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【妄想ライオンズ79】 エースのプライド。光成の125球目の157キロ

4回に杉本に先制のツーランを献上する。厳しい球だったが、ストレートを持って行かれた。相手は鉄壁の山本由伸だ。チームにも、ライオンズファンの待つスタンドにも、重苦しい雰囲気が漂う。

しかし、すぐに1点を返してもらってから、彼は心に決める。
「俺の投球で流れを引き寄せるのだ」

6回。山本は、ここが勝負、と決めたか、ライオンズを3者3振に牛耳る。絶対に流れを渡さないという凄みを見せる。
それに対して、我らが高橋光成もスイッチが入る。上位打線をきっちりと1−2−3で押さえ込む。

流れ引き寄せる、そう決めた高橋光成のピッチングは圧巻だった。7回はホームランを打たれた杉本を三振に打ち取り、力を込める完璧な投球で1−2−3で押さえ込む。

この投球を見せつけられたら、エースとして先に引っ込むわけには行かない。ストレートの威力をかきながらも、変化球の制球力と、ここ1番の集中力でリードを保ってきた、日本のエース山本は、100球を超える中、8回もマウンドに上がる。

エースの意地。
本来ならば、オリックスの盤石の後ろを見れば、山﨑か宇田川から平野で、1点を守り切りに行って良かったはずだ。

しかし。
高橋光成のピッチングを見せつけられた山本は、先にマウンドを降りること自体、それ自体が負けに見えた。

その、エースのプライドが監督の采配を狂わせた。

8回の山本は直球の威力が少し欠けていた。3連打で追いつき、制球のままならない宇田川から、児玉がしぶとく三遊間を抜き逆転に成功する。

しかし、本当の圧巻はここからだ。
逆転をしてもらった高橋は、8回もしっかりと1−2−3で抑え切る。抑え切るというより、それこそ、風を切るように颯爽と投げ込んでいく。

9回。ライオンズは、四球→盗塁→4番の一打、というまさに「強いチーム」の点の取り方で突き放す。

その裏は、ライオンズのファンのほとんどが、高橋の続投を願っていたはずだ。

上位打線を迎える中、高橋光成が続投する。
先頭の、ライオンズキラーの胸は、3ボールまでいき、さらに粘り続けるも、最後は宗が根負けをして倒れる。
ここで、試合としては勝負があったように見えた。
中川を抑え、最後は去年までの相棒の森。
開幕戦では、彼が、二死から起死回生の同点ホームランを打ち、高橋光成の勝利が消えた。

森には、その5球、全てがストレートだった。
120球を超えた9回。投げたボールは全てが150キロを超え、最後の外角低めのボールは157キロ。自己最速を記録した。

125球目の、ラストボールが、最高のストレートで、自己最速を記録する、この凄み。
球界のエースと言っていい山本に投げ勝ち、かつ、過去の自分自身をも超える125球目。

この1球に、ライオンズファンは、その胸を、かくも爽快に撃ち抜かれる。

6回から9回は、高橋は1人のランナーも許さなかった。その力投が、エースのプライドが、山本をいきり立たせ、中島監督の采配を狂わせ、チームに勝機をもたらした。

ライオンズの大エースは、今年、球界のエースへと駆け上がっていく!

#seibulions
#西武ライオンズ
#高橋光成

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