見出し画像

ラガー箚記(36)リーグワン第10節のレビュー

今節は、劇的な試合が多かったです!クボター横浜、トヨターサントリーは最後の最後にどんでん返し、でしたし、近鉄ーホンダ、リコー静岡も最後まで熱戦でした!こういう、ドキドキする試合が続くと、たまらないです!


トヨタ 38ー39 サントリー

トヨタが、その実力は4強相応なのだということを見せつけた試合。3万人のホームの観客を背に、存分にそのアタック力を見せつけた。惜しむらくは、最後のキックオフへの集中力を欠いたこと。そこがサントリーとの差の象徴。

トヨタは、前半のパーフェクトに近い出来に対して、後半は、明らかに規律の維持ができていない。この課題をいまだに解消できていない。ここをクリアできれば、もしかしたら今日は逃げ切れていたかもしれない。体力、メンタル、マネジメント。もう1つ上のものが求められていると思う。

サントリーは、まあ、負け試合ですね。劇的なうっちゃりが続いているのは、底力だけど、上の2チームとはこういう試合はできないと思います。トヨタの強いランナーを止め切れず、簡単に5トライを先に許した試合展開は、決して褒められたものではないでしょう。

サントリーはホッキングスとツイ。今日はこの二人でしょう。海外の大物がいなくなった今、逆にこの二人が大黒柱となって、いいチームにまとまっているように見えます。なんといっても、80分のホーン手前のホッキングスのキックオフハントは素晴らしかった!


クボタ 29ー26 横浜

クボタが、15人に戻ってから18点差を岸岡のタクトでうっちゃった。今日はこの人の、パス、キック、ランでクボタを崖っぷちから救ったと言っていいのでは。江良と岸岡、ともに大学チャンピオンの世代。勝つことを知っているリーダーたち。

横浜は、後半65分以降の攻勢のところでの、ラインアウトのミスが続いたのが痛かった。11点差のところ、もちろんトライが取れれば勝っていただろうけれども、3点を狙っても良かったのではないか。いずれにしても、そこから切り返されての逆転負けで、あのラインアウトが勝負を分けた。

試合展開が劇的ですが、試合の中身は、結局双方で反則が25。これでは試合が流れない。インプレーが少ないことが、最後の展開につながっている気がするし、横浜は、消耗が少ない分、選手交代は遅れたように思う。(ブルア、マレーを入れるの遅すぎ)…

試合内容は互角。反則が多くて、なかなか連続攻撃が見られない展開で、なんともいえないところがあるが、横浜も悲観する内容ではないし、クボタも両手放しで喜べる試合ではもちろんない。


神戸 18ー28 埼玉

互角の展開から、埼玉が効果的なスコアメイクと、勝負所でのアタックの集中力で神戸を凌いだ試合。双方のディフェンスの固さ、アタックの決定力は互角に見えたけれども、試合の勝ち方をみんながわかっている点では埼玉が2つくらい上に見えた。

埼玉は、このサントリーー東芝ー神戸という3連戦を僅差ながらもしっかり勝ち切っているのはさすが。ただ、前半戦のような、攻めればトライ、というようなアタックの凄みは無くなっているように見えて、決してチームの調子が上向きには見えない。

神戸は、前半戦でもありましたが、しっかり勝ち切るために、どの時間帯で、どのタイミングでチームは何をすべきなのか、何を考えるべきなのか。勝者の文化が、今はまだないように見えます。79分の山中のノックオンなどは、風、もまだない、という感じ。

それでも、神戸が確実に強くなっているのは間違いなくて、埼玉としても、上回った、という思いはないでしょう。神戸よりも埼玉の方が、ラグビー偏差値が高かった、という感じ。是非ともプレーオフで再戦見たいです。


リコー 29ー36 静岡

お互いのアタックがそれなりに機能した試合。静岡はボールを持って継続すれば、確実にトライまでいけそうな精度。リコーもヴァカヤリアがキーとなって、これまでにはあまりみられないアタックを繰り広げた。ただ、現時点では、アタックの精度は静岡が上、というところ。

静岡は前半はFWの近場をよく攻め、ここというところでは、しっかり展開した。家村から強烈な両センター、そしてスピード感あふれるバックスリー。今、充実度合いならばリーグ1ではないか、というバックラインもアタックでしっかり機能していた。

リコーは中楠のSOの方が動けているように見えます。そして、今日は早めにFBにルーカス入れてきた采配も大いに奏功したように見えます。個人的にはルーカスにはSOで大成してほしいですが、現状はスペースのあるところで走らせた方がいいのですかね。。

リコーは今日は、スクラムをよく耐えたのではないでしょうか。静岡が優勢に見えたものの、決定的な差にはならず。静岡は、ここ最近壊滅だったマイボールラインアウトがだいぶ修正されていました。

試合展開も手に汗握る内容で、リーグ下位とは思えない、見応えのある試合でした!


東芝 41ー19 相模原

東芝がポゼッションアタックの強さで一枚上手。そして、スクラムが優勢と見るや、執拗にしつこく相手をそこで削りに削り、反撃の意気を削いで、無難に逃げ切った。相模原は、スクラムとラインアウトの劣勢が痛かったし、最初に4本もトライを与えては厳しい。。

東芝はアタックの縦に強いし、ラックからのボールのリサイクルは、今、リーグワン1番ではないかというくらい速い。トライまで行き切る力は、埼玉と変わらないレベルにあるように見える。(なんなら、直線的な強さは東芝の方が上では)相模原は、そこを防ぎきれなかった感じ。

相模原は、3つのトライは素晴らしかった。ただ、今日はセットプレーで苦労し続けて、マイボールをしっかりキープしてからの、ここのところの強みであるポゼッションアタックの継続するところを見せる機会が少なかった。全体として、チームとして、東芝が一枚上手。


近鉄 19ー20 ホンダ

互角の展開を、ホンダがディフェンでタックルで、なんとかなんとか凌ぎ切った展開。近鉄はゲインメーター615で3トライしかできなかった。(ホンダは294)ゴールキックも勝負を分けた感じ。熱い、見応えのある試合でした!

後半は完全に近鉄が押しまくっていましたが、相手が14人の時間にもっとしっかり詰めておきたかった。あの20分で1点も詰められなかったことが悔やまれますし、セル・ホゼのラインタッチや、最初のバンクスへバウンドも不運でした。攻めきれなかった、というところ。

ホンダはよくもまあ、粘りに粘ったな、と。雨でハンドリングが死にかけてきたのも味方しました。でも、こういう試合を凌げたというのは、大いに自信になるのでは。今日は、アタックという点では、そこまで機能していたとは思えなかったので、完全に守り勝ちでしょう。

この両チームは勝ち点差がこれで2。ホンダが上ですが、もう対戦はないので、これからは、ボーナスポイントの1点、この積み上げが大事になりそうです!



交流戦は次節が最終。クボター埼玉という昨季の頂上決戦がありますが、そこよりも、サントリーー横浜、というところが見所でしょうか。横浜は、ここを勝てないと、つまりは、反対側のカンファレンスの強豪には、静岡にしか勝てなかったことになります。さすがに4強は厳しくなるのではというところ。サントリーは、メジャーがいなくなった今の方が、チーム状態は良く見えますが、例年に比べて失点が多いのが気になります。

バイウイーク前、熱い試合を期待したいです!

この記事が参加している募集

スポーツ観戦記

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?