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★ラガー箚記(6)★13人のクボタが、15人のサントリーからトライを奪う時

5月の2週目のプレーオフトーナメントでの本番が控えている両チーム。今日はその予行演習だ、そんなチンケな外野の味方は、両チームには、1ミリたりともないようだった。

ワークレートの高い動き、強度の高い接点、レベルの高いハンドリング。見るものを引き込む素晴らしい試合が続いた。

試合の大きなポイントになったのは、後半16分と18分のクボタの2つのシンビン。1つ目はしょうがないものに見えたが、2つ目の認定トライは、正直誤審にみえた。

しかし、この機を掴み、サントリーは一気に突き放しにかかり、15−24となる。
試合は60分を超えている。もう1マークされて、14点以上の差がつくと、残り15分では難しい展開になる。

後半22分。クボタのキックオフ。まだあと3分以上は13人で戦う必要がる。普通に考えれば、時間を使い、相手をいなし、なんとかかわしにかかるところだ。

しかし。

クボタの選んだ道は違った。
人数が足りなかろうが、自分たちの強みである、F Wの突進力と、接点周りの細かな前進の力ならば、関係ない。そこにフォーカスして攻めるのだ。13人が、そう1つに心を決めたようにみえた。

キックオフのボールを松島が蹴り合えす。
そのボールを、フォーリーは蹴らない。真っ直ぐにスピードを上げて切り込んでいく。そこから、クボタは近場で大きなF Wを当て続ける。バックスは、近場に近場にボールを返していく。
そうして重ねた13フェイズ。ハーフがシンビンのため、フォーリーがハーフの役割をしボールを捌くが、それまたうまい・・

最後はテアウパシオネが低い姿勢で地面を這い、ゴールラインへ飛び込む。
13人のくぼたが、15人のサントリーから、後半25分過ぎにトライを取り切った。

衝撃のトライだった。このトップレベルの2チームが、後半の足も途絶えそうな時間に、2人少ないチームが、フェイズを重ね切って、トライをとり切る。ありえない展開に、9割近い収容率の江戸陸が燃える。

これで自信を深めたクボタは、パワープレーに徹し、頑強な抵抗をし続けるサントリーを、なんとか寄り切る。

この13人でのトライは、このシーズンのクボタの象徴だ。力勝負なら、人数など関係なく、負けるわけがない。必ず勝てる、そのプライドを十分に感じさせるトライだった。

この2チームは3週間後に再戦する。

間違いなく、最高の試合が見れるはずだ。

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