【小説ショ-トショ-ト】引ったくり
男はバイクでの引ったくりを生業としていた。
若い女性や老人が、自転車で走っているときに、バイクで後ろから近づき、彼らの自転車の前のかごからバッグを取り上げて逃げるのである。
その日もいつものように若い女性の自転車にバイクで後ろから近づき、前のかごから彼女のバッグをうまく取り上げるつもりだった。
ところが彼女のバッグが彼女の自転車のかごに引っ掛かり、彼女はバランスを崩して転倒した。
男は驚いたが、そのまま彼女のバッグを持って、逃げ去った。
男は自分のアパ-トの部屋に帰り、深く反省した。
「怪我をしていたらどうしよう。怪我までさせる気はなかったんだ。」
男はそう思い、後悔した。
引ったくりの稼業から足を洗うことを決意し、彼女のバッグを彼女にそのまま返すことにした。
彼女のバッグの中にあった彼女の財布の身分証から彼女の住んでいるアパ-トの部屋が分かり、彼女の部屋まで行き、その部屋のドアの外のインタ-フォンを鳴らした。
彼女が「はい。」と返事をしたので、男は言った。
「引ったくりなどして本当に申し訳ありませんでした。お怪我はなかったですか?バッグはそのまま返します。これから自首してきます。」
すると彼女が答えた。
「そうですか。怪我はしませんでした。」
そしてこうも言った。
「刑期を終えたら、またご連絡下さい。」
男は驚いたが、「はい。」と答えた。
男はその足で、交番に向かい、自首をした。
3年の刑期を模範囚で無事に勤めあげた男は、彼女に宛てて手紙を書いた。
すると彼女から手紙の返信が届き、その文通は2年続いた。
2年後男と彼女は交際することになり、結婚して家庭を持つことになった。
その家庭は、今でも円満に続いている。
結論:引ったくりには注意しましょう!
(合計725文字)
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