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ラガー箚記(37)リーグワン第11節のレビュー

ここのところ、20点差を超えるような状態から、一気に逆転したり追いついたりする試合が多くなっています。これは、各チームの得点力がついてきていることの証左だと思います。だから、ちょっとモーメントが変われば、一気に2、30点取れてしまう。おかげで、目が離せない展開の試合が多くなったように感じます!


東芝 40ー33 リコー

リコーが最高のアタックを見せ続け、最後は強靭なディフェンスも見せてくれて、攻守で正直東芝を上回った試合。勝てなかったのは、ファカトバが足を引っ掛けたことと、東芝のディフェンスがギリギリまで走っていたこと。あと、最後、こじ開ける力がかろうじて残っていたことか。

リコーはルーカスが走り回っていて、東芝は全く止められなかったけれど、その前の二人、中楠、マッガーンの並びが効いていたと思う。マッガーンのセンター、いいじゃないですか!タックルが素晴らしい。これだけのアタック力があるならば、上位とも十分に戦えるはず。

東芝は、リコーのアタックに、最初から受け身で、常に差し込まれていた。点差が広がって心に好きができたとは思わないけれど、リコーには手応えがあったはず。それが後半の攻勢につながり、シンビンふたつもらって一気に追いついた。でも、できれば、追い越したかった。。

追いかけるチームは、追いついたり、背中に届いたりすると、そこでホッとしがちで、それまでの勢いがちょっと落ちる。追いかけるときは、一気に抜き去ってしまわないといけない。そこで、最後、東芝が「もう、ここで勝負する」と決めて、開きそうもなかった扉を、文字通り根性でこじ開け感じ。

今日はリコーは、課題のペナルティが、試合最後に攻められているところで増えたけれど、後半30分まではとても少なかった。やはり、ペナルティでモーメントを失わないというのはかくも大事、というところ。

東芝は、近鉄といい、リコーといい、思わぬところで苦戦していますね。。埼玉よりも得点を与えているわけで。今日は、ディフェンスが全く機能しなかった。攻められれば取られる、という感じ。勝てたこと以外に収穫はないのでは。


横浜 37ー35 サントリー

劇的な田村のキックでのサヨナラ勝ち。ただ、試合内容は、横浜の圧勝。ゲインメータ−628(サントリーは464)、ポゼッションは66%。前半の不用意なターンオーバーかrなおトライが、1つでも防げていれば、横浜が圧倒していてもおかしくない試合。

横浜は、とにかく前半からアタックが意欲的で、よくデザインされていて、しっかり機能していたのだけれど、要所でミスが多い、サントリーのディフェンスが外をしっかりケアしていることなどもあり攻めきれない。そこからのミスをことごとく得点に繋げられた前半。

ただ、とにかくよく攻撃はしていて、サントリーのトライは全てターンオーバー、カウンターが起点で、崩して取れたとらいは1つもなかった。そういう意味では、横浜は、怖さは感じていなかったかも。後半は、攻め所を変えて、マフィ、ハラシリを中心に力勝負に出てサントリーを崩し切った。

マフィが大車輪の活躍のところ、いつもならばマフィに代えてハラシリのところを、ハラシリをフランカーに据えて、マフィを残して、強烈なランナー二人で攻めていったところが、試合を変えた。これは準備してたんじゃないかな、と思います。オプションとして。ここは、沢木さんの采配。

サントリーはなんだろう、今日はアタックの機会が全然なかったし、機能しなかった。ボールを有効に保持できなかった。その理由をよくいえないのだけど、横浜にしっかり研究されてきた印象。また、今季は、少しトライを取られすぎる。勝つ時も。

最後の田村のキックは、まずは今季のリーグワン、ここまでのベストシーンでは。外す気が、全くしませんでした。 横浜は、ベスト4に向けていい位置につけました。サントリー、神戸は、同カンファレンスの相手が厳しいので、1つ2つは負けそうだけど、横浜は埼玉以外には勝てるはず。


静岡 24ー8 トヨタ

雨の静岡。強い冷たい雨の中、静岡がトヨタに完勝。雨でポゼッションラグビーに迷う中、躊躇せずに自分たちの強みを出し切って、80分間、トヨタにラグビーをさせず、自分たちのやりたいことをやり切った試合。雨に強い!!

