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目の前の温泉に入れなかった話

お気づきかとは思いますがこの美しい後ろ姿は私ではありません(笑)。娘が高校時代に「ママ ルノワールって知ってる?」と聞かれて「もちろん知ってるよ。チェーンの喫茶店でしょ。」と答えたのは私。ゲラゲラ笑った娘の友達の苗字がなんとルノワールさん。友達のお母さんがあの有名なフランスの画家のお孫さんだと後で聞いてご本人の前でなくて本当に良かったとホッとしたことをこの絵で思い出しました。

この間も書いたけどアメリカに長く住んでいると日本のお風呂がとても恋しくなる。実家に帰れば朝、昼、晩と気兼ねなく入れる。福井の友達は必ず温瀬旅行を計画してくれたり、温泉に行かなくても遊びに行った帰り道「ちょっとお風呂入ってから帰ろう」とどこかしら連れて行ってくれるのにこんなに長い間、あの肌に優しい温泉や軟水のお湯に浸っていないなんて。私が目玉おやじだったら全身ドライアイで瀕死の状態になりそうだ。

私の友人でやはりお風呂が大好きな人がいる。彼女には最近ずっとお会いしていないが以前は年に数回、時にはお互いの夫に留守番を頼み泊まりがけで一緒にお出かけした。会員制のスポーツジムのジャクジー、サンフランシスコにあるお風呂屋さん、韓国ドラマで観るような韓国系のお風呂屋さん。いつもいろいろ計画してくれておしゃべりしながらお風呂に入ったりサウナに入ったり楽しいひとときを過ごした。

もう15年くらい前だと思うがその彼女からお誘いをもらった。彼女のお誕生日月で私ともう一人の友達3人でここから車で4時間くらい北上したところにある温泉に行こうという計画だった。カリフォルニアにもいくつかホットスプリングスはある。日本のような大きな温泉街ではないが宿泊するところもある。

初めて行く温泉にレッツゴーと宿泊施設で飲むワインやおつまみそして小さい誕生日ケーキを友人の車に積み込んで出発。女子旅は気兼ねなくおしゃべりしていたらあっという間に到着。バースデーガールである友人がいろいろ調べてくれていて私はすっかり大船に乗った気分だった。彼女はしっかりしててとても頭が良い人。今なら行く前にスマホで調べたりもしたが当時スマホはまだ持っていなかった私達。友人が手配してくれた温泉施設のゲートで部屋の鍵をもらうまでは良かったが私の頭にクエスチョンマークが浮かぶ。『Clothing Optional』と看板にも書いてある。

なんかここってと思っている私たちの目の前に3、4人の男女が歩いてきた。皆さん素っ裸。あれどうした。サンフランシスコはパレードやマラソン大会で素っ裸になる人はいるがここってもしかして?

車で入場する時に施設の係の人が「大丈夫?」と聞いてくるほど私たち3人とも顔が真っ青だった。予約時に一泊分の料金を支払ってあった。返金はしないとオフィスの張り紙もしてある。ふと遠くを見ると水着の人もちらほら見えた。私たちは混乱した頭を冷やそうととりあえず宿泊する部屋に案内してもらった。アパートというか学生寮みたいな雰囲気でやはりほとんどの人が素っ裸。私達アジア人3人だけどう見ても浮いている。

部屋で速攻会議を始める。せっかくだから温泉は水着で入れば良い。後は部屋で過ごす?窓から見ていると皆さん裸で伸び伸び過ごされている。ここで一点書いておくが決していかがわしい場所ではない。皆さん裸でワイワイお風呂に入ったり、しゃべったり普通に日光浴をしている。ただ服を着ていないだけ(笑)。ワンちゃん猫ちゃんならこれは普通だ。でも私達はニンゲンだもの。15分ほど悩んだ私達。誰からともなく「帰りましょう!」荷物を車に積み込んで施設の管理事務所に行き私が「ここがこういう場所って本当に知らなかったんです。ごめんなさい。」と言うと笑いながら係の人が全額返金してくれた。これで頭に叩き込まれた『Clothing Optional』。

私有地で全裸で過ごしても良いヌーディストビーチは何かで見て知っていたがこんな山奥の温泉施設が裸族の憩いの場になっているとは。せっかくのお誕生日パーリーが残念なことになってしまったが速攻退去して本当に良かった。温泉もお風呂も大好きだが裸族にはなれない私達。

皆さん、リピートアフターミー

Clothing Optional

これとっても大事です。テストに出ますよ。



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