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夏の終わりに、私は恋の終わりを選んだ。

別れたい、でも別れたくないと言っていた彼氏と、きちんとお別れする覚悟を決めた。

覚悟が決まったのは、私が他に気になる人が出来たから。
我ながら本当にずるいなぁと思う。その人のことについてはまた今度。

* * *

彼氏には、今週の土曜日に時間をつくってもらったから、そこで別れ話をする予定。
仕事終わりに最寄り駅が同じ彼氏と待ち合わせて、いつもみたいに他愛のない話の途中で「あのね、ごめん。別れたい。」と切り出すのだ。「いつもみたいな日常」をおしまいにするの。

君は私の彼氏から元カレになって、私は君の彼女から元カノになって。もう一緒にいつものスーパーに行って、お家でだらだらすることも、特撮のイベントに行くこともない。

私はそれを選んだの。

* * *

付き合い始めた序盤から、結婚する気はなかった。だけど、君の優しさが心地よくて随分と長い間浸ってしまった。
最近は慣れてきて、時々雑に扱われることも多くなった。
最初は気にならなかったけれど、だんだんと悲しい気持ちが大きくなってきていて、それもお別れを決意した要因のひとつ。
結婚を見据えるなら、悲しかったことも伝えて少しずつでも直してもらえるよう努力しただろう。途中で「やっぱり結婚したい」と思えたなら、その努力もできたかもしれない。

でも、私はやっぱり結婚を考えられなかった。
だから、君から離れる決意をした。ぬるま湯からあがることを。

* * *

君はどう思っているのかは全然分からない。
でもなんとなく、君も冷めている気がするし、それは私の気持ちを察してかもしれない。LINEの返事が遅くなったり、小さな言い合いが増えたり、気まずい瞬間があったり。私が「別れる」って言ったら、君も少しだけホッとしたりするのかな。

* * *

昨日が最後のデートのつもりで私は会っていた。
初めて一緒にスーパー銭湯に行った。「たまにはお家以外のデートもしようよ」って君から言ってくれた。岩盤浴で出る尋常ではない汗の量に一緒に笑った。帰ってから、君がアボカドサーモン丼を作ってくれた。すっごく美味しかった。
だけどやっぱり一緒に居るとイライラしてしまう場面が増えていて悲しくもなった。
付き合った当初を思い出して、君も私もきっとお互いに冷たくなっていることに気が付いた。最初はあんなにあったかかったのに。私もどんどん君に優しくできなくなっていってた。

* * *

私の都合で別れるというのに、ずっと内臓がえぐれたみたいに気分が落ち込んでいる。
別れ話のあとすぐに荷物を渡せるように大きい袋に君の荷物を詰めながら泣いた。リゾットを作ってトマトがはねてしまったときに、君が驚いた時と同じリアクションをしていることに気が付いてまた泣いた。我がままだから、忘れてほしくなくて、香水を少しだけ君の荷物に振りかけた。泣きながらこのnoteを書いている。「あんな奴なんて!」と思っているのにどんどん涙があふれてくる。もう、寝たふりして君からおでこにキスをもらうこともできない。

ずっと一緒にはいられないけれど、君に支えてもらったことは事実で。とっても感謝していて。貰った愛も優しさも本当に心地よくて。
当日に泣かないように、今夜はたくさん泣いておこう。私の都合で別れるのに泣くのは本当に卑怯だから。

「今まで本当にありがとう。」って、きちんと笑って言えるように、今夜はイメージトレーニングをしっかりして寝よう。

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夏の思い出

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