静岡は、雨でも迷いがなかった。ボールを保持し、つなぎ、攻めるんだと。対して、トヨタは、普段と違ったゲームプランがあったと思う。何しろ、かなりの雨だったから。そこで、静岡がアタックに差し込まれ続け、防戦一方になった前半で勝負があった感じ。

もちろんハンドリングエラーも多かったけれど、そこでスクラムになれば、スクラムが多ければ自分たちに有利という気持ちを持っていたかのように見える。(多分、実際はそこまでのプランではないと思う)そのぐらい、静岡は、割り切っていつものプレーを仕切っていた。

トヨタは前節の劇的な試合の影響か、雨の影響か、ぼんやりした立ち上がりから、そのまま1試合流れた感じ。最後まで、アタックにおいて良いところがほとんど見られなかった。今シーズンもベスト4は難しいのかな。。


クボタ 22ー55 埼玉

埼玉が昨年の決勝のリベンジで、完膚なきまでにクボタを叩き潰した。ゲインメーターが埼玉が600、クボタが154。もう、同じレベルのチームではないことが明白。今日は埼玉のアタックが、だいぶ復活していたように見えます。

クボタはタックルミスが36。これではどんな試合も勝てないでしょう。攻められれば、相手がミスをしなければとられてしまう感じに見えました。正直、気合い入れろや!という感じです。

埼玉は、デアレンデとライリーのセンターコンビが、だんだんと調子を出してきているように見えます。こうなると、この世界的なプレーヤー二人をきちんと止めるのは、なかなか容易ではないです。。ちょっと、どちらか休んでくれたらいいのに、、と。

クボタは目線は来年以降でしょう。アーリーエントリーが江良を中心に息巻いていますし、この2年くらいで入った選手も最高峰のプレーヤーがいます。今年は難しい。。是非とも若手を使って次のチームづくりを目指してほしい。あとセンターが、立川を追い出す人がいないと。彼を80分使っているようでは。


神戸 60ー17 近鉄

ラインアウトのミス、ハンドリングのミスで自滅の感のあった神戸ですが、チームとして慌てることなく攻め続け、ハーフが日和佐に変わったところからペースアップ。一気に近鉄を突き放しました。あっという間に、力感なく60点まで行ってしまった感じ。

神戸はPOMにもなった松永のランがあちこちで目立った。ゴムまりが弾けていくような感じのランで、初速からいきなりトップに入る感じ。もっとボールを丁寧に繋ぐようになれば、さらに存在感が増すのでは。とにかくゲインする。どんどんゲインする。
ガットランドのランも怖い。キックもパスも上手だし、ギャップを見つけるのも上手で、ギャップをつく時のスピードが速い。なかなか抑えるのが大変な相手に見えます。

近鉄は後半20分まで5点差でついていけたのだけど、結局相手の自滅によるところも大きい。1発のアタックの強さは見せてくれたけれど、チームとしての決め事みたいなことが、特にディフェンスでもう一つ感じられない試合。勝ち点を1でも取りに行く、そういう気概を見せて欲しかった。


ホンダ 26ー31 相模原

ホンダが勝ちに等しい勝ち点1をゲット。雨の中、堅実なセットプレーとキックゲームで優勢に進めることで、相模原に食らいついた。相模原はぼんやりとした試合運びの中、後半に逆転されてから、思い出したかのように自分達の攻撃を始めて勝ち切った。寒い中の熱さ満点の試合。

後半、ホンダがキックにこだわらず攻め始めて逆転してから、相模原が忘れていた自分達のポゼッションアタックを思い出した感じ。雨でも、トップレベルの選手たちは、十分に攻められる。持って粘り強く戦えば、しっかりと確実にトライまで持っていけていて、これを初めからやっていれば、、というところ。

ホンダは前節の初勝利で、チームとして自分達の戦い方に自信を持ったように見える。今日は磨いてきたアタックはさほどは見られなかったけれど、それでもこのコンディションの中相模原にくらいつけたのは、さらに自信になるのでは。次節からの上位との戦いは苦しいだろうけれども、楽しめるのでは。


交流戦を全勝で乗り切った埼玉が、全勝でリーグ戦を駆け抜けそうです。
他方で、1敗の東芝は不安要素がいっぱいの中、同カンファレンスとの痺れる戦いが続きます。サントリー、神戸、横浜、東芝のうち1つがベスト4からは落ちることになりますが、正直、東芝まで含めて横一線だと思います!

バイウイーク後、戦力の戻りなども注目したいです!

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