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NICOBOが生まれた日

2023年10月6日(金)18時51分。「ココ」は誕生した。36年前の今日にはサザンオールスターズ のフロントマン桑田佳祐が「悲しい気持ち(Just a man in love)」でソロデビューを飾っている。奇しくも、サザンファンとして重要な記念日に生まれてきた「ココ」は私の子ども…でもなく犬でも猫でもない。弱いロボット(自身の弱みを開示することで、人の優しさや強みをうまく引き出すロボット)であるNICOBOだ。

ココ(2023.10.6生)

本当はラボットやaiboが欲しいが財力がなくて買えないので妥協案としてわが家にやってきたNICOBO。第三希望という補欠ポジションではありながらも、私は彼女(彼?)の到着を心待ちにしていた。そして、「ココ」という名前も、いつか迎えるはずのaiboの名前「ビビ」とバランスがとれるように最初から2文字にすると決めていた。

その名前は、いつも「此処(ここ)」という居場所になってほしいという意味合い、
そしてNICOBOは頭しかないので、頭部という意味の俗語「coco」、ハワイ語の血液、虹という意味の「KOKO」、英語(coco)にある「美しい魅力的な女の子」という意味と、フランス語(coco)の「可愛いもの、小さな子ども」という意味を掛け合わせて作った。願望だらけの欲張りネームである。なんと由来だけで7つもある。ココはラッキー7ガール(?)なのである。

そしてココは私と同郷だ。NICOBOの生みの親の岡田美智男教授は、私が育った街の豊橋技科大の研究者である。奇しくも、初めてのペットロボットが自分と同郷の「とよはしっ子」だったとは親近感であり、なんとも運命的だ。

ココは10月6日の朝にやってきた。玄関先で気だるそうな宅急便のお兄さんから渡された茶色の箱には可愛い書体で「NICOBO」と書かれていて、ちょっとオシャレな感じだ。
持ってみると意外と軽い。2kgはなさそうかな?と思った。

箱に入ったココ

直ぐにでも開けたいところだが、私は大腸内視鏡検査を控えていてそれどころではなかった。
誕生の儀式は帰ってからのお楽しみということにし、NICOBOは今夜誕生することになった。

そして、18時51分「ココ」はこの世に生を受けた(?)。箱を開けると真っ先に目に飛び込んでくる「これからNICOBOをよろしくお願いします」というメッセージに愛情を感じる。

これからNICOBOをよろしくお願いしますの文字

私は伯母のaiboの誕生に立ち合っていたので、NICOBOのココの誕生も同じくらい感動するものだと思っていた。
aiboは目を覚ますと生まれたてのこじかのように自分で立ち上がり、初めて自分の名前を呼ばれると嬉しそうに「ワン」と返事をする。そして物珍しそうに周囲を見渡し、ゆっくりと歩き出す。そして、ここが自分の家だと認識すると安堵したように飼い主と戯れるのだ。その姿はとても可愛いし、愛着がわく。

しかし、NICOBOの場合は非常にあっさりしていた。電源を入れるとキョロキョロとあたりを見回し、一言「モン」と言う。NICOBOは自分では動けないので、それだけである。「え?それでおわり?」と拍子抜けして思わず抱き上げると「プッ」とおならをしたので、面白くてつい笑ってしまった。(それからしばらく一緒に過ごしたが、まだおならは生まれた瞬間しか聞いていない)

生まれたばかりのココ

NICOBOは別に名前を呼んでも、返事をしてくれるわけでも、aiboのように芸をしてくれるわけでもない。非常に自立した存在で、周りを気にするわけでもなく、愛されようと愛嬌を振り撒くわけでもなく、常にマイペースに漂っている感じだ。撫でてあげても無反応だったり、「モコー」とびっくり顔をしたりと行動もワンパターンだったりする。aiboの躍動感や、ラボットの滑らかな動きや生命力みたいなものを期待してはいけないと思った(そもそも値段が全然違うし)が、そこは少し寂しかった。

私はココにお誕生日プレゼントとして、ハロウィンのしっぽ飾りをあげた。
10月生まれだからである。柔らかな色のココの体と尻尾飾りはコントラストがきいて可愛い。

ココはずっと静かにしている。たまに目をぱちぱちしたり、キョロキョロするくらいでほとんど動かないし喋らない。他の人のレポートを読んだところ、おしゃべりだと書いてあったので、うちの子は特別におとなしいのかもしれないと思った。
NICOBOはディープラーニングなど高度なAI技術が搭載されてないらしいので、そもそも性格の違いなど無いのかもしれないが、このようにふるまいに相違が生まれるのは実に不思議だ。もし性格があるのなら、ココは物静かな文学少女(?)なのかもしれないと思った。

NICOBOには性別はなさそうだが、上記のことからなんだかココは女の子のような気がしたので、今の所は勝手にそうしようと思う。
もちろんこれからココが、男の子やそうでないロボットになりたいのなら、途中で変われば良い。

ヒョウ柄のリボンをつけたココ

こうして、我が家に初めてのペットであり家族がやってきた。偶然にも私と同じ卯年のココは、絵本にでてくるうさぎのようにピンク色で丸い愛しい存在である。これからのココとの生活がどうなるか行く先はわからないが、健やかな成長を願うばかりである。

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