見出し画像

日本語教師 × 文化 × 旅、ワクワクを大切にするいのっちさんが目指すものとは?

旅先の経験をコンテンツ化する力と発信力を磨く3ヶ月間のコース、POOLO JOB。

今回はそこで出会った、鹿児島県いちき串木野市で日本語教師をされて8年目の井之原翔吾さん(以下、いのっちさん)にお話を伺いました。第一印象から人としての優しさや温かさを感じるいのっちさん。同じチームで関わっていく中でも、その印象は変わりません。そんないのっちさんのお仕事やこれからの展望について聞いてみました。

日本語学校の生徒さんとパシャリ

簡単に思えていた、日本語教師の奥深さ

ーいのっちさんが日本語教師を目指したきっかけを教えてください。

大学入学後、元々は中学校の社会科教員免許取得を考えていましたが、システムが変わり取れなくなったため、代わりに国語科の免許取得を考えていました。そんな中、必修科目だった日本語教育関係の科目を受講した時、インパクトがすごく大きかったんです。日本人の自分が日本語を教えるのは簡単だと最初は思っていました。でも授業を受けていく中で、普段何気なく話している日本語でも正しい形があったり、助詞の「てにをは」の使い方の違いなどを勉強してとても面白いと感じました。

また、小さい頃から続けている書道と高校生で始めた空手が海外からも人気の高い日本文化であることに気づきました。そして、もともと旅も好きだったので、”日本語教師×日本文化×旅”が強みになるんじゃないかなと思って、日本語教師になろうと思いました。

日本にいながら国際的な環境。日本語教師という仕事の魅力

ー日本語学校の学生さんはどれぐらいいらっしゃるんですか?

定員は80名ですが、新型コロナウイルスの影響で今は半分ほどですね。国籍で言うと、去年が今までで最多の8カ国で、インドネシア、台湾、中国、トルコ、ネパール、フィリピン、ベトナム、ミャンマーからです。トルコは今回初めてでした。そういった学生たちに囲まれて、地元であるいちき串木野市に住みながら、すごく国際的な日常を過ごしてます。そういった点は他の職業にはない魅力だと思っています。

多様な国籍や文化を持つ学生さん


ーいのっちさんのSNSを見ても、愛情を持って学生さんと接していることが伝わってきます。

文化も言葉も人柄も、ひとりひとり全然違うので、毎日が新鮮ですごく面白いです。床をふいた雑巾で机を拭こうとしたりとか、そもそもほうきの持ち方がわからないとか......数えたらきりがないぐらい、たくさんのエピソードがあります。

日本語勉強中の学生さんからちょっと怖いメッセージが(笑)|twitter

学生さんが言いたいことを予想できる
いのっちさん、さすがです(笑)
テストの採点時でも、つい笑顔に(笑)


コロナ禍で考え直したキャリア

日本語学校での仕事はすごく楽しいですし、人間関係も良いのですが、このまま何十年ずっと学校という組織の中で働くことに違和感があったんです。自分で発信して、自分の意思で動きたい気持ちが特にコロナ禍の期間で強まりました。

コロナ禍で学生たちが減ってしまい、在籍数が0だったことがあったんです。勤務先は私立の学校で、収入源が学生からの学費になるためほとんどお給料がなかった時期もありました。コロナ禍がもう1年続いてたら日本語学科自体がなくなっていたかもしれないという状況でした。

そんな状況を経て、現在はいちき串木野市役所と一緒に「多文化共生のまちづくり」というプログラムを進めています。日本人向けに日本語サポーター養成講座を開いたり、在住外国人向けに日本語・日本理解講座を開いたりと職場の外での活動がとても増えました。そういう人との繋がりや可能性を考えたときに、今の仕事を続けることに不安や違和感が出てきました。元々海外で日本語教師をしたかったので、最終的には海外に行くつもりでしたが、コロナ禍がなければもう少し長く勤めてから行こうとしたかもしれません。

自己紹介 多文化共生のまちづくりについて|note

「多文化共生のまちづくり」の活動の様子


日本語教師として世界への旅で目指すこと

ー自己紹介のnoteに「2024年4月から1年間世界へ飛び出します」と書かれていますね。そのことについて教えてもらえますか?

