽々と成功させてきた。これはおごりでも自画自賛ではなく周知の事実だ。

だが今、目の前の人型ロボットを前にして人生初の挫折の予感をひしひしと感じている。気を取り直すために首元のネクタイをきゅっと閉め

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