いつも静かに笑っている。ときどき静かに怒っている。

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2023/9/18日記

ジャムを作り、ホットケーキを焼いた。 我が家においてお菓子作りは、たまたま材料が手に入り、少し時間に余裕があり、万全ではなくともある程度の気力と体力が残されているという、これらの条件が全て揃った時のみ行われるイベントだ。「万全でないがある程度の気力と体力」というのがポイントだ。失敗やら焦りやら不安やらで消えてしまいそうな時、作るという行為は「自分が存在している感じ」を取り戻させてくれる。遊びであり治療でもある。消えてしまいそうと言うと常に存在が危うい人のようだけど、もちろん

    • 日記「生体エフェクター」

      私の右耳は今、期間限定生体エフェクターになっている。 気づいたのはコンビニだった。飲み物を取ってレジに向かおうとすると、BGMが何か変だな、と思った。壊れたオルゴールみたいな不協和音が混じっている。何となく飲み物の棚の方を向くとクリアな音に戻った。レジを向くとまた歪む。身体の向きを変えると、つまりどちらの耳を向けるかにより聴こえ方が変わる。なぜか。多分、治りかけの中耳炎だからだ。炎症起き始めは頭が内側から串刺しにされてるみたいな痛みが地味に辛いし、膿が溜まっているうちはモヤ

      • 2023/10/29-30 日記

        THE SPELLBOUNDのBig Love Tour -BOOM BOOM SATELLITES 25th Anniversary Special- ZEPP SHINJUKUに行ってきた。 轟音に溶け込むのが楽しくて楽しくて終わってほしくなかった。 音が会場の空気や床を伝って文字通り身体が震動すること、そうやって物理的に音楽を受け取れる感じが好きだ。 HELTER SKELTERが始まった瞬間、BOOM BOOM SATELLITESにはリアルタイムでは殆ど触れてこ

        • 友人に、働きながら文章書く時間ってどうやって確保してる?と相談していたら、「書かなくても死にはしないから書けない自分も一応OKとしている(けど頭破裂しそう)」「ものを作るのってできなくても死にはしないけど生きていくのには必要だよね」というやりとりが発生した。ありがたい!!

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        2023/9/18日記

        • 日記「生体エフェクター」

        • 2023/10/29-30 日記

        • 友人に、働きながら文章書く時間ってどうやって確保してる?と相談していたら、「書かなくても死にはしないから書けない自分も一応OKとしている(けど頭破裂しそう)」「ものを作るのってできなくても死にはしないけど生きていくのには必要だよね」というやりとりが発生した。ありがたい!!

          2023/10/14-15日記

          昨日、岩井俊二監督の『キリエのうた』を観てきた。帰りの電車で、数日前から読んでいた小川洋子の『ことり』を読み終えた。 『キリエのうた』の主人公は声を出して会話ができず歌しか歌えない。『ことり』の主人公は小鳥に関することだけで辛うじて社会との接点を持っている。 何かひとつのことしか自分を表し他者と繋がる術を持たずに生きている人の物語が好きだ。 あんまり長々感想を書く元気はないけれど、 誰も知らなくとも(或いは誰にも見向きもされなくても)ひっそりと紡がれている情熱を感じられ

          2023/10/14-15日記

          ガラス片の中の海 -『no public sounds』感想#5

          『no public sounds』--音の多彩さにわくわくして、歌詞の余白・曖昧さの中でいくらでも泳げるようなアルバムだと思う。 このアルバムや君島大空の音楽を「おもちゃ箱」と言うコメントをいくつか見たけれど、その通りだと思う。曲が変わる度に初めの一音に心躍る。たくさんのジャンルの音楽を聴いて取り込んできたことが感じられるし、この人はそこで見た景色を惜しげもなく見せてくれるのだなと思う。 歌詞の中には、自分の中にもあるけれど見ようとしなかった感情が、自分では思いもしなか

          ガラス片の中の海 -『no public sounds』感想#5

          「沈む体は空へ溢れて」-『no public sounds』感想#4

          「沈む体は空へ溢れて」の中の「好き」は報われないのだと思う。現実でこれからも「あなた」の側に居ることはできない。それで、「沈んでいく」しかない。「好き」を葬る代わりに。筋書きだけ見れば「破滅的な好き」という言葉にまとめられてしまうかもしれない。けれど、この曲はまとまりきらない。 “そうだ、ここなら踊れる、きっと 糸がなくても指を結んで どうしてあなたを隠してしまう? 強張った肉を睨んだ” このフレーズに、今この瞬間の「好き」を穴が開くほど見つめ、骨も砕かんばかりに握りしめ

          「沈む体は空へ溢れて」-『no public sounds』感想#4

          「映画」-『no public sounds』感想#3

          「映画」も、「16:28」と並んで特に歌詞が好きな楽曲だ。この曲は大きな声で歌われないからこそ歌詞がより魅力的になっていると思う。 自分の言葉は届かない。それよりも、触れること、同じものを見ることの方が確かな繋がり方で、それをわかっていても、言葉で伝えたいものがあって、伝えようとしては消してを繰り返している。この歌の中にあるのはそういう関係じゃないかと思う。 “早く話して”ほしい(話す中身は問題ではない)こと、髪の匂いがわかること、「傷をつける」ことはどれも「触れる」ことだ

          「映画」-『no public sounds』感想#3

          「札」-『no public sounds』感想#2

          最初の一音から高揚感が止まらなかった。疎い私でもはっきりとわかるメタル。先月行った合奏形態のライブ「THE SADDEST TEMPEST」の記憶が蘇る。その日、メタラー君島を初めて目撃した。表情は柱に隠れて見えなかったが、全身で笑いながら弾いていた気がする。やっぱりこの人のルーツにはメタルがあるんだなと感じた。無邪気に振り撒かれたエネルギーに、喜びと、怒りも感じた。「札」を聴くとその感覚が蘇る(先月のライブでは多分演奏されていなかった気がするが)。 ライブの空間を思い出し

          「札」-『no public sounds』感想#2

          「16:28」-『no public sounds』感想#1

          君島大空の2ndアルバムが素敵すぎて眠れないので、特に好きな曲を一晩に一曲ずつ、感想やイメージを書き残してみようと思う。 「16:28」(アルバム8曲目)について。 「no public sounds」の中でも歌詞が特に好きな曲のひとつ。喪った人やものに夢の中で何度も会いに行く歌だと思う。「僕」が理性の上では「君」を忘れ、「君がいない」という現実に沿って生きようとしていることと、夢の中で「君」と何度も出会い混ざり合いかけてはまた別れることとが描かれているが、そのふたつははっ

          「16:28」-『no public sounds』感想#1

          日記 「ギャル」

          先月から、心の中にギャルを住まわせている。 同期に自分のいる業界についての怒りをもらした時、ヤンキーみたいとぼんやり思った。ヤンキーをぼんやり検索していると、ヤンキーは誰の心にもいると言う人がいることや、ヤンキーとギャルの違いについて色んな人が思い思いに書いたことが出てきた。それらを見て、ヤンキーよりはギャルにいてほしいなと思った。自分の進みたい道がいま自分がいる状況での「当たり前」と違うなら、気合い一本で進むより、外的現実とのギャップにも目をやりつつ進みたい(どちらのイメ

          日記 「ギャル」