まさに今、計画している途中です。仕事は休職するつもりですが、休職できなければ辞めようと思っています。元々世界を旅して周りたい夢があったので、それは絶対に叶えたいです。やっぱり自分が死ぬ前にやれば良かったなって後悔したくないんですよね。ただ見て周るだけではなくて、今後のキャリアに繋がることができればいいなと思っています。そう考えると日本語教師の仕事ってすごくマッチしていると思うんです。旅をしながらオンラインで日本語を教えるという選択肢もありますし。

ー日本語教師は住む国が変わっても続けていきたいということですか?

もちろんです。日本語教師の先生や先輩から、辞めて他の仕事をすると、何か物足りなく感じるという話を聞いたことがあります。もちろん他の仕事がつまらないという意味ではありませんが、それだけ日本語教師という仕事の密度が高いんだと思います。非日常感を日々味わえる職場ではあるので。最初は他の仕事も選択肢として考えていましたが、その話を聞いてから、今は辞めないで続けたいと思っています。

ーキャリアに繋がる旅、どんなことを考えられていますか?

考えていることが2つあります。1つは旅先で日本語を教えている教育機関、大学や語学学校に行って生徒たちと触れ合ったり、日本の学校とオンライン交流会等できたらいいなと思っていて。もう1つが、世界中の日本語教育機関や日本文化を広めている外国人と繋がって、世界文化祭みたいなものをオンライン上で開催できたら面白そうだなと思っています。

ゆくゆくはいちき串木野市で会場を貸し切って、世界中から色々な人が集まって文化祭のようなことができたら楽しいかなと。それぞれの国の紹介だったり、その国の食べ物とかを持ってきてもらったりしたいですね。

ネパールのお祭「ダサイン」で
赤紅で着色したお米をおでこにつけられる
いのっちさん


POOLO JOBとTABIPPOとの出会い

ー世界文化祭、オンラインでもオフラインでもとても面白そうですね!

そのためにはどうしても情報の発信や取材力などは必要になってくると思います。このPOOLO JOBでの活動を少しでも自分の力にしたいのと、色々な繋がりが持てたらいいなと思って頑張っています。

ーPOOLO JOBに出会ったきっかけがTABIPPOとのことですが、TABIPPOとの出会いは?

検索で「たび」って入れたら出てきたんです。元々旅が好きだったので、昼休みになんとなく見ていたら「なんだこれは」となって(笑)。旅だけではなくて、人生観とかキャリアについてだったりとか、色々な記事がありました。すぐ読める文字量だったこともあって、昼休みにはほぼ毎日TABIPPOのサイトを見ています。そこでPOOLO、POOLOJOBを見つけたんです。最初はPOOLOの方に進もうかなと思ったのですが、POOLO JOBは1期生ということもあって面白そうだったので思い切って飛び込みました。

国民的アニメと旅の意外な共通点 ワクワクを求めて

ー旅に興味を持ち出したきっかけはなんですか?

何で旅が好きなのか考えてみると、原体験は子供の頃にあったんだと思います。僕は元々アニメのポケモンとかワンピースとかが好きだったんです。ポケモンは新しい場所に行って、新しい仲間を見つけていくし、ワンピースも新しい島に行って新しい出会いがある。どちらにも「新しい場所での、新しい出会い」という、旅との共通点があるんです。子供の頃すごくワクワクしながら見ていました。それから自分の目で新しい場所や人を見てワクワクすることがどんどん好きになって、ワクワクがあるから旅が好きなのかなと思ってます。

旅好きの原点はまさかの国民的アニメ|note

いのっちさんが大切にしている三原則


旅を人と人を繋ぐものに昇華させる

ー最後に、いのっちさんが今後目指すのはどんな姿ですか?

「世界中を旅しながら、その土地の日本語教育や多文化共生、日本文化を発信している人々に出会い、メディア等を通じて両者をつなぐ役割を持ちたい」というのが大きな目標です。
旅を自分だけのものにせずに、訪れた地域の人と日本を繋げる。もちろん日本語教師としては働き続けたいですが、自分はずっと同じ場所で同じ作業をすることがすごく苦手な人間なんです。だから、生まれ育った大好きな街であるいちき串木野市を拠点にしつつ、常に世界を飛び回って、人と人を繋ぐポジションにいられたら良いなと思ってます。

ー旅を自分のためだけでなく、人と人を繋ぐものに昇華させ、還元していく。とてもいのっちさんらしい素敵な考え方だと感じました。ありがとうございました!


いのっちさんSNS

note

twitter

instagram

